ギリシャ情勢 ギリシャに学ぶ投資機会発見
ギリシャ議会選 ミツォタキス氏の率いる中道右派与党が過半数獲得
ギリシャ情勢 ギリシャに学ぶ投資機会発見
福島第一原発処理水 韓国で塩の販売量増、価格上昇
トルコ政策金利 金利を年15%に引き上げ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
─────────────────────────
▼ギリシャ議会選 ミツォタキス氏の率いる中道右派与党が過半数獲得
民主主義と政治家のあるべき姿を垣間見た選挙
─────────────────────────
ギリシャ議会選の投開票が先月25日行われ、ミツォタキス前首相率いる
与党・新民主主義党が過半数の158議席を獲得しました。
2019年に発足したミツォタキス政権は、法人税率の引き下げや事業許可の
手続きの簡素化など、経済活性化策を進め、新型コロナ禍の混乱期を除いて、
財政黒字を維持しているもので、調査会社は市民がデモに明け暮れた
混乱の時代に戻りたくないと考え、安定を求めたと分析しています。
ミツォタキス前首相が率いる新民主主義党の過半数獲得は、
前任者でポピュリスト的な公約を掲げて政権を獲得したチプラス氏の失政からの
回復という点で非常に重要です。
前任のチプラス氏は欺瞞的な政策ばかりで、結局EUとの救済交渉に行き詰まり、
年金給付削減など緊縮財政を実施し選挙公約を反故にしました。
この過程で、公務員の大幅削減、年金カット、増税など国民も痛みを甘受しましたが、
新民主主義党が過半数を獲得したのは驚くべきことです。
これはギリシャの国民が、痛みを伴ったとしてもやるべきことを実行すれば、
国の未来に大いに寄与するということ、そして正しい政治家とは
何をする存在なのかを理解した上で投票したことを示しています。
日本も現在、危機的状況に直面しているため、
このギリシャの事例は我が国にとっても参考にすべきものであると言えます。
─────────────────────────
▼ギリシャ情勢 ギリシャに学ぶ投資機会発見
ギリシャを超える公的債務過剰を日本は改善できるのか
─────────────────────────
日経新聞は「ギリシャに学ぶ投資機会発見」と題する記事を発表しました。
これはギリシャの公的債務のGDP比率がピーク時の206%から169%まで改善し、
ギリシャの10年物国債利回りも3.6%とイタリアを下回る水準まで
評価されていると紹介しています。
デジタル化の推進や労働市場の改革、ギリシャの直接投資の促進など、
過去4年間で400近い法案を可決し、大規模な改革を推進してきたことなどが
要因とのことです。
この改革はミツォタキス氏の功績ですが、
一方で当時のドイツのショイブレ財務大臣の主導により、
EUからのメンバーシップを失うというリスクを示され、
ギリシャが変わらざるを得ないほどに追い込まれていたという背景があります。
この改革の結果、公的債務のGDP比率は回復し、チプラス政権時代に35%を
超えた国債利回りも正常化してきたのです。
一方、日本は公的債務がGDPの260%という厳しい状況にあるものの、
まだその改善の兆しは見えていません。
ギリシャはEUやユーロ通貨のメンバーという立場から、痛みを伴う改革を行う
プレッシャーがありましたが、日本にはそのような強制力を働かせる存在がいません。
本来、その役割は国民が果たすべきなのですが、現在の国民は危機感を持っていません。
その結果、日本の国債が暴落するという危機が迫っている現状に対して
十分な対策が取られていないのです。
たとえば、公務員の大幅削減という事態は、
警察や教員を含む様々な職種に影響を及ぼしますが、それでも改革を断行し、
財政安定化をしなければならないとギリシャの例は示しています。
ミツォタキス氏の業績を称えるだけではなく、
日本はその取り組みから学ばなければいけません。
─────────────────────────
▼福島第一原発処理水 韓国で塩の販売量増、価格上昇
科学的根拠を無視する理解しがたい態度
─────────────────────────
韓国のスーパー大手イーマートによりますと、6月前半の塩の販売量は
前の年に比べて55.6%増加したほか、6月19日時点の塩5キロの平均小売価格は、
およそ1400円と平年より6割高かったとのことです。
韓国最大野党・共に民主党の李 在明代表が、福島第一原発の処理水を核廃水と呼び、
韓国政府の対応に批判を強めていることなどを受けたものですが、
一方で、公明党の山口氏は今月2日、
「いたずらな不安を招かないよう配慮があってしかるべき。
海水浴のシーズンにわざわざ排出する理由も特にない」との考えを示しました。
荒唐無稽すぎて理解できません。
福島の処理水が排出されたとしても、
それが韓国の海水から得られる塩に影響を及ぼすことはまずないと言えます。
黒潮は対馬海流となって日本海を流れますが、これは福島の側を通りません。
同様に、親潮はアリューシャンから来て、福島に向かいますが、
韓国とは関連がありません。
韓国が日本海から塩を採取した際、もし何かが混ざるとしたら、
それは北朝鮮の核の可能性のほうがよっぽど高いと考えられます。
さらに、韓国の月城原発で排出されるトリチウムの量は、ベクレル換算で
福島第一原発の液体排出の10倍、気体排出では100倍にも達します。
日本は、漁業者の反対で排出できなかったものを貯めてしまったので、
いま処理に悩まされている状況です。
東京電力の管理策が不十分だったと言わざるを得ません。
また、山口代表のコメントについても厳しく批判しなければなりません。
与党の代表がこのような理解を示すことは問題です。
国際原子力機関(IAEA)の報告によれば、福島の処理水は人体はもちろん、
魚介類にすら影響を及ぼすことはないとされて、排出が許可されました。
それにもかかわらず、海水浴中の人々が影響を受ける可能性を心配することは、
科学的根拠を無視した行動と言えます。
韓国の共に民主党、それから日本の公明党の両者には、IAEAの報告を正しく読み、
理解して欲しいところです。
─────────────────────────
▼トルコ政策金利 金利を年15%に引き上げ
通貨安改善のための正しい第一歩として評価
─────────────────────────
トルコ中央銀行は先月22日、主要政策金利を年15%に引き上げると発表しました。
通貨のリラ安やインフレに対応するため、6月に就任したエルカン新総裁のもと、
これまでの緩和方針を転換したものですが、今回の利上げ幅6.5%に対し市場では
不十分との見方が強く、発表後、通貨リラは対ドルで一時、
前の日に比べ4%下落しました。
エルカン新総裁の就任により、これまでエルドアン大統領の方針に従っていた
トルコ中央銀行の政策が変化する兆しが見えてきました。
プロフェッショナルとしてのエルカン氏は、
エルドアン氏の言いなりにはならないと期待されています。
エルドアン氏が大統領に就任して以来、トルコリラは約90%近くも
価値を下げてしまいました。
これが国内のインフレーションを引き起こし、収拾がつかない状態になっています。
今回の金利の引き上げは、その問題に対処するための一歩と言えます。
たしかに市場の反応を鑑みれば、今回の利上げ幅の6.5%は不十分でした。
それでも、この金利引き上げはエルカン新総裁による
正しい方向への第一歩だと評価できます。