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大前研一ニュースの視点

国連総会/ポーランド情勢/マレーシア航空機事故 ~オランダの努力で8年越しの真相究明

・国連総会 ロシアに賠償責任求める決議採択
・ポーランド情勢 ロシア製ミサイル着弾で2名死亡
・マレーシア航空機事故 元ロシア大佐ら3人に終身刑



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▼反対、棄権した国々の侵略に対する姿勢に疑問
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国連総会は14日、
ロシアにウクライナ侵攻の責任を問い、
ウクライナに対する
賠償責任があるとする決議を
賛成多数で採択しました。

決議は国際社会の総意を示すもので、
法的拘束力は無いほか、
決議への反対、棄権、無投票は
合わせて99カ国と
賛成の94カ国を上回っており、
賠償の具体化には難航が予想されます。



中国、北朝鮮、
あとは多くの発展途上国が
反対、棄権、無投票を
選んだようですが、
自分の国が同じことをされても
賠償は不要だと考えるのでしょうか。

他国に侵攻し、
国土を破壊した場合は
賠償しなければならないという
当たり前のことが
当たり前になれば、
武力行使に対して
大きな抑止力になるはずです。



それに反対することの重さを
もっと考えてほしいと思います。

これにより、
ロシアは100兆円を超える
賠償責任があるとされました。

賠償しないといけないものを
なぜ壊すのだろうかと
疑問に思いますが、
いつからかロシアの行動は
合理性を失っています。



侵攻の大義名分は自国民の保護で、
占領した東部地域は
自分たちの国土と
主張しているはずなのに、
その自国民のためのインフラを
破壊しているのだから
支離滅裂です。

上層部がまともな判断を
下せなくなっているのでしょう。



トヨタや日産が
ロシア事業から撤退を決めましたが、
プーチン大統領および
こうした上層部が
権力を握っている以上、
戦争が終わった後でも
再度進出するべきではないでしょう。

確かに、
多くの西側企業が
撤退したあとのロシアは
競合が少なく、
多くのビジネスチャンスがあるように
見えるかもしれませんが、
変な期待を持つべきではありません。



よくミャンマー進出に対しての
持論として紹介していますが、
行政が腐敗している、
あるいは政府が理不尽なことをする国では、
市場があろうが需要があろうが
ビジネスをするべきではないと
私は考えます。

逆に言えば、
ロシアの現政権が転覆し、
獄中のナワリヌイ氏や他の誰かが
ゴルバチョフ的な
穏健で合理的な政権を築くのであれば、
再進出は大いにあり得ると思います。

 




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▼バイデン大統領の迅速な対応を評価
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ウクライナとの国境に近い
ポーランド東部の村で15日、
ロシア製のミサイルが着弾し
2人が死亡しました。

これについて、
ポーランドのドゥダ大統領は16日、
ウクライナが
ロシアのミサイルを迎撃するために
発射したとの見方を示しましたが、
ゼレンスキー大統領は
ウクライナも現場の調査に参加し、
「もし我々のシステムの残骸で
犠牲者が出たことがわかれば、
謝らなければならない」
との考えを示しました。



北大西洋条約機構(NATO)加盟国の
ポーランドが攻撃されたのであれば
すぐに反撃する必要があるため、
戦争がエスカレートするのではないかと
かなり緊張が走りました。

当初ゼレンスキー大統領は
ロシアからのミサイル攻撃だと主張し、
ロシアはそれを否定。



情報を総合すると、
ロシア製のミサイルであることは
間違いないようです。

東欧のどこかに
配備されていたミサイルが
援助の形でウクライナに渡り、
それを使って
ロシアのミサイル攻撃を
迎撃しようとしたところ、
誤ってポーランドに
落ちてしまったというのが
真相でしょう。



ちょうどこの日は
ウクライナ全土に
ミサイル攻撃があった日で、
迎撃ミサイルもフル稼働し、
7割のミサイルを撃墜しました。

ウクライナの最西部の国境付近の
ポーランドの村に着弾したわけですが、
ロシアから飛んでくるミサイルは
全て米国が監視していたのではないでしょうか。



バイデン大統領は
すぐにロシアの攻撃を否定し、
ストルテンベルグNATO事務総長も
それを迅速に認めたため、
戦争が激化する事態は避けられました。

ゼレンスキー大統領は
諦めが悪い印象ですが、
スリーピー・ジョーと揶揄された
バイデン大統領は、
汚名返上の素晴らしい対応だと
評価します。

 





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▼オランダの努力で8年越しの真相究明
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2014年にウクライナ東部の上空で
マレーシアの航空機が撃墜され、
乗客乗員298人が死亡した事件で、
オランダの裁判所は17日、
ロシア治安機関の元大佐ら4人のうち、
3人に終身刑を言い渡しました。



親ロシア派の発射したミサイルで
マレーシア機が撃墜されたと
結論づけたものですが、
事件への関与を否定している
ロシア政府は
4人の身柄を引き渡していないため、
被告が欠席のまま公判が行われました。

この便の乗客は
ほとんどがオランダ人で、
マレーシアに向かう途中の悲劇でした。



判決が下りるまでに
8年の月日を要しており、
関係者の方も遺族の方も
苦しい日々だったとお察しします。

事件当初から
ロシア製ミサイルの破片が
見つかっていたのですが、
ロシアはウクライナの犯行だと
主張していました。



その後、
ウクライナ国内の親ロシア派に
疑惑の目が移ります。

ここからオランダは、
飛行機やミサイルの破片などを
徹底的に分析し、
事件の全貌を明らかにしていきます。



そして今回、
4名中3名の終身刑
(オランダには死刑がありません)
という判決に至りました。

犯人はまだロシアにいるわけですが、
政府に匿われているのであれば
大問題です。

もし撃墜が
ロシアの命令によるものではなく、
オランダの持つ証拠が
確固たるものであれば、
身柄の引き渡しに至るかは
わかりませんが、
ロシア国内で拘束される可能性は
十分あります。



自分たちの同胞が
被害にあったことに対して、
ここまで粘り強く徹底した
真相究明と裁判のプロセスを踏めることに
感心しました。

日本を含め、
他の国の政府ならここまでやれたでしょうか。

オランダの素晴らしい対応だと思います。

 

-大前研一ニュースの視点