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大前研一ニュースの視点

水上ドローン/軍用ドローン/イラン情勢/核保有国 ~ドローンが戦争の形を変えた

・水上ドローン ウクライナ軍が人類史上初の水上ドローンで対艦攻撃
・軍用ドローン イランがドローン量産・輸出
・イラン情勢 イランがサウジ攻撃を画策
・核保有国 ロシアが核保有国に戦争回避呼びかけ



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▼ドローンが戦争の形を変えた
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ウェッジオンラインは2日、
「ウクライナ軍が人類史上初の
水上ドローンで対艦攻撃」
と題する記事を掲載しました。

クリミア半島のセヴァストポリ港を
本拠とするロシアの黒海艦隊に
ウクライナ軍がドローン攻撃を仕掛け、
その映像を公開したとのことです。



ロシア軍は全機を撃墜したと
発表したものの、
その報復として
ウクライナ産穀物の輸出の合意を
一時停止するなど、
衝撃を受けた事は明白で、
これは現代版の大艦巨砲主義を
終わらせる号砲になるとのことです。

ドローンという新しい技術で
黒海艦隊を
機能停止に追い込んだという、
非常に重要なニュースです。



プーチン大統領は、
穀物輸出に関する合意を盾に
ウクライナから
譲歩を引き出しましたが、
大きなダメージを負ったと考えられます。

戦局については、
どちらが優勢なのか
日々めまぐるしく移り変わっている状況です。



全体としてとらえると、
ロシアは戦車などを送り込んで
占領地を増やすという戦い方から、
ミサイルなどで
ウクライナのインフラを破壊する方向に
変化しています。

 



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▼ドローンの軍事転用を止めるのは難しい
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日経新聞は3日、
「イランがドローン量産・輸出」
と題する記事を掲載しました。

記事によると、
ウクライナに侵攻したロシア軍が、
イランから調達したとみられる
自爆型のドローンを
多用しているとのことです。



イランは核疑惑に伴い
様々な経済制裁を受けているものの、
ロシアに輸出しているドローンは
民生用の部品で製造できるとのことで、
こうしたドローンへの対処は
日本にとっても
喫緊の課題としています。

当初イランはドローンの輸出を
否定していましたが、
最近になって外務相が
「戦争が始まる前に輸出した」と
発言しました。



また、
戦争が始まってからも
輸出を続けている証拠も
数多く存在し、
ゼレンスキー大統領は
イランがまだ
嘘をついている可能性があると
主張しています。

ロシアはミサイルの不足を
ドローンで補っているような
状況です。



ドローンを使用した攻撃の例として、
2015年に日本の首相官邸屋上に
ドローンを落下させた事件が
ありました。

米国では
ホワイトハウスのレーダーに
ドローンが捉えられなかったことや、
フランスでは
テロ攻撃に弱いことを証明するために
原発にドローンをぶつけた事件などが
発生しています。



さらにベネズエラでは
マドゥロ大統領の演説中に
ドローンを爆発させるというテロも
起こっています。

2021年にはサウジアラビアで、
フーシ派が
旅客機を攻撃、炎上させる事件が起こり、
その後は大量のドローンで
サウジアラムコの施設や
UAEの空港を攻撃するなど、
ドローンが軍事・テロ目的で
利用されてしまっています。



私の息子も
ドローンファンドをやっていますが、
軍事開発をしない方針が
明確なところにしか
投資していません。

ですが、
日本の技術も
悪用されてしまう可能性は
否定できないのが現実です。



イランのドローンも
米国の製品を模倣し、
そこからさらに中国へ流出し、
改良されているようです。

残念ながら
ドローンの軍事利用の可能性は高く、
軍事転用しようとする企業は
どんどん潤っているのが現状です。

もしかするとドローンが
ウクライナ戦争の動向を
決めることになるかもしれません。

 




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▼イランの苦境が緊張を招いている
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サウジアラビア政府が
イランによる攻撃が
差し迫っているとの機密情報を
米国と共有し、
中東に駐留する米国軍や周辺国が
警戒レベルを引き上げたことが
わかりました。



イランでは9月以降、
ヒジャブをめぐる
抗議デモが続いており、
イラン当局はデモを扇動しているとして
サウジ、米国、イスラエルに
批判の矛先を向けていました。

サウジとイランの反目については、
お互い様という印象です。



イランは現在、
失業率はそこまで高くないものの、
インフレ率は4割に達しており
経済的には苦しい状況です。

さらに最近では、
ヒジャブのつけ方が問題視されて
逮捕された女性が
死亡した事件も発生し、
政府への不満・不信が高まっています。



その矛先をそらすために
サウジアラビアとの対決姿勢を
打ち出したところ、
その情報を掴んだサウジアラビアが
イスラエル・米国と共に
対策を取ろうとしている形です。

サウジアラビアとイランは
共にイスラム教の国ですが、
サウジアラビアはスンニ派、
イランはシーア派で、
歴史的に反目しあっていた宗派に属します。



宗教上の理由からも犬猿の仲で、
仲良くやるのは
なかなか難しい両国です。

 





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▼自己正当化だけの無意味な声明
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ロシア外務省は2日、
米国、英国、フランス、中国などの
核保有国に対し、
核戦争の回避に向けて
取り組むべきとする声明を
発表しました。



この声明では、
「ロシアが核兵器を使用するのは、
自国に対する大量破壊兵器による攻撃や、
国家の存立が
危うくなった場合に限られる」とし、
現在の複雑で不穏な状況で、
核保有国の軍事衝突を回避することが
喫緊の課題と主張しています。

私に言わせれば、
ロシアは既に国家存立の危機です。



プーチン大統領が
自ら起こした侵略のせいで、
国際社会からは孤立し、
経済制裁を受け、
戦争そのものも勝てるかどうか
わかりません。

ロシアの声明は、
戦争に負けそうになったら
自分の判断で
「国家存立の危機」だと言える
ロジックですし、
ロシアはきっと言うでしょう。



つまり、
結局は客観的な基準があるわけではなく、
自国の都合で
核の使用を正当化すると
言っているにすぎません。

自分で戦争を始めておいて、
他の核保有国には戦争回避を訴え、
核兵器で脅すことで
他国の介入を牽制するなど、
あまりの厚顔ぶりに
開いた口が塞がりません。



北朝鮮とロシアは、
自分たちが使いたいときには
核兵器を使うのでしょう。

今回のような声明は
真に受けないほうがいいと考えます。

 

-大前研一ニュースの視点