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大前研一ニュースの視点

大型ショッピングセンター/コンビニエンスストア/老舗旅館/ロイヤルHD ~アパレルの流通経路の変化

・大型ショッピングセンター 商業施設の主役、「服」は昔
・コンビニエンスストア コンビニ進化、広がる便利
・老舗旅館 福岡県が「大丸別荘」に改善指導
・ロイヤルHD 宿泊料金設定にAI導入



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▼原因はアパレルの流通経路の変化
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日経新聞は先月20日、
『商業施設の主役、「服」は昔』
と題する記事を掲載しました。

大型商業施設や駅ビルなどの
およそ3,500施設の
テナント状況を調べたところ、
2018年からの5年間で
ファッションや雑貨のテナントが
約16%減少した一方、
サービス・エンタメのテナントは
約12%増加し、
全体の3割を占めました。

ショッピングセンター業界では
アパレルを中心に
考える癖がありますが、
今は中古買取、不動産や
保険の窓口、
学習塾やカラオケなどの
イベント的なテナントや、
それらを組み合わせたテナントが
増えてきています。

その理由として、
ネット上で洋服を
購入することが
当たり前になってきたことも
一因でしょう。

逆に言えば、
これらのネット上での
取引額を含めれば、
アパレルの市場自体が
激減しているわけでは
ないということです。

ただ、商業施設という場では、
アパレルの存在感が
減ってきていることは
重要な事実だと言えます。




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▼地域密着型コンビニと公共インフラの好相性
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日経新聞は先月25日、
「コンビニ進化、広がる便利 移動販売や施設運営に力」
と題する記事を掲載しました。

コンビニエンスストアが
移動販売等にとどまらず、
行政・金融機関など、
公共インフラも代替しています。

地域によっては
書店や薬の販売、
災害復旧拠点の役割も
担い始めたとし、
高知県や石川県の
コンビニエンスストアの店舗数は
この10年間で
およそ3倍に
増えているとのことです。

生活インフラを担う施設として、
コンビニは
現在の店舗数が約55,000軒ですが、
実は調剤薬局はコンビニより多く、
約60,000軒も存在します。

しかし、
両者とも店舗数は頭打ちで、
売り上げも
現在は横ばいとなっています。

主要インフラだった
ガソリンスタンドも、
ピーク時の店舗数は約50,000軒でした。

公共インフラ化という面では
3大コンビニは出遅れていて、
地域密着で
医薬品や食料もバランスよく
取り揃えているようなところが
リードしています。

セイコーマートもそうですし、
災害時には
発電機まで用意してくれている
サツドラなどもそうです。

ミニストップは
行政の代替機能を持ち始めたようですが、
これはマイナンバーと
スマホで手続きができるようになるまでの
限定的な仕組みに留まると予想します。




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▼管理が不十分だった行政の責任は大きい
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福岡県筑紫野市の
二日市温泉にある
老舗旅館の大丸別荘で、
本来は週に1回以上入れ替えるはずの
大浴場のお湯を、
年に2回しか替えていなかったとして、
県から改善指導を受けたことが
わかりました。

保健所の検査で
基準値の最大3,700倍の
レジオネラ菌が検出されたとのことで、
旅館側は
「常に源泉からお湯を入れながら
循環させる仕組みなので、
大丈夫だと思っていた」と
釈明しました。

県の保健所が悪いと思います。

例えば熱海では、
源泉かけ流しの旅館であっても、
毎日お湯の交換をしています。

チェックアウトから
チェックインまでの3時間程度で、
お湯を抜いて、洗って、
また溜めるという作業をするには
コストもノウハウも必要ですが、
必ず行っています。

レジオネラ菌の感染症などを出したら、
すぐに厳しい処分が待っています。

一方、この大丸別荘では、
危険を認識していない状態が
放置されていただけでなく、
今回患者が出て
ようやく行政が動いたという
ありさまです。

行政による監視システムを
もっと機能するように
しておいてほしいところです。

大丸別荘は
一度行ったことがあり、
砂利が敷いてある温泉だったことを
記憶しています。

しかし、このような事件があると、
今後はここで食事をするのも
不安になってしまいます。




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▼極端な価格設定は本質的価値を見失わせる
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ロイヤルホールディングスが
4月から、
リッチモンドホテルなど
直営の43の施設で、
AIが宿泊料金を提案する仕組みを
本格稼働することがわかりました。

過去の予約状況や
競合他社のデータから、
単価や稼働率の引き上げにつながる
宿泊料金を導き出すもので、
最終的な価格は人が決定するものの、
作業時間は3分の1以下に
減らせるとのことです。
    
シーズンや稼働率に応じて
宿泊料金を変える
ダイナミックプライシングは、
やりすぎると
ホテルの評価を
大きく下げるリスクがあります。

ある程度の変動は
あって然るべきですが、
2倍も3倍も変わるようだと
料金にだけ
希少性を出しているような形になり、
ホテルとしての
本質的な価値が
提示できなくなってしまいます。

安くする場合でも、
予約時期によって
極端に安くしてしまうと、
不公平感を持たれかねません。

AIは、
最適な価格を算出するような仕事を
得意としていますが、
あくまでもツールとしての
限定的な利用に留めておかないと、
取り返しのつかないことにも
なりかねません。

その意味で、
最終的な価格は
人が決定するという姿勢は
評価します。

 

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