そこが知りたい情報チャンネル

このブログは、自分にとって参考になったことや活用できると思った記事をUPしていきます。

大前研一ニュースの視点

ポーランド情勢 与党「法と正義」の強権政治に大規模デモ

ポーランド情勢 与党「法と正義」の強権政治に大規模デモ
カナダ移民政策 「今後も大量の移民受け入れ」
インドインフラ事故 鉄道の脱線、衝突事故発生
インド紙幣 9月に2000ルピー札の流通停止
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                        
                            
─────────────────────────                            
▼ポーランド情勢 与党「法と正義」の強権政治に大規模デモ
 強権政治でウクライナを支援する独自路線の現政権                    
─────────────────────────                            

ポーランドの首都ワルシャワで4日、
保守系与党「法と正義」の強権政治に抗議する大規模なデモが行われました。


現政権はロシアによるウクライナ侵攻後、対ロシア強硬姿勢で支持を集めた一方、
メディア規制やLGBTなど性的少数者への差別的な政策などで反発が強まっている他、
ロシアの影響を受けた個人を調査する法律が成立するなど、欧米が懸念を示しています。

ドゥダ大統領は欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)から
問題視される言動をとることがありますが、
トゥスク元首相の時代はEUとの関係は良好でした。

このデモはそのトゥスク元首相の呼びかけにより、
50万人という大人数が集まる規模となりました。

ドゥダ大統領は、EU法に従うことを拒否したり、
LGBTに対しては危惧を示したりするなど、
EU的な価値観に反する考えのもとに政治を行っていることは事実です。


ですが、ロシアに近い強権政治を打ち出しながらも、
ウクライナ難民を最も多く受け入れている国でもあります。

つまりポーランドは、EUやNATOと対立するような姿勢を見せながら、
ウクライナへの支援を最も積極的に行ってる国なのです。

故に、EUと協調しないだけでポーランド現政権が危険だと断定するのは難しく、
むしろドゥダ大統領の特色ととらえるべきだと私は考えます。


─────────────────────────                            
▼カナダ移民政策 「今後も大量の移民受け入れ」
 日本はこの何倍もの移民受け入れ努力が必要                    
─────────────────────────

カナダのフレーザー移民難民市民権担当大臣が日経新聞のインタビューに対し、
「労働力不足を補うため、今後も大量の移民を受け入れる必要がある」
との考えを示しました。

カナダは2022年に過去最高の43万人の移民を受け入れましたが、
25年には50万人に増やす計画を掲げており、
医療や建設など人手不足が深刻な分野に移民を重点配置する考えです。

カナダは移民を計画的に受け入れ、彼らを「カナダ化」して国籍を与え、
国力を増加させる力にしています。

一方、日本は2030年までに労働力として1100万人が不足すると予測されています。

その解消のためには、
毎年100万人以上の移民を受け入れる必要がある計算になりますが、
日本の取り組みは行き当たりばったりで、
足りない業種に応急処置的な労働者受け入れをしているだけです。

カナダは公用語が英語であり、差別も少なく、住みやすい国として知られています。

対照的に、日本では日本語の習得が移民にとって大きな障壁となり、
移民に選ばれにくい国です。

その悪条件の中で、
カナダの倍のペースで移民を受け入れないと労働力が不足するはずなのに、
​​​​無策な現状は問題です。

日本は人口が減り続けているのに、カナダでは人口の自然増もプラスです。

これは移民が増えることによって、
彼らが子供をつくることに繋がり自然増も増えるという好循環なのですが、
日本ではそれも見込めません。

このままでは人口減と、深刻な労働力不足から逃れる道筋はまったくありません。


─────────────────────────                            
▼インドインフラ事故 鉄道の脱線、衝突事故発生
 急成長の両国でインフラの安全性に明暗                    
─────────────────────────

インド東部のオディシャ州で2日、急行列車が誤った信号で支線に入り、
停車していた貨物列車に衝突。

その衝撃で脱線した車両に隣の線路を対向してきた別の列車が
衝突する事故が発生しました。

これにより少なくとも288人が死亡、およそ800人が負傷したとのことです。

一方、インド東部のビハール州でも4日、
建設中の橋が崩落する事故が発生しました。

橋は2014年に着工し、2020年3月に完成する計画でしたが、
昨年4月にも橋脚が崩壊する事故が発生し、
日程が延期されていました。

インドはインフラが脆弱なので、
こうした事故が今後も続く可能性が高いと考えます。

列車の三重衝突事故は人為的なミスが原因ですが、
建設中の橋が崩落するという事故は、
日本では考えられない出来事です。

聖なるガンジス川にかかる橋が落ちる光景は、見苦しいと言わざるを得ません。

同様に急成長を遂げた中国もいくつかのインフラ事故を起こしていますが、
あれだけの急速かつ膨大なインフラ投資をしていることを
考えれば少ないと言っていいでしょう。

インドと中国の差が露呈してしまった事故だと考えます。


─────────────────────────                            
▼インド紙幣 9月に2000ルピー札の流通停止
 日本では考えられない行政と経済のハイレベルなDX化                    
─────────────────────────

インド準備銀行は先月19日、​​​​​​最高額紙幣の2000ルピー札、
およそ3400円の流通を9月30日に停止すると発表しました。

2000ルピー札が流通紙幣としての役目を終えたためとのことで、
2016年に、当時の10,000ルピー札を廃止した際には、
市民生活に混乱を招きましたが、
今回は電子決済の普及などを背景に混乱は見られないとのことです。

インドでは、銀行や郵便局のない村が多数存在します。

それを背景に、
スマホを活用した全ての銀行業務を行えるシステムが普及が進んでいます。

これにより、紙幣の役割が終了し、
混乱なく紙幣の廃止ができるようになったのです。

なお、インドではアーダールという国民識別・認証システムが完成しており、
スマホを通じて様々な手続きが処理できるようになりました。

導入の過渡期にはトラブルもありましたが、
13億人という日本の10倍の人口でこれを実現したことは驚異的です。

このシステムを完成させたのは、
インフォシスの二代目会長であるナンダン・ニレカーニ氏です。

ニレカーニ氏は現在時間に余裕があるはずなので、
日本に招聘して指導をしてほしいと私は常々考えています。

-大前研一ニュースの視点