「マーケティング」時間をかけることでしか生まれない価値も存在する。
2019/01/26
「今あなたが一番欲しいモノは何ですか?」
という質問をした時、
最も多く帰ってくるものは何でしょう。
お金。
健康。
多様な回答がありそうですが、
経営者の方であれば
きっとこのような答えが
多く返ってくるでしょう。
『時間』です。
~~~~~~~~~~~~~~
本日は、この『時間』という概念について、
1つ新しい視点を提示出来ればと思います。
■人間の時間は限られている
============================
先日、おもしろいサービスを見つけました。
「終わりメーカー」というサービスです。
そのサイトに、「今の年齢」と、
「何歳まで生きたいか」を入力しますと、
「死ぬまでに、あと●●回、●●が出来る」
という、おおよその結果が出てきます。
例えば私の場合、現在25歳で、
80歳まで生きると仮定しますと、
・あと60,225回、食事が出来る。
・あと20,075回、「おはよう!」と言える。
・あと137回、旅行に行ける。
・あと55回、桜を見られる。
というような結果が出ました。
おもしろいサービスですが、
このサービスを利用して改めて感じたのが、
人間は生まれてから、砂時計のように
死に向かって、時間を削りながら生きているのだな、
という事です。
人間はいつか必ず死にます。
だからこそ、人間にとって時間というのは
永遠のテーマなのでしょう。
短い時間にどれだけ多くの事が出来るか。
今やっていることを、今後どれだけ
短い時間でこなすことが出来るか。
それを追い求めてきたのです。
それは今日、日が立つにつれて
益々顕著になりつつあると言えます。
無駄をそぎ、マニュアル化し、
機械化する事で効率化し、時間を短縮する。
経営者にとって、スピードは命ですから。
・・・では一方で。
お客様にとっては
どうなのでしょうか。
先日、ある知人に聴いた話です。
家電量販店における、
食器洗い乾燥機販売担当者の、
主婦へのセールス文句は、
「これを使えば、これまでの1/3の時間で
食器洗いを済ませる事が出来ます。」
という言葉だそうです。
食器洗い乾燥機を導入することで、
毎日発生する家事の時間を短縮し、
もっと時間を有意義に使える、というのが
ポイントです。
これは、「時間を短縮出来る」という、
現代人であれば誰もが魅力を感じるポイントを押さえていますので、
非常に良いセールス文句だと思いますし、
多くの主婦は、
この言葉で心を揺さぶられる事でしょう。
しかし一方で、
このような視点で考える事もできます。
「時間を短縮する事で、一体何を失うだろう」
という視点です。
食器洗い乾燥機を利用する事で
失う事は何でしょうか。
例えば、家族の気持ち。
「お母さんがおいしい食事を作ってくれた。」
「だから、そのお礼と感謝の気持ちを込めて、
食器洗いは、ぼくとお父さんで担当しよう。」
感謝の気持ちとして洗い物をすることで、
きっと家族の間には、データには表すことの出来ない
温もりのような空気が生まれますよね。
また、もし使用している食器が、
誰かにプレゼントされた大切なものだったとします。
きっと、
「食器洗い乾燥機に任せるのではなく、
自分で丁寧に洗いたい。」
「自分の手で綺麗にしたい。」
という気持ちが生まれる事でしょう。
食器がすべてハンドメイドであったり、
思い入れがあるとすれば、食器洗い乾燥機を
導入する必要すら無いかもしれません。
ここで言いたいのは、
『時間をかけることでしか生まれない価値も存在する』
という事です。
今日、時間を重要視しすぎるあまり、
時間をいかに削り、いかに短縮するかという事が
求められています。
特に、経営者にとってそれは顕著に
見られる傾向でしょう。
それは、システム化やマニュアル化による
効率化を追い求め、スピードを重視する限りは、
当然のことですし、決して間違いではありません。
推奨しても良いくらいだと思います。
しかしながら、お客様の視点に立つと、
逆に時間をかける事で得られる価値も
多大に存在する事を忘れてはなりません。
経営者とお客様の間で、
視点の乖離が生まれるのは仕方の無いことでしょう。
それならば、時々立ち止まってみて、
自分の思考、価値観に疑問を投げかけてみる機会を
意図的に作ってみてはいかがでしょうか。