私立大学/ 知的財産/ 国内データセンター/ 国内半導体産業
- 私立大学 学生保護の枠組みを議論
- 知的財産 IP別累積収入額世界首位はポケモン
- 国内データセンター SBに最大300億円支援
- 国内半導体産業 半導体、生成AI支援に2兆円
▼私立大学 学生保護の枠組みを議論
大学に必要なのは即戦力を身に付けるシステム改革である
私立大学を運営する学校法人が経営破綻し、大学が閉鎖される事態に備え、
文部科学省の諮問機関が年内にも対策の議論を開始する見通しが明らかになりました。
学生を他校に円滑に移すことや、
オンラインで遠方の大学の授業に参加できる仕組みを検討する他、
学生を引き受ける大学側も財政面で不利にならないよう助成金制度を見直す方針で、
文科省は2024年度末までに対策を取りまとめる考えです。
大学には、少子化の他にもいろいろな問題があります。
コロナ禍の約3年間はZoomでの授業により、
かなりの学生がキャンパスライフを知らずに卒業しました。
そのような状況で得た卒業証書に、どれほどの価値があるのかと疑問に思う人は多く、
専門学校等で2年ほど学んで自分を売り込める技術を得たいというニーズが強くなりました。
例えば、看護科は一般に大学では4年で卒業となりますが、
多くの専門学校では大学の一般教養がスキップされるので3年で卒業できます。
そして専門学生の約9割が国家試験に合格すると言われ、就職先にも困りません。
一般大学の一般教養とは何なのでしょうか、
高校時代にサボった人を救うためのものなのでしょうか。
オーストラリアでは頑張れば3年で大学を卒業でき、2年でも可能な場合もあります。
卒業した以上はこれで食っていけるというものがなければ、今の時代は駄目なのです。
これまでは入社後、丁寧な社員教育によって、会社が一人前の社員に育てました。
しかし同じ会社で一生勤め上げる人は少なくなりましたので、
4~5年はこれで飯が食えるというような特殊な技術を最初から身に付けられるように、
大学のシステム全てやり直さなければいけません。
枠組みを壊すだけでなく、内容を一変させなければ学生数は頭打ちとなるでしょう。
大学はたくさんありますが、学生数は非常に減っています。
統合している大学もありますが、いい大学同士が統合していますので、
これから先は大学を目指す学生は減っていくと思います。
学校は資金が豊富ですが、学校法人であるが故に利益の調整が難しく、校舎を整え、
隣接地を購入するなどしかできませんでした。
今後は大学そのものを、もう少し民間企業的に見直していくことが必要だと思います。
▼知的財産 IP別累積収入額世界首位はポケモン
IPビジネスは日本経済を生き返らせる突破口
2019年までのIP、知的財産別累積収入額で、世界首位は人気ゲームの
『ポケットモンスター』のおよそ13兆7000億円だったことが分かりました。
上位25位のうち12が日本初のコンテンツだったということで、
直近の2021年でも海外市場における日本発コンテンツの売上高は
およそ4兆5000億円と、12年に比べて3倍余りに拡大したということです。
日本は世界がうらやむ多くのコンテンツを持っています。
「全世界のキャラクターのメディアミックス収益」によると、1位『ポケモン』、
2位『ハローキティ』、6位『アンパンマン』、8位『マリオ』、
9位『少年ジャンプ』、13位『ガンダム』、15位『ドラゴンボール』、
17位『北斗の拳』、20位『ワンピース』と、日本発のキャラクターが並んでいます。
そして英国人作家の原作でディズニーのキャラクターでもある『くまのプーさん』、
アメリカ発の『ミッキーマウス』『スター・ウォーズ』
『トイ・ストーリー』なども含め、
IPは非常に重要なビジネスとなって巨大な富を生み出しています。
アメリカはディズニー系のキャラクターが多いですが、
それを除けば日本の足元にも及びません。日本もようやく、
こういったものでお金を稼ぐ方法を見つけました。
宮本茂氏が率いる任天堂はIPを大事にして素晴らしい功績を挙げています。
われわれは、この事実を忘れてはいけません。
▼国内データセンター SBに最大300億円支援
今こそNTT法を見直す時期である
経済産業省は7日、ソフトバンクが北海道に建設するデータセンターの整備費用の半額、
最大300億円を支援すると発表しました。
データセンターは国内では8割が都市部に集中しており、
災害リスクを抑えるには地方での整備が重要になります。
西村経済産業大臣は、
今後もデータセンターの地方分散、地方での立地を支援していきたいとの考えを示しました。
趣旨はいいと思いますが、発表の仕方には注意が必要です。
単に一企業を支援するような印象を与えることなく、
データセンターが少ない東北や北陸に建設すれば補助金を
これだけ出すなどを強調するべきでしょう。
地方に分散すると先に公表して、
手を挙げた企業に補助金を与えるという方法を取らなければ、
後でつじつまを合わせるなど、順番を間違えてはいけないと思います。
それと、北海道は電源が安定しているのかという懸念点があります。
北海道は過去に地域によっては1週間ほど停電したことがありました。
そういう意味でも、今回の支援は納得性の少ない意思決定だったと思います。
またNTT法の在り方に関して、今、議論が活発化しています。
NTTは電気通信事業法への必要項目の明文化により、NTT法は廃止可能と主張しており、
それに対してKDDI、ソフトバンク、楽天などは大反対しています。
しかし私は、NTTが主張する諸外国が
実施済みの事業法ベースの運用の考え方はよいと思っています。
ただ、シビルミニマムについても考えなければいけません。
シビルミニマムはNTTだけが達成するものなのか、
それとも電気通信を担う企業が共同で行うべきものなのか。
例えば瀬戸内海の離島に住む老人1人のためだけに、
電話が通じる環境を整えるとします。
電柱を1本建てるたび漁業権侵害を訴える漁民に高いお金を支払っていたところを、
マイクロ波が導入され、また今は携帯の電波を飛ばして携帯電話の使用を進めています。
これらを実施するための経費は、みんなで負担するのか、
もともとのネットワークを持っているNTTが負担するのか、
これをはっきりさせる必要があります。
シビルミニマムからNTTを解き放つ必要がありますし、
われわれが買わされていた公社債で電話を引いていたというNTTのネットワークを
他社にも開放して譲り合うのもよいことです。
NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーション、
遠距離、海外などといった意味のない区分けをやめてNTTを一本化し、
NTTが独占していた部分の一部を他社にも開放して、
その代わりにシビルミニマムは負担してもらうという方針を、
今後NTT自身が積極的に打ち出さなければいけません。
NTT法は反対でも賛成でもなく、見直さなくてはいけないものなのです。
▼国内半導体産業 半導体、生成AI支援に2兆円
お金で先導するのではなく、別の方法を見いだすべき
経済産業省が2023年度の補正予算案で、
半導体や生成AIの支援に2兆円を当てる方針が明らかになりました。
台湾TSMCやラピダスの工場整備費用などを補助するもので、
これにより先端半導体や生成AIの国産化を後押しする考えです。
私は今回のような、お金先導で行うやり方は正しくないと思っています。
何兆円も費やしたアメリカは決して成功しているとは言い難く、
半導体事業はお金で何とかなるような簡単なものではないからです。