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大前研一ニュースの視点

ターゲティング広告/アマゾン・ドット・コム/グローバル課税/企業統治 ~ターゲティング広告は基本的に禁止すべき

・ターゲティング広告 「追跡型広告」転換期に
・アマゾン・ドット・コム 2025年までに米最大小売業に?
・グローバル課税 GAFA課税、15%どまり
・企業統治 投資家、適切な納税促す

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▼ターゲティング広告は、プライバシーの侵害そのもの
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日経新聞は先月28日、
「『追跡型広告』転換期に」
と題する記事を掲載しました。

米アップルが新たに配信したOSで、
利用者のアクティビティを
追跡するのを許可するか、
事前の承認を求める仕組みを導入したと紹介。

 

世界的な個人情報保護の流れを受けたもので、
ネット広告市場を牽引したターゲティング広告は
転機を迎えたとしています。

ターゲティング広告は、
本人が知らないうちに
ネットを検索した履歴などを
勝手に追跡して、
類似した広告を出す仕組みです。

 

技術的に問題はないのでしょうが、
はなはだしいプライバシーの侵害だと
私は思います。

ネットの検索履歴情報に
クレジットカードの利用履歴情報を合わせると、
さらに「使いやすい」個人情報になります。

 

中国企業の場合、
1社でこのような複数情報を
取得しているケースが多いのですが、
米国企業の場合には、
他社と提携して
それぞれの情報を併せて活用するケースや、
あるいは他社に情報を売却してしまうケースが
見受けられます。

 

ターゲティング広告について、
事前承認制にすると
3~4割の人は承認するという意見もありますが、
私には全く想像ができません。

私は必要だと思うものは
自分で見に行きたいですし、
勝手に追跡した情報を活用されるのは
気持ちがよくありません。

ターゲティング広告は
基本的に禁止すべきだと思います。

 

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▼アマゾンがウォルマートを抜き去って世界一になる日が見えてきた
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日経新聞は先月28日、
「アマゾン、米最大小売業に?」
と題する記事を掲載しました。

Eコマースの分析会社エッジ・バイ・アセンシャル社が
まとめた統計によると、
アマゾン・ドット・コムが
2025年までにウォルマートに代わる
米最大の小売業者になる見通しが
明らかになったと紹介。

 

パンデミック最大の受益者となったアマゾンが
大規模なプラットフォームと
配送拠点の増設により、
ウォルマートの優位性を
脅かしているとのことです。

ジェフ・ベゾス氏が
1998年にアマゾンを創業したときの
「設立趣意書」には、
単なる本屋ではなく
世界最大の小売業を目指すと
記載されていました。

 

今、まさにウォルマートを視野にとらえ、
世界最大の小売業という夢が
現実味を帯びてきました。

巣ごもり景気が強烈な追い風になっています。

ウォルマートのような店舗に変わって、
インターネットのアマゾンで
モノを買う人が一層増えています。

 

まだウォルマートの売上高のほうが
約2倍の規模ですが、
Eコマースが急増していることもあり、
あと4~5年のうちには
アマゾンがウォルマートを
抜き去るのではないかと見られています。

 

今でもセール時には
瞬間的にウォルマートを上回る
大きな売上をあげることもありますが、
1年間というスパンで見ても
アマゾンがウォルマートの売上高を抜いていくのは
間違いないと思います。

 

アマゾンの中で検索すると、
本に限らず
何でも見つけることができますし、
名実ともに
世界最大の小売企業になりつつあります。

もしそうなれば、
創業時の志を達成したということになるので、
ジェフ・ベゾス氏も引退するかも知れません。

 

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▼米国は法人税として25%ぐらいを目指すべき
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日経新聞は9日、
「GAFA課税 15%どまり」
と題する記事を掲載しました。

世界の主要5万7000社について、
会計上の法人税等を税引前利益で割って
「税負担率」を算出したところ、
米IT大手のGAFAは15.4%と、
世界平均の25.1%より
9.7ポイント低かったと紹介。

 

既存の税制は、
工場などの有形資産から発生した利益を
多く捕捉する傾向にあることが要因で、
無形資産をカバーする
グローバルなルールの整備が課題としています。

当初バイデン大統領は、
巨大企業への課税を2倍にするため、
税率を25~30%にすると発言していました。

 

しかし、その後だんだんと尻すぼみして、
15%という数字に落ち着いてしまいました。

GAFAMの業績を見ると、
いずれも大きな売上と利益を出しています。

特に利益額が大きいのはアップルで、
アマゾンは小売業を伸ばす為に
あまり利益を出さずに
成長させるというやり方を
継続しています。

 

もしアマゾンが利益を出そうと思えば、
アップル並みの利益を出すことも可能でしょう。

GAFAMなどのIT企業は、
オペレーション業務をアイルランドで行うなど、
全体として実効課税が低くなるように
工夫をしています。

 

15%の税率でも
今までより高い水準と言えますが、
私は最低でも米国企業には25%ぐらい
課税するべきだと思います。

そうすることで、
「バイデン計画」で構想している
過剰な投資についても、
財源を確保することもできるはずです。

 

主要国の法人税収を対GDP比で見てみると、
日本は4%、英国は2~3%、
それに対して米国は1%を割り込んでいます。

日本の4%という水準は
やや高すぎるという見方もあるので、
米国もひとまず英国並みに2~3%を目指すと
考えても良いでしょう。

バイデン大統領は
富裕層に課税すると言っていますが、
富裕企業から法人税として徴収することを
もっと考えるべきだと思います。

 

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▼ノルウェー政府年金基金に世界の模範になってほしい
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日経新聞は16日、
「投資家、適切な納税促す」
と題する記事を掲載しました。

世界の機関投資家の間で、
投資先の企業に対して
納税の責任を求める機運が
高まっていると紹介。

 

欧州では過度な節税策や
その説明も怠る企業への投資を見送る
年金基金が出てきており、
背景には多国籍企業などが納税回避を続ければ
社会の不平などが深まり、
企業自身の持続可能性を
危うくするとの考えがあるとしています。

この動きは非常に良いと思います。

 

特に世界最大の政府系ファンドである
ノルウェー政府年金基金を運用している
ノルウェー銀行には、
率先して取り組んでほしいところです。

ノルウェー政府年金基金は
世界最大の規模を誇り、
また環境・社会・企業統治を考慮する
「ESG投資」で
運用業界をリードしてきたという
特徴があります。

 

そんなノルウェー政府年金基金が、
「ESG」の(特に環境)テーマに
沿わない企業には投資しない、
という判断をすれば
大きな影響があると思います。

また現実的に、
率先して実行できるのは
ノルウェー政府年金基金ぐらいでしょう。

 

他の基金は
どうしても目先の利回りを上げたいと
考えていますから、
余裕がありません。

むしろ、ESGを守らない企業に投資したほうが
目先の利回りを上げやすい、
というのが現実です。

 

現状、ノルウェー政府年金基金は
利回りを高く維持できていますし、
元々、北海油田の利益を基に
運用しているので、
短期的な利回りを追い求める必要が
ないのではないでしょうか。

また、すでにノルウェーの少ない人口に対して
将来数十年分の資金を持っているほど、
余力があると言われています。

 

世界最大にして余力たっぷりの
ノルウェー政府年金基金が
率先して模範を示してくれれば、
日本のGPIFなど他の基金も
追随してくれる可能性があります。

是非、世界の規範になってほしいと思います。

 

 

 

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