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大前研一ニュースの視点

地熱発電/再生エネルギー機器/中国EV大手 ~「モビリティー革命」に向けて考えておくべきこと

・地熱発電 地熱産業、揺らぐ日本優位
・再生エネルギー機器 太陽も風も、再生エネに油断
・中国EV大手 中国、商用EVを対日輸出

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▼地熱のポテンシャルを活かしきれていない日本
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日経新聞は12日、
「地熱産業、揺らぐ日本優位」
と題する記事を掲載しました。

地熱発電の方式で、
低温・小型の「バイナリー方式」が勢いを増し、
日本が約7割のシェアを持つ
高温・大型の「フラッシュ方式」が
採用されにくくなっていると紹介。

 

バイナリーは
比較的小規模な開発ですむのに加え、
発電用に汲み上げた熱水を
ほぼ全て地下に戻すため
環境負荷が低いとされることも追い風で、
日本企業もバイナリーへの対応に
動いているとのことです。

 

地熱発電は
米国のシェールオイルと同じように、
地層に穴を開けて
発電エネルギーを得るもので、
地熱貯蔵層より地熱流体を取り出して
タービンを回転させて発電します。

従来のフラッシュ方式は大型ですが、
バイナリー方式は小型で
開発コストを低く抑えることも可能で、
認可に要する期間も
短いというメリットがあります。

 

日本は地熱資源量において
米国、インドネシアに次ぐ
3番手のポテンシャルを
持っているにもかかわらず、
実際の地熱発電量は
世界で10番目ほどに留まっていて、
ポテンシャルを
全く活用できていません。

 

また、従来のフラッシュ方式による
地熱発電用のタービンでは
日本勢メーカーが
世界のトップシェアを
独占していましたが、
バイナリー方式では
海外メーカーに勢いがあり、
日本勢は完全に出遅れている状況に
なってしまっています。

 

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▼半導体、液晶、太陽光に見る日本の負けパターン
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日経新聞は18日、
「太陽も風も、再生エネに油断」
と題する記事を掲載しました。

太陽光、風力など
再生可能エネルギーに
思わぬリスクが浮上してきたと紹介。

 

シリコンを主原料とする
太陽光発電パネルは
中国が世界シェア7割を占める一方、
新疆ウイグル自治区では
強制労働の疑いが浮上しており、
「再生エネに石油のような地政学リスクはない」
という楽観論は揺らいでいるとしています。

 

半導体、液晶、太陽光パネルにおける
日本の凋落ぶりを見ていると、
お家芸のような負けパターンだと
感じてしまいます。

さらに、もう1つ注目したい領域が
「電池」です。

 

電気自動車(EV)に
シフトする流れにおいて、
電池の需要が
増加することは必至です。

しかしこの領域でも
車載電池でトップを独走する
中国CATL(寧徳時代新能源科技)を代表に、
中国勢や韓国勢の強さが目立ちます。

日本はかつて強かったのに、
今では中国や韓国の後塵を拝している状況です。

 

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▼EV、自動運転の未来を迎える準備としてするべきこと
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日経新聞は12日、
「中国、商用EVを対日輸出」
と題する記事を掲載しました。

世界的な脱炭素の流れで
国内の物流大手がEVシフトに動く中、
中国のEVメーカーが
日本市場に攻勢をかけていると紹介。

 

日本車メーカーのEVシフトが遅れ
価格の安い中国車を選んでいる現状で、
早期に巻き返さなければ
国内市場を奪われかねないとしています。

設計から商品化まで
4~5年ほどかかりますから、
「早期に巻き返す」というのは
極めて不可能に近いと私は思います。

 

日本郵便、ヤマトホールディングス、
佐川急便のような配送業者が
中国製EVと契約してしまったら、
それをひっくり返すのは
一筋縄ではいかないはずです。

配送業者にとっても、
EVを利用することで
「街を汚さずに配送しています」
と言えるのは
大きなアピールになりますから、
どんどん中国勢のEVへ
シフトする動きが強くなっています。

 

日本メーカーは
テスラを中心とした
乗用車ばかりに目を向けていましたが、
完全に裏をかかれた状態です。

今後EVにシフトしていくことは
間違いありませんが、
私はHVを併用しながら
段階的にシフトして行くべきだと
思っています。

 

「カーボンフリー」という言葉などが
取り上げられる機会が増え
EVへの期待が高まるのはわかりますが、
一気に推し進めると
ガソリンスタンドをどうするのかなど
様々な問題が出てきます。

そのためには、ロビー活動が重要です。

 

これまでのガソリンという
インフラを活用しつつ
従来の10分の1のコストに
抑えることができるなど、
HVの良さ・メリットを
政治家にわかるように
説明するべきでしょう。

ロビー活動に力を入れるタイミングとしては、
今から5年後くらいが
適切ではないかと私は予想しています。

 

今はその時に備えて
準備しておくことが大事だと思います。

また、EVに加えて
自動運転まで実用化すると
「モビリティー革命」が起こります。

これは自動車産業に限った話ではなく、
ありとあらゆる産業が
多かれ少なかれ影響を受けると思います。

 

例えば、鉄道やバスなどの公共交通機関や
ウーバーのようなライドシェアサービスも
大きく影響を受けるでしょう。

また、交通規制を取り締まる
白バイやパトカーが不要になり、
高齢者の免許返上もなくなるでしょう。

 

また、それに伴って、
様々な保険サービスも
大きく変わるはずです。

自動車産業とは無関係に思えるような
農家の人でも、
農作物を出荷の時に
自動運転の技術を活用することも
できるかも知れません。

 

「モビリティー革命」を
どうやって活用することが
できるのか。

自分の今の事業に活かすには
どうすればいいのか。

あらゆる産業の人が
未来を見据えて
考えておくべきことだと
私は思っています。

 

 

 

-大前研一ニュースの視点