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大前研一ニュースの視点

静岡県熱海市/土砂災害/熱海市行政 ~熱海市や静岡県がどこまで責任を追及できるのか注目

・静岡県熱海市 死者11人、安否不明者16人
・土砂災害 危険地域は「住まない地域」として定義するべき
・熱海市行政 これからの熱海・伊豆山地区の復興への不安

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▼土石流の発生原因について、どこまで追及できるのか
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静岡県熱海市で3日に発生した
大規模な土石流で、
これまでに11人の死亡が確認され、
安否が不明な人は
15日時点で16人となりました。

 

住民基本台帳に基づく氏名の公表などで
多くの所在が確認でき、
引き続き懸命な捜索が続いています。

一方、静岡県の川勝知事は
土石流が始まった地点の
盛土が流されたとして、
因果関係を追及する方針を示しています。

 

氏名を公表したことにより、
様々な情報が集まってきた結果、
現在のような状況が判明しています。

氏名を公表したことについて
批判もありましたが、
もし公表していなければ
未だに見つかっていない人が
多いと思います。

 

色々なプライバシーの問題はありますが、
今回のような場合には
氏名公開の必要性もあると感じます。

川勝知事は盛土に問題があるとして、
責任の所在を追及する姿勢を示しています。

 

また、難波副知事も記者会見で
その点を指摘していました。

難波副知事は、
名古屋大学の修士論文で
「傾斜地における安全性」を
テーマにしていたということです。

 

そのため、
この問題については豊富な知識があるようで、
途中からマイクを取って
詳細な説明をしていました。

この盛土の問題に関して、
崩落した土地の所有者が
ZENホールディングスの
麦島善光氏であると判明しています。

 

麦島氏は伊豆でも手広く
ビジネスをしている人物です。

認可の限度を超えていたのかどうかなど、
熱海市や静岡県が
どこまで責任を追及できるのか、
注目したいと思います。

 

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▼危険地域を定義し、居住させないようにすべき
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広島にも今回の熱海と同じような
危険地域が多いのですが、
全国には危険地域が18万箇所も
あると言われています。

今回ほど規模が大きいものではなくても、
土砂災害は年間で数千件も発生していて、
死者が100人を超える年もあります。

 

激しい土石流に巻き込まれたら、
とても逃げる時間はありません。

そのため、私は常々
このような危険地域に
居住するということ自体を
考え直す必要があると
主張してきました。

 

東日本大震災の後にも述べましたが、
危険地域は「住まない地域」として
定義するべきだと私は思います。

1000年以上の歴史を振り返れば、
津波に襲われやすい場所、
洪水が何度も起きている場所など、
大きな災害がある場所は
かなり特定できています。

 

過去に大きな災害があった場所には、
家を建てさせないように
するべきでしょう。

あるいは、もし家を建てたいのなら、
リスクを承知で
完全に自己責任として
建ててもらうしかありません。

 

津波や洪水などに比べて、
がけ崩れは初めて発生することが多いため、
予想が難しい災害です。

とは言え、専門家が見れば、
雨の影響によるがけ崩れの可能性を
ある程度は予測することは
可能でしょう。

専門家の意見を参考にして、
危険地域に住んでいる人たちを
移転させるなどの対策が必要だと思います。

 

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▼熱海市の行政執行能力に不安を感じる
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いざ、危険地域から移転するとなると、
移転する場所を
用意する必要がありますし、
資金的な面で援助や補助をする
必要も出てきます。

その点において、
これからの熱海・伊豆山地区の復興に
私は不安を感じています。

 

というのは、
今回の熱海市の動きを見ていると、
行政執行能力が極めて低いと
言わざるを得ないからです。

土砂災害について、
朝の6時に静岡県から
危険性を伝えられていたのに、
それが熱海市長には
伝わっていなかったそうです。

 

また、復興に協力する
ボランティアとして
2000人以上が手を挙げたのに、
熱海市が対応できずに
パニック状態に陥ったりしています。

今回の災害で流された
熱海・伊豆山地区の家屋に加え、
さらに周辺も危険地域に
含まれてくるでしょうから、
約300~400軒の家を
「新たに」用意する必要があります。

 

その場所をどのように確保するのか、
新しい家をどのように建てて、
どのように移転してもらうのか。

これは、
新しい村を一から作るのと同義です。

そのような場所が
熱海に残されているのかさえ
わかりませんが、
そういう作業を
テキパキとこなさなければ
なりません。

 

もちろんお金もかかりますが、
それ以上に行政として
明確な「指針」を示すことが
まず重要です。

東日本大震災の際にも
同じ問題がありましたが、
何1つ指針を示すことなく
終わってしまいました。

 

その結果、
石巻市などを見ると
よくわかりますが、
昔の場所に戻ってしまった人もいれば、
山の上に移り住んだ人、
どこか別の地域に移り住んだ人もいて、
バラバラの状況です。

 

津波プレーンや土石流プレーンを
定義して、
「この場所には住んではいけない」と
指針を示すのは、
行政の指導力なしにはできません。

そのような指針を示してくれるなら、
それを実現するために
お金を使うべきだと私は思います。

 

GoToトラベルで
2兆円近くのお金が余っているなどと
言われていますが、
全く無駄遣いです。

行政が明確な指針を示す前提で、
このような復興作業にこそ、
そのような「余ったお金」を
使って欲しいと思います。

 

 

-大前研一ニュースの視点