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大前研一ニュースの視点

サウジアラビア情勢~ドローンが変える世界の軍事バランス

・サウジアラビア情勢 サウジアラムコ施設をドローン攻撃

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▼ドローン攻撃によって、世界の軍事バランスが大きく変わる
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サウジアラビア東部で14日、
国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が
無人機の攻撃を受け、出火したことが明らかになりました。

 

イエメンの反政府武装組織ホーシー派が
犯行声明を出しましたが、サウジアラビア国防省は18日、
攻撃に使用されたとする無人機や巡航ミサイルの破片を公開。

 

ホーシー派の犯行可能性を否定するとともに、
イランが関与したことの証拠だと主張しました。

今回使用されたドローンは、
航続距離1200kmとも言われています。

しかも、価格はわずか150万円程度で
製作可能というのですから、驚きです。

このドローンの活用は、世界の軍事バランスを
大きく変える可能性があると私は思います。

それほどに今回のニュースは重大な事件です。

 

例えば、日本は北朝鮮のミサイル攻撃対策として、
米国の陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)を、
萩と秋田に設置する方針を検討しています。

 

しかし、今回のドローンを使われたら、
イージス・アショアを無力化することが可能でしょう。

ドローンは低空で飛行するため、レーダーに引っかからず、
さらにステルス化することもできます。

イージス・アショアでミサイルを検知することはできても、
ドローンを検知して対抗することは難しいでしょう。

今回攻撃を受けたサウジアラムコの石油施設の様子を見ると、
攻撃力も十分にあるとわかります。

しかもドローンは、最後の瞬間に目視で操作できるため
攻撃の的中率が高くなります。

 

今回のサウジアラムコの石油施設への攻撃でも、
ミサイルの的中率は80%ほどでしたが、
ドローンからの攻撃は100%命中しています。

 

米国は日本に北朝鮮の驚異を煽って、
イージス・アショアを売りつけようと試みていますが、
それを根底からひっくり返す事態です。

 

価格も安く、若干知識があれば
組み立ててプログラムできてしまうのですから、
恐ろしい限りです。

現在、世界中で防衛策の基本となっているのは
ミサイル防衛システムです。

 

ドローンにはミサイルほどの圧倒的な破壊力は
期待できませんが、それでも今回のように、
軍事的に重要な拠点・施設をピンポイントで狙うには十分です。

今後は、世界中の国が軍事的に大きな変更を
余儀なくされることになると思います。

 

高額なミサイルの開発は不要になり、
ドローンを中心とした攻撃・防衛に
切り替わっていく可能性が高いでしょう。

 

 

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▼戦争も辞さない強気のイラン、話し合い決着を望む日和気味のトランプ大統領
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今回のサウジアラビアの石油施設の破壊を受けても、
世界的に原油価格はあまり上がっていません。

サウジアラビアだけでなく、
ロシアや米国も多くの原油を産出できる時代だからでしょう。

実際、米国のトランプ大統領は備蓄している原油を出してきて、
この機会に一儲けしようという動きを見せています。

 

今回のドローン攻撃について、
ホーシー派はイエメン方面から飛行してきたと述べていますが、
サウジアラビアはイラン側から飛来してきたと主張し、
真っ向から否定しています。

 

シーア派の盟主・イラン、
スンニ派の盟主・サウジアラビアとしての対立そのものです。

 

イラクはフセイン大統領の頃には、
同大統領がスンニ派であったこともあり、
イランと戦争をする立場でしたが、
今では人口比率で多数派であるシーア派が名実ともに
マジョリティになりイランに取り込まれている状態です。

 

その他、シリアやイエメンについて見ると、
アサド元大統領はアラウィー派ですが、
現在のシリアのマジョリティはスンニ派。

イエメンはサウジアラビアの侵攻に対して、
イランのバックアップを得たホーシー派が対抗している状況です。

 

イランの遠隔操作にも関わらず、想像以上にホーシー派が
善戦しているため、実はサウジアラビアは
軍事的に弱いのではないか?と言われています。

そんな中東情勢において、今回の事件が発生しました。

イランは否定していますが、
イランが裏で糸を引いていると思っている人が多いでしょう。

イランは、もし戦争になるならそれも辞さず、という
強い姿勢を見せています。

意外にも、そんなイランの態度に及び腰になっているのが
米国トランプ大統領です。

 

今のタイミングで開戦してしまったら、
トランプ大統領の選挙期間中も
戦争が続くことになるのは間違いありません。

それは避けたいので、
何とか話し合いで決着するように促しています。

 

仮にイランに制裁を加えるとなっても、
トランプ大統領にできることは
「イランへの送金をできなくする」
「イランへの輸出を制限する」などの
間接的なことだけです。

 

そのため、いつもあれだけ強気なトランプ大統領が、
珍しく日和った態度を示しています。

 

 

 

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