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大前研一ニュースの視点

「東芝/ ビッグモーター/ 中国自動車輸出/ 楽天モバイル」

  • 東芝 JIP連合によるTOB開始
  • ビッグモーター 保険料率全体への影響を調査
  • 中国自動車輸出 1-6月の自動車輸出214万台
  • 楽天モバイル タレック・アミン共同CEOが退任

▼東芝 JIP連合によるTOB開始
 隆盛を極めた総合電機メーカーは今や解体状況となった

JIP、日本産業パートナーズなど国内連合による東芝へのTOBが8日より始まりました。

東芝は不正会計やアメリカの原子力事業の巨額損失、
アクティビストとの対立など経営の混乱が続き、
昨年、非公開化を含む戦略的選択肢の提案を募集しました。

10件の提案から資金的な裏付けがあるなどの理由でJIP陣営の買収提案を
受け入れたもので、陣営は1株4620円で全株の取得を目指す方針です。

東芝の株式保有状況のグラフを見れば分かりますが、
物言う株主のような外国法人等が半分もの株式を保有しています。

旧村上ファンドの幹部が立ち上げたシンガポールに拠点を置く
エフィッシモ・キャピタル・マネジメントは9.9%と最も保有しており、
その他、まともなファンド会社だと言われているブラックロックによる
株式保有も判明しています。

このように東芝は会社としての体を成しておらず、経産省による安楽死ではないかと思います。

現在の東芝の事業領域は、まだかなり広範にありますが、
価値のある事業はキヤノンや海外企業に売却されています。

かつて東芝は日立と並び称されていましたが、
今では日立の売上高が10兆円であるのに対し、東芝は3兆円、
そしてデンソー、三菱電機、富士通、キヤノンにも抜かれています。

いずれにしても東芝はほぼ解体状況でしょう。

▼ビッグモーター 保険料率全体への影響を調査
 不正事件の幕引きには相当の時間を要する

中古車販売大手ビッグモーターによる保険金の不正請求問題を受けて、
損害保険各社で構成する損害保険料率算出機構が自動車保険料率全体への
影響調査に乗り出すことが分かりました。

水増し請求の結果、保険料率の基礎データとなる保険金支払いの総額が増え、
全体の自動車保険料率が適正水準より高くなっている可能性があるためで、
機構は会員企業に対し、払い過ぎた保険金などに関するデータの提供を求める方針です。

この問題は損害保険会社だけではなく、
不正事件に巻き込まれた個人にとっても保険料の割引率が下がるなど、
どれだけの悪影響が起こるかが全く分からない状況となっています。

この事件によりビッグモーターのトップは交代しましたが、
新社長も同じ穴のむじなだと思います。

脅迫まがいのことを社員に行っていた副社長は、社長とともに姿を見せず、
非常に後味の悪いものとなりました。

この事件はまだ終わっていませんが、実態が見えにくくなっています。

▼中国自動車輸出 1-6月の自動車輸出214万台
 高車輸出のトップの座を中国に譲った日本の衝撃

中国主要企業の自動車輸出台数は、
1月から6月に前年同期比で76%増加の214万台となり、
同じ期間の日本の輸出台数202万台を上回りました。

長い間、日本の自動車輸出台数は世界ナンバーワンで、
ライバルのドイツと競っていましたが、
今年の上半期において中国に追い抜かれる事態となりました。

中国はEV輸出の割合が高く、
BYD社が台頭しており、テスラも中国でEVを製造して輸出しています。

現在、トヨタは世界52カ所で製造するなど自動車製造は
日本以外で行われる割合が大きく、輸出減少は仕方がないことではありますが、
これまでトップだった日本が中国に抜かれたことはエポックを
画する大きなニュースとなります。

▼楽天モバイル タレック・アミン共同CEOが退任
 楽天グループが携帯電話事業への向き合い方を決める時期がきた

楽天モバイルは7日、共同CEOのタレック・アミン氏が退任したと発表しました。

アミン氏は米国スプリントなどを経て、2018年に楽天グループに入社。

アンテナ以外の設備をクラウド上のソフトウエアに置き換える仮想化技術の
旗振り役として楽天モバイルをけん引してきましたが、
4月からは楽天グループの鈴木和洋専務執行役員との2人体制となっていました。

楽天モバイルは携帯電話業界4位ですが、三木谷氏はがむしゃらに基地局を
建てることなく独自の方法で盛り返しができると主張していましたが、
その旗振り役が辞めたということは、社内で路線対立があったのではないかと思います。

今後、他社と同様の方針を取るとなると、圧倒的に不利な状況となるため、
そろそろ携帯電話事業をどうしていくか、
最終的な答えを出す時期にきているのではないでしょうか。

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