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大前研一ニュースの視点

「人口動態統計/ 在留資格制度/ 外国人留学生/ 人口減少問題」

  • 人口動態統計 日本人1億2242万3038人
  • 在留資格制度 育たぬ起業家、在留資格も壁
  • 外国人留学生 専門学校卒業生の就職先拡大
  • 人口減少問題 「外国人と共生する社会を」

▼人口動態統計 日本人1億2242万3038人
 毎年100万人の移民受け入れ政策を採るしかない

総務省が先月26日に発表した人口動態調査によりますと、
住民基本台帳に基づく日本人の数は1億2242万3038人と、
前の年に比べ80万523人減少したことがわかりました。

減少幅は1968年の調査開始以来最大です。

一方、住民票を持つ外国人の数は299万3839人で増加幅は
2013年の調査開始以来最大となりました。

私はドイツを参考にするべきと以前から提唱しているように、
国を挙げて組織的に外国人労働者の受け入れや教育支援を行うしかないと考えます。

具体的には、年間100万人の外国人労働者を受け入れ、彼らに無料の教育を提供します。

これを行わなければ、日本人口は減少の一途をたどり、
社会全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

政策として管理の下で移民受け入れをしないと、増え続ける外国人人口に対し、
外国人蔑視の問題も生じる可能性があります。

これは、既に他の国々で見受けられる現象であり、大きな社会問題となっています。

日本の人口減少は十数年前から始まり、改善の兆しはありません。

年間60~70万人の人口減少は、鳥取県一県分に相当する大きな数です。

これまで増加傾向にあった沖縄県も今回初めて人口減少を記録し、
全国的な問題となっています。

現状のまま進めば、10年後には人口が1000万人不足します。

移民の組織的な受け入れ以外に、解決策は容易には見つからないでしょう。

 

▼在留資格制度 育たぬ起業家、在留資格も壁
 歪んだ在留外国人政策を是正すれば自然と解決する

日経新聞は先月17日「育たぬ起業家、在留資格も壁」と題する記事を掲載しました。

これは経済協力開発機構(OECD)が3月に発表した外国人の
起業環境をめぐる国際比較で、日本は24カ国中21位だったと紹介しています。

多国籍企業の数、投資家へのアクセス、税制等、30以上の項目で分析したところ、
日本は在留資格認定の審査の厳しさや同伴家族の就労が制約されることなどで
評価が低かったもので、「在学中に起業したり、会社に勤めながら副業する例が
増えているにもかかわらず、在留資格制度が追いついていない」
とする専門家の見方を紹介しています。

私は、日本が毎年100万人の外国人労働者を受け入れ、彼らに徹底的な教育を施し、
日本社会に定着させることを提唱しています。うまく溶け込める人は、
その中の80万人くらいだと思いますが、その中には起業家の可能性を
秘めた人材も含まれているはずです。

しかしながら、在留資格別の比率を見ると、在留外国人は増えているにも拘わらず、
永住者は全体の30%に満たず、技能実習生や留学生など、
期間が終わった後には帰国させられてしまう立場の人が多数派です。

これでは外国人が日本で重要な役割を担うことは難しいです。

「聞く耳を持つ」と自称している岸田首相に、制度から変えてもらうしかありません。

 

▼外国人留学生 専門学校卒業生の就職先拡大
 政治がすべきなのは魅力的な教育で留学生を増やすこと

法務省が今年秋にも、
専門学校に通う外国人留学生の就職先を拡大する見通しが明らかになりました。

これまでは専門学校で学んだ分野に就職するよう求めてきましたが、
この条件では就職先が限られるほか、内定を得られず毎年およそ3000人が
帰国を余儀なくされている現状で、今後は専攻以外の分野でも申請内容を見て
柔軟に判断するなど貴重な働きとしてつなぎとめを図る考えです。

就職先に関しては、本来なら雇用者が決定すべき事項であり、
法務省が介入するべきではありません。

また、コロナ禍の影響で2020年をピークに外国人留学生の数は減少傾向にあります。

留学生の国籍は多様で、中国、ベトナム、ネパールがトップ3を占めています。

飲食店やコンビニエンスストアなどで働くのを見かけるなど、
ネパール人の増加は日常の中でも感じる機会があると思います。

一方で、過去に多かった韓国や台湾からの留学生の数は減少し、
日本での教育が彼らにとって魅力的ではなくなっていることが示されています。

フィンランドでは大学の授業を英語で行うことで、
外国人学生が3分の1を占めるまでに増加し、
グローバルな存在感を持つことに成功しました。

しかし、日本の大学では授業はほぼ全て日本語で行われ、
英語での授業はほとんど提供されていません。

さらに、教員が英語での授業を嫌がる傾向があり、
質問が多いことを理由に留学生を敬遠するケースも耳にします。

これでは日本の大学教育に魅力を感じてもらうことは難しいでしょう。

 

▼人口減少問題 「外国人と共生する社会を」
 自然な共生のためには日本人が変わらなければならない

岸田首相は先月22日、「外国人と共生する社会を考えていかなければならない」
との考えを示しました。

岸田氏は人口減少に対し、
少子化対策とデジタル化を両輪に対応していくと述べる一方、
これらは効果が出るのに時間がかかるため、
外国人の受け入れの問題も大きな課題と指摘しました。

50年前に始めてほしかったですが、人口問題解決に向けた一歩ではあります。

首相も言葉の問題にも触れているようですが、
私は語学の壁が外国人との共生の大きな障壁だと考えます。

日本人教師が教える限り、英語のレベルは世界最低水準から抜け出せません。

日本の教師の英語力不足は深刻で、
中学校の教師でもTOEICの得点が低いことが指摘されています。

高校教師の英語力も、それがマシな程度にすぎないというのが実情です。

この問題を解決するためには、英語を話す国の国語の教師が、
日本で英語を教えられるようにするしかありません。

逆に言えば、
これさえ認可してしまえば日本の英語教育の水準は一気に引きあがるでしょう。

もう一つの提案として、オンラインで米国や英国の引退した国語教師に
英語を教えてもらうことが挙げられます。

この方法はベテランの教師の知識と経験を活用できるうえ、
実際に試してみたところ先生側からも好評でした。

現役の先生からも、多少給料が安くても治安が悪い地元の学校で
教えるより良いという意見もあるくらいです。

外国人との共生を考えるにあたっては、日本人も変化する必要があります。

日本では外国人が日本語を話したり、
箸を使ったりすると驚かれるといった現象がありますが、
これもある種の是正すべき偏見と言えるでしょう。

英語力と文化の両方が揃って初めて、自然体での共生が可能になります。

-大前研一ニュースの視点