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大前研一ニュースの視点

リコー 長期格付けを1段階引き下げ

・リコー 長期格付けを1段階引き下げ
・楽天グループ 株価が上場来安値更新
・セブン&アイHD セブンが西武池袋本店の改装案提示
・ソフトバンクグループ 「AI革命の最先端担う」
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▼リコー 長期格付けを1段階引き下げ
 優良企業でも業界全体の苦境には耐えられず            
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アメリカS&Pグローバルは20日、事務機器大手リコーの長期格付けを、
トリプルB +からトリプルB に1段階引き下げたと発表しました。

ペーパーレス化や事務機市場の縮小により利益回復が遅れる、
と判断したもので、2018年に続く格下げとなります。

リコーはいい会社ですが、業界が大変な苦境に立たされています。

紙ではなくてネットで情報を得ることが主流になり、
ネットでデータを送ってプリントアウトして会議で使うような会社も
さすがに減ってきたため、リコーの将来性は低いと判断されたと思われます。

この分野では、日本にはキヤノン、リコー、富士ゼロックス
(現・富士フイルムビジネスイノベーション)といった強力な3社が
存在していましたが、すべての企業がマーケットの縮小に直面しています。

リコーは売上も横ばいで伸びず、収益も安定しない状況で、
株価にも上り調子とはいきません。

キヤノンも似たような状況ですが、カメラ市場でもスマートフォンに
取って代わられたため、より困難な局面に立たされています。

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▼楽天グループ 株価が上場来安値更新
 携帯キャリアは3社」の世界的風潮に向き合う時             
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楽天グループの株価が23日。一時488円50銭となり上場来安値を更新しました。

赤字が続く携帯事業への懸念が強く、売りが止まらない現状で、
携帯の新プランや公募増資による資本増強を打ち出したものの、
株式の希薄化懸念により売りが加速した形となっています。

赤字のモバイル事業について決断を迫られている状況です。

英国ではボーダフォンとスリーの合併が決まり、
米国でも3番目と4番目の携帯会社が合併しひとつになりました。

このような世界的な流れの中で、日本でも4番目の携帯会社は必要ないのでは?
との見方が市場に広がっています。

楽天グループの業績はネットやフィンテック事業では好調ですが、
モバイル事業では赤字が数千億円に上っています。

数千億円の増資を行っても、一年で消化されてしまう計算です。


いま問われているのは、「4番目の携帯会社が本当に日本に必要なのか?」
ということです。

楽天グループの三木谷会長は、この大きな意思決定を迫られています。


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▼セブン&アイHD セブンが西武池袋本店の改装案提示
 ヨドバシカメラにも「街の顔」は立派に担える             
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東京都豊島区の高際みゆき区長は22日、セブン&アイホールディングスから
西武池袋本店の改装案を提示されたことを明らかにしました。

セブンが進める百貨店子会社、そごう西武の売却をめぐり高際氏が
計画の具体案の説明を求めていたもので、計画は
「百貨店の低層階の部分に家電量販店大手ヨドバシホールディングスが出店する内容」
だと言うことです。

区長の発言には具体性が欠けており、
計画案について理解が不十分なのではないかと思います。

私に言わせれば、
ヨドバシホールディングスが資本を投下し権利を獲得したことに対して、
区長がとやかく言うべきではありません。

そもそも池袋はただの住宅地域であり、西武百貨店がヨドバシカメラに
なったからといって地域の格が変わるわけではありません。

豊島区の人々は池袋を自慢の街と思ってるのかもしれませんが、
客観的に見れば銀座でも芦屋でもないただの繁華街と住宅地です。

西武百貨店なら満足なのかもしれませんが、
経営がうまくいっていない以上は諦めるしかありません。

ヨドバシは秋葉原や大阪の北ヤードでも街の顔として成功しており、
池袋でも活気をもたらす存在になれると思います。

この件に関しては、前の区長も今の区長も具体性に
欠ける苦情しか言っていないように私には見えます。

どうしても口出ししたいなら、
せめて「こういうことはやめて欲しい、こういうふうにしてほしい」
と議論ができる提案をするべきです。

いずれにしても、区長はこんなことに口を挟んでいるより、
他にやるべき仕事があると思います。


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▼ソフトバンクグループ 「AI革命の最先端担う」
 AIの先端を担うには10年遅い
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孫正義会長兼社長は21日、「グループを挙げてAI革命の先端を担っていきたい」
との考えを示しました。

ソフトバンクグループはビジョンファンドの業績悪化を受け、
二期連続で巨額赤字を計上しましたが、
孫氏は「守りは十分にできた。反転攻勢だ」と述べ、傘下の英国、
アームを軸にAI事業を中核にする考えを強調しました。

孫氏のことを知っている人なら、今はAI熱に取り憑かれているんだな、と分かります。

孫氏は『これが行く道だな』と思うと、
しばらくの間、繰り返しそのことについて言及する癖があります。

そのため、「グループを挙げてAI革命の先端を担っていきたい」
といった発言をしてしまうのでしょう。

そして、しばらくすると孫氏はまた別のことに熱中し始めます。

孫氏は昨年10月からAI事業に取り組んでいるようですが、
OpenAIのサム・アルトマン氏は10年前から大量の資金を投じ、
マイクロソフトなどの巨大企業も巻き込んでいます。

残念ながら、この程度の資金ではまったく足りませんし、
10年遅れていると言わざるを得ません。

ビジョンファンドの問題にちゃんと取り組んで欲しい、
というのが株式市場の見方でしょう。

-大前研一ニュースの視点