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大前研一ニュースの視点

ウクライナ経済/ロシア経済/ジョージア情勢 ~ロシア経済は停戦後も10年は影響が残る

・ウクライナ経済 ロシア軍事侵攻による経済損失約70兆円
・ロシア経済 成長率、今年マイナス10%予測
・ジョージア情勢 南オセチア共和国のロシア編入手続き開始



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▼ウクライナ復興には、世界中から供託金を集めるしかない
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ウクライナの
スビリデンコ第一副首相兼経済相は
先月28日、
ロシアの軍事侵攻でこれまでに被った
ウクライナの経済損失が
5,650億ドル(約70兆円)にのぼるとの試算を
明らかにしました。



この一部を
国内で凍結したロシア資産の接収などで
穴埋めするとともに、
ウクライナは
あらゆる障害を乗り越え、
侵略者に賠償金を要求することを
目指すとの考えを示しました。

ウクライナでは、
これまで何百年もかけて
築き上げてきた街並みが、
かなり破壊されてしまっています。



復興させるのに70兆円で
収まるのかさえ疑問に感じます。

また仮に70兆円で収まったとしても、
復興までには
50年ぐらいの時間を要するのではないかと
私は思います。



ロシアとウクライナの停戦が成立し、
平和が訪れたら、
ウクライナ復興のため
空前の建築ブームが起こるかもしれません。

しかし、
ウクライナには
金銭的に負担する能力がなく、
またロシアにもあるとは思えません。



ウクライナの
スビリデンコ第一副首相兼経済相は
ロシアの資産の一部を接収すると
発言していますが、
それでも
ウクライナの街を元に戻すには
全く足らないと思います。

過去の例を見ると、
ロシアはアサド政権を支援し、
シリアに侵攻しました。



シリアの街並みも
大きく破壊されましたが、
アサド政権には元に戻す意思がなく、
今でもシリアは復興していません。

ウクライナを立て直すとして、
一体誰がその資金を負担するのか。

世界中で供託金を集めてくる以外に
方法はないと私は思います。

 




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▼ロシア経済は停戦後も10年は影響が残る
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日経新聞は3日、
「ロシア経済急収縮 成長率、今年マイナス10%予測」
と題する記事を掲載しました。

欧州復興開発銀行が
今年のロシアの国内総生産(GDP)成長率が
マイナス10%に陥ると予測しました。



日米欧による経済制裁や
外資の撤退により企業活動が混乱し、
雇用環境が悪化することが響くもので、
ロシア経済が
ソ連崩壊の余波に匹敵する
打撃を受けるシナリオも
現実味を帯びてきたとしています。

ウクライナ侵攻後に暴落したルーブルは、
ロシア当局による大規模な操作で
一時的に反発していますが、
今後また下落する可能性が高く、
さらに経済が悪化する可能性もあります。



今、ロシアの金融は、
完全にフリーズしていて、
ロシアの人々は
銀行から自由にお金も引き出せないような
状況です。

利用率が高いクレジットカードも
使えなくなっていて、
非常に多くの問題を抱えています。



今後1~2ヶ月で
ウクライナとの間に
停戦が成立したとしても、
ロシア経済に対する影響は
10年ぐらい残ると私は見ています。

 



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▼ジョージア周辺地域の危うさ
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ジョージアからの
分離独立を主張している
親ロシア派の勢力・南オセチア共和国の
自称大統領であるビビロフ氏は、
先月30日、
ロシアへの編入手続きを開始すると
表明しました。



南オセチアでは
ソ連崩壊前後から独立や
北オセチアとの統合を望む声が
高まったほか、
ロシアも影響力維持のため
軍を駐留させてきましたが、
これに対してジョージアの外務省は
「編入は受け入れられない」として
対ロ制裁を見送る方針を転換し、
制裁の発動を決定しました。



ジョージア周辺は
中途半端な状況が続いていて、
どこに属するのか
わからない地域になっています。

2008年に勃発した
南オセチア紛争(別名ロシア・グルジア戦争)
によって、
ジョージアはロシアと国交を断絶。



その際に
日本ではジョージア側の要請を受け、
それまでの呼称であるグルジアから
ジョージアへ変更しています。

この紛争に、
分離派の南オセチアやアブハジアは
ロシア側として参戦していました。

そして紛争後に、
ロシアは
南オセチアとアブハジアの独立を承認。



この一方的な独立は
世界では認められておらず、
ベラルーシなど
一部の国が支持しているのみです。

アブハジアの独立にあたっては
ソチ冬季五輪の開催が
決定していたため、
それをジョージアに
奪われたくないという
ロシアの意向もあったのではないかと
思います。



南オセチア、アブハジア、
ジョージアの周辺には
アルメニアとアゼルバイジャンもあり、
数年前に戦争があったばかりです。

ロシアはアルメニアと組んで、
トルコと組んだアゼルバイジャンと
戦いました。



ロシアのウクライナ侵攻に対して、
トルコのエルドアン大統領は
ロシアとウクライナの仲介に
乗り出す動きを見せています。

しかし歴史的に見ると、
トルコはあっちについたり
こっちについたりする
非常に危うい側面があります。



ジョージア周辺地域には
二枚舌を使う人物も多く、
非常に危険な地域だと思います。

今ロシアが
劣勢になっていることを受けて、
再びこの地域でも
戦争が起こる可能性もあると思います。

 

 

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