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大前研一ニュースの視点

SBIHD/米ペイパルHD/キヤノン/自動車販売店 ~今回のSBIの動きを止めるのは難しい

・SBIHD 新生銀行にTOB実施
・米ペイパルHD ペイディを3000億円で買収
・キヤノン レドレン・テクノロジーズを買収
・自動車販売店 車検にCASEの壁

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▼新生銀行が反対しても、SBIの動きを止められない
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SBIホールディングスは9日、
新生銀行に対して
株式公開買い付け(TOB)を
実施すると発表しました。

 

SBIはすでに
新生銀行株の19%以上を保有しており、
約1100億円を投じて
出資比率を最大48%まで
引き上げる方針ですが、
新生銀行側は賛同していないとの
コメントを発表しており、
敵対的TOBに発展する可能性もあります。

 

敵対的TOBと言っても、
実際のところ新生銀行には
拒絶する力はほとんどないと
私は見ています。

新生銀行自身が保有する株が17%弱で、
SBIはすでに同等の株を
保有しています。

 

SBIに次いで
新生銀行株を保有しているのが、
公的資金が注入されたことで
株を保有する形になっている
預金保険機構(約10%)と
整理回収機構(約7%)です。

 

今、金融庁内には
SBIとこの2社を一緒にして
地銀救済のために
動いて欲しいという意見が
あるようです。

金融庁の狙いとしては、
政府が公的資金として
注入した資金の2倍ほどの
リターンを得られるなら、
そのタイミングで
エグジットするというものだと思います。

 

SBIが買収・経営をして、
新生銀行の企業価値を上げてくれれば、
実現できると期待しているはずです。

SBIの北尾社長は、
10行近い地銀に次々出資して
地銀を救済する形を取りながら、
「第4のメガバンク」を作り上げたいという
大きな構想を持っています。

 

この構想を加速させるためにも、
新生銀行の買収は
大きな要素となるでしょう。

新生銀行が買収を了承しないと言っても、
現実的に三大都市銀行以外に
ホワイトナイトが出てくる可能性も低く、
今回のSBIの動きを止めるのは
難しいと思います。

 

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▼ペイパルにとって、後払いサービス機能を手に入れることは重要だった
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米決済大手ペイパルホールディングスは7日、
日本で後払いサービスを手掛ける
ペイディを買収すると発表しました。

ペイパルは
世界3位のEC市場である日本を
重要地域の1つに挙げており、
会員数600万人のペイディを買収し、
国内決済市場での存在感を
さらに高める考えです。

 

世界中で様々な後払いサービスが
勃興しています。

先日、米スクエアが豪アフターペイを
約3兆円で買収すると発表しましたが、
この業界では
今後も様々な動きが出てくると思います。

今回ペイディを買収したペイパルは、
今も強い競争力を持つ企業です。

 

創業メンバーには、
トランプ前大統領のアドバイザーを務めた
ピーター・ティール氏、
テスラ創業者のイーロン・マスク氏、
リンクドイン創業者の
リード・ホフマン氏など、
錚々たる人物が名を連ねています。

今回の買収劇を主導したのは
ピーター・ケネバン氏で、
長年マッキンゼーの
東京オフィスにいた人物です。

 

日本企業で約3000億円の買収金額は
非常に大きな額ですが、
この業界の状況を考えると、
かなりペイパルにとっては
お買い得だったと思います。

ピーター・ケネバン氏が
交渉を上手く運んだのでしょう。

 

後払い方式は
クレジットカードを持っていない人には
非常に便利ですし、
ペイパルにとって
この機能を手に入れることは
非常に重要でした。

日本だけでなく、
今後海外で展開することも可能ですし、
非常に良い買収だと思います。

 

将来的に強化していくサービスを見据えて
買収を行うというのは、
有効な手段です。

キヤノンも同様の手段を取りました。

キヤノンは9日、
カナダの半導体メーカーである
レドレン・テクノロジーズ社を
約300億円で買収すると発表しましたが、
キヤノンの場合は
CTスキャンの開発を
強化したいという考えでしょう。

 

レドレン社は
医療用画像診断機器や
セキュリティ検査装置に使われる、
テルル化亜鉛カドミウム(CZT)半導体
検出器モジュールの
開発・製造技術で
注目を集めている企業です。

昔からテルル化亜鉛カドミウム半導体は
色彩に強いと言われています。

その技術をCTスキャンに
活用していくということでしょう。

 

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▼電気自動車、自動運転になることで、業界構造は激変していく
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日経新聞は10日、
「車検にCASEの壁」
と題する記事を掲載しました。

自動車整備士が減少している他、
スピード車検の一般化による競争激化などで
自動車販売店を取り巻く環境が
厳しさを増していると紹介。

 

さらに、
2024年からは自動運転などを見据えた
OBD車検が新たに始まり、
販売店の淘汰・再編の引き金になる可能性が
あるとしています。

電気自動車になると、
車検もほぼ自動的に
すべてチェックできてしまいますから、
これまでの内燃機関を前提とする車検とは
全く別物になります。

 

今までの自動車整備士が
不要になる時代になります。

同様に、自動運転が実用化して、
レベル4もしくは5に達すると、
人間が運転する必要がなくなるので
免許も自動車教習所すら
不要になると思います。

近い将来、
業界構造が大きく変わることは
間違いありません。

 

 

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