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大前研一ニュースの視点

キーエンス/サイバーエージェント/日立建機/JT/SBIHD/食べログ ~日立建機は売却すべきではない

・キーエンス 人へ投資が高収益の源
・サイバーエージェント ゲーム頼みの最高益
・日立建機 株価が一時前日比7%高
・JT 加熱式たばこ、なぜ出遅れた?
・SBIHD 新生銀TOBの条件変更否決
・食べログ グルメサイトで店の点数急落、独禁法違反の恐れも



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▼キーエンスの営業手法の強み
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日経新聞は先月29日、
「人へ投資が高収益の源」
と題する記事を掲載しました。

センサー大手のキーエンスが
先月28日に発表した
2021年4~9月の連結決算は
純利益が前年同期比68%増となり、
3年ぶりに過去最高を更新しました。



強みは営業力を支える高い給与水準で、
平均年収は1700万円台と
10年で3割増加したとのことです。

日本全体の平均年収が伸びていない中、
キーエンスは給与水準が上昇しています。

キーエンス創業者の滝崎氏は、
昔から「儲からない仕事は取るな」
という姿勢でした。



そしてキーエンスでは、
理系でも文系でも
必ず営業を経験させます。

その営業手法は
徹底した「ソリューション営業」です。

相手の工場の中に入り込んで
業務のボトルネックを見つけます。



そして、
そのボトルネックを解消するシステムを
提案するというものです。

例えば、
システムによってボトルネックを解消することで
利益が240億円増加することがわかれば、
提案されたシステムが24億円だったとしても
顧客にとっては高くないはずです。



もしそれでも高いと言われるのなら
「今まで通りの業務を続けてください」と
安易な値引き営業をしない方針です。

一般的な企業の営業手法は
基本的には自社の商品を買ってくれという
「モノ売り」の営業スタイルが
圧倒的に多いでしょう。



そのようなモノ売り営業をせず
値引きをしないからこそ、
キーエンスは高収益を維持できています。

1つ誤解して欲しくないのは、
キーエンスの労働分配率は決して高くなく、
むしろ低い水準であるということです。



つまり、給与が高いと言われていますが、
実際の収益から見ると
まだまだ高い給与を払う余力さえ
あるということです。

日本ではトヨタに次ぐ
時価総額を誇るキーエンスは、
1980年代からずっとこのような経営を
継続しています。

 




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▼サイバーエージェントは赤字のメディア事業を継続するのか?
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日経新聞は先月28日、
「ゲーム頼みの最高益」
と題する記事を掲載しました。

サイバーエージェントが成長事業と見込む
ネットテレビAbemaが
苦戦しているとのことです。



昨期の決算で
電通グループが大幅な赤字に陥る
市場環境においても、
サイバーエージェントは堅調に
利益を出していました。

セグメント業績を見ると、
インターネット広告、ゲームが
大きな黒字を出している一方で、
ネットテレビAbemaの
メディア事業は赤字が続いています。



メディア事業については
藤田社長が自ら陣頭指揮をとっている事業で、
非常に強い思い入れを感じます。

すでにAbema事業の収益化の
目処が立っているのかもしれませんが、
メルカリが赤字でも
米国で展開しようとしているように、
血まみれになろうとも
やり抜きたいという意向なのかもしれません。

 




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▼日立建機は売却すべきではない
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先月27日の東京株式市場で
日立建機の株価が4日続伸し、
一時、前日比7%高の3720円まで
上昇しました。

前日の取引終了後に発表した
2021年4~9月期の連結決算が
市場予想を上回ったこと、
また2022年3月期の通期決算を
上方修正したことなどが
好感されました。



キャタピラーもコマツも
好業績を出していますし、
世界化に成功した日立建機なら
このくらいの業績を出すのは
当然だと私は思います。

この日立建機を
日立グループは
売却する動きを見せていますが、
非常にもったいないと思います。



これだけの好業績を出していて
株価も上昇傾向です。

さらに言えば、
生活家電などが低迷し
もはや世界的に「日立」の名前を
広めるのが難しい今、
日立建機があれば
「日立(HITACHI)」の名前が
付いている商品を
欧米に広めることができるというのも
大きなメリットだと私は思います。

なぜこんな優良企業を売却しようとするのか、
私には全く理解できません。

 



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▼経営者とは思えない弱腰姿勢のJT寺畠社長/強気の姿勢を示すSBI北尾社長
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日経新聞は先月28日、
「加熱式たばこ、なぜ出遅れた?」
と題する記事を掲載しました。

JTの寺畠社長が日経新聞のインタビューに応じ、
米のフィリップ・モリス・インターナショナルに
加熱式で差をつけられたことに対して
「消費者を見ていなかった、
ニーズの変化に気づけなかった」
と語りました。



消費者のニーズに
気づけなかったというのは
信じられない発言です。

正直、経営者としては、
出直したほうが良いと思えるほどです。

一方で、
相変わらず強気な態度で
TOB交渉を続けているのが
SBI北尾社長です。



先月28日、
SBIホールディングスの北尾社長は
新生銀行に対するTOBについて、
「買付価格を一銭も増やすつもりはない」
と語りました。

SBIは9月10日にTOBを開始し、
新生銀行株の48%を上限に
1株2000円で取得して
子会社化する方針ですが、
新生銀行は
SBIが買付上限を撤廃した上で
取得価格を引き上げれば
TOBに賛同すると表明していました。



北尾社長が怒っている表情を
久しぶりに見ました。

「長年公的資金を返していないのは
新生銀行(元長銀)だけで、
これでは泥棒と一緒だ」と
強い調子で語っていました。

北尾社長はこうした強気の交渉が
天才的に上手な人なので、
今後の展開には注目したいと思います。

 




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▼食べログは独禁法違反になる可能性が高い
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日経新聞は先月31日、
「グルメサイトで店の点数急落、独禁法違反の恐れも」
と題する記事を掲載しました。

焼き肉や韓国料理の
飲食チェーンを展開する韓流村が
食べログを運営する
カカクコムを相手に起こした訴訟で、
公正取引委員会が裁判所に
意見書を提出したとのことです。



評価制度のロジックが明確であれば
問題ないのでしょうが、
評価ロジックも理由もわからないまま
低評価を付けられれば
店舗経営に影響が出るでしょうし、
このような問題に発展するのは
必然と言えるかも知れません。

現在の状況を見ていると
独禁法に抵触しているのでは?
という方向で調査をしているようです。

このままなら、
裁判所が独禁法違反という
判断をする可能性が高いと
私は見ています。

 

 

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