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大前研一ニュースの視点

巨大IT規制/なりすまし広告/米メタ/米グーグル/米アルファベット

▼巨大IT規制 競争促進の新法案を閣議決定
閣議決定となった過程について、政府には国民への説明責任あり

政府は26日、巨大IT企業を規制する新法案を閣議決定しました。

これは米アップル、グーグルを念頭に、
アプリストアの独占行為を禁じるほか、
違反企業には国内対象分野の売上高の20%を課徴金として
科すことなどを盛り込んだもので、今国会での成立、
および2025年末までの施行を目指す考えです。

今回の規制内容を見ると、とっくにやっていなければおかしいことばかりで、
欧州では既に今年の3月、全面適用されています。

私はGAFAM全体に対する規制だと思っていたのですが、
グーグルとアップルのスマホアプリに関することに限定されています。

アプリのダウンロード時にそれぞれのアプリストアを
優先するなどを行った違反企業には、
国内対象分野の売上高20%を課徴金とするとしています。

ちなみに欧州の場合には全世界総売上高10%の課徴金ですので、
欧州による規制のほうが厳しいものとなっています。

米国にはこういった規制はありませんが、個別訴訟で対応しており、
3月には司法省がアップル提訴しています。

また奇妙な話なのですが、
どのような議論がなされたかなどの過程は全く示されず、
いきなり閣議決定がなされました。

例えばアップルは、
アプリダウンロードにはアップルストアを通さなければならず、
アプリ配信の標準手数料は30%です。

このように独占的な立場に基づいて行われる事例の全てを出した上で、
罰せられることはこれだと示してくれなければ、われわれには分かりません。

閣議決定のメンバーの顔触れからは、
ITについて詳しい人がいたのかどうかさえ疑問であり、
納得ができる説明をしてほしいものです。

 

 

▼なりすまし広告 米メタ日本法人を提訴
投資にうまい話などはなく、SNSは危険な側面を持つと意識すべき

25日、投資詐欺被害者4名が米メタ日本法人を提訴しました。

前澤友作氏や堀江貴文氏などをかたる「にせ広告」により
金銭をだまし取られた事件で、
弁護士は「詐欺加害者の手助けをしている」と主張しました。

そして堀江氏や前澤氏側も大変な迷惑を被っており、
前澤氏自身も提訴したようです。

昨年12月には、SNS型投資詐欺の認知件数は350件を超え、
被害額は60億円に近付いています。

茨城県の高齢女性が7億円を詐欺で失ったそうですが、
ああいうものにお金を使うという神経が、私には全く理解できません。

そんな大金を出す前にはもう少し考えてほしいものです。

それにしても7億もの大金を動かせるなんて、
すごいお金持ちだな、あと幾ら残っているの?
と、その女性に聞いてみたいものです(笑)

またSNS型投資詐欺で使われた当初接触ツールは
男性被害者の1位はフェイスブック、女性被害者の1位はインスタグラムで、
どちらもメタのものです。

あとはLINEやマッチングアプリ、ウェブサイトなどがありますが、
私はこれらSNSツールについてはどれも使っていませんし、
知らないメールアドレスから「○○銀行が提唱します」
「○○のVISAどうのこうの」などといったメールが届いても私は全て削除します。

メールアドレスのアットマークの後ろにある文字を見れば、
おかしいものは大体分かります。

おかげで私は、非常に平和で静かな日々を過ごせています。

 

 

▼米メタ 純利益約1兆9000億円
中国依存による広告売り上げ好調には、リスクを含む

米メタが24日発表した、
2024年1月から3月期決算は純利益が前年同期比2.2倍の123億ドル、
およそ1兆9000億円と4四半期連続の増収増益となりました。

中国初のEC、「Temu」や「SHEIN」がアメリカで
若者を中心に急拡大しており、
フェイスブックやインスタグラム向けの広告がけん引したものですが、
中国依存が嫌気され、この日のメタの株価は下落しました。

メタのセグメント別業績について、売上高の99%は広告によるもので、
VRヘッドセットなどのハードウエアも販売していますが利益はマイナスです。

アプリの利益率は高く、400億ドルを売り上げると営業利益は200億ドルで、
もうけは50%です。

四半期、3カ月で1兆9000億円のもうけとなりますので、
1年では8兆円、本当にすごいと思います。

 

 

動画共有サービスのTikTok
米国で中国企業オーナーのままでいられるかは、大統領選の結果次第

動画共有サービスのTikTokは24日、
簡易版アプリの一部機能を欧州で自主的に停止すると発表しました。

アプリ内でポイントを稼いでクーポンに交換できる仕組みに
依存リスクがあるとして、
欧州委員会がサービスの停止措置を警告していたもので、
これまでの情報漏えいや安全保障の懸念だけでなく、
若者がSNSに依存して心身の健康を損なうリスクへの認知が広がっている現状です。

TikTokは中国のByteDanceが運営していますが、
アメリカでは270日以内に米国企業に売却するように、
中国企業のオーナーのままでは駄目だという案が議会で通っています。

ちなみに先週、
大統領によって期間を1年以内に延期ができるという不思議な法案が通りました。

つまり現状では11月まではバイデン氏が大統領ですので、
バイデン氏が望めば270日以内を1年以内と延長できます。

アメリカでは1億9000万人がTikTokを使用していますので、
このような法案を通している民主党はとんでもないと、
バイデン氏にとっては大統領選挙のマイナスになる政治的なリスクがあります。

実はバイデン氏が右往左往している状況を見て、
トランプ氏は中国企業がオーナーのままでよいと言い始めました。

しかし最初にTikTokを米国企業に売れと言ったのはトランプ氏です。

全ては政治だということですね。

 

 

▼米グーグル 独占禁止法に基づき行政処分
従順な対応により、懸念されていた業界排除も免れた

公正取引委員会は22日、米グーグルに対し、
独占禁止法に基づく行政処分を科したと発表しました。

検索連動型広告をめぐり、グーグルが2014年以降、
競合するLINEヤフーの取引を一部制限した疑いがあるということで、
グーグルは改善計画を提出し、
外部専門家の監督に基づくコンプライアンス体制の整備などを行うということです。

これについては課徴金、
さらにはグーグルの業界排除という事態にまで進むのではと言われていましたが、
今回グーグルはLINEヤフーを不当に扱うことはしないと改善計画を提出したため、
課徴金もなく、公正取引委員会側が若干引いた処置となりました。

 

 

▼米アルファベット 売上高約12兆5300億円
4四半期連続増収増益、純利益過去最高であっても、人員削減を実施

米アルファベットが25日発表した2024年1月から3月期決算は、
売上高が前年同期比15%増加の805億3900万ドル、
およそ12兆5300億円、純利益が57%増加の236億6200万ドル、
およそ3兆7400億円だったことが分かりました。

4四半期連続の増収増益、純利益は過去最高で、ネット広告が好調だったほか、
非中核事業の人員を削減したことなどが寄与したということです。

先に出たメタは純利益が1兆9000億円だとお伝えしましたが、
アルファベットは四半世紀で約12兆円、1年で50兆円近い売り上げであり、
四半世紀の利益はメタの倍となる3兆7400億円です。

日本では想像できない巨大企業ですが、
それでも人員削減を行ったということです。

 

-大前研一ニュースの視点