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大前研一ニュースの視点

コネクテッドカ―/自動運転規制/仏ルノー/三菱電機 ~日産は主導権を取り戻せるか

・コネクテッドカ― 通信途絶時にも自動運転継続の技術開発へ
・自動運転規制 許可制で「レベル4」解禁へ
・仏ルノー ルノー、日産の連合維持求め
・三菱電機 一連の品質不正問題で最終報告書公表



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▼自動運転は通信に頼らない方向で進めるべき
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スバルが
通信が途絶えた時にも
自動運転を続けられる技術を
開発する見通しです。

自分と周囲の車の位置情報を
センサー等で収集し、
数秒後にどこにいるかを
予測することで、
速度や進路方向などを制御し、
衝突等を回避するものです。



大規模な通信障害に備え、
各社が自動運転の安全対策を
進めている現状です。
    
私は
通信に頼った自動運転の仕組みは
危険だと考えています。

長いトンネルなどでは
どうするかという
問題もありますし、
突発的な通信障害に対応ができません。



5Gから6Gへと
技術は進化を続けていますが、
「通信は途切れる」という問題を
常に考えておく必要があります。

自動運転を実現するなら、
人間が運転する時と同様に、
車自体にセンサーと判断能力を
搭載するべきです。



周囲を見る、異音を聞く、
アルコール臭などを嗅ぐといった機能を
車に備えて、
それらの情報から
判断する能力を持たせる。

こうしておけば、
もし判断できない状況になった時には
安全なところに停車することで
危険は回避できます。


    
スバルの新技術も
センサーを重視する仕組みのようですが、
これは緊急時用の
特別な機能ではなく、
本来あるべき姿だと私は考えます。

 




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▼世界から見ると遅い法整備
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警察庁は先月27日、
特定の条件下で
運転を完全に自動化する、
レベル4の運行許可制度を盛り込んだ
改正道路交通法を、
来年4月1日に施行する方針を
示しました。

人による運転とは別に、
システムによる特定自動運行の
規定を新設するもので、
レベル4の公道走行をめぐっては
主要国では
ドイツ、フランスに次いで、
法整備を進めることになります。


    
運転と法整備の関わりで
一番身近なものは運転免許ですが、
レベル4に取り組んでいるうちは
まだ関係ありません。

レベル4は
「限定領域内で
システムが全ての運転タスクを実施」と
定義されており、
この「限定領域」とは
高速道路などを指します。



なので、
高速道路に乗るまでは
今まで通りの運転をしないといけないので、
免許制度は変わらないはずです。

レベル5になると、
免許が不要になったり、
あるいはオートマ限定免許のように
自動運転限定免許が
現れたりするかもしれません。


    
今回の道交法改正は 
来るべき自動運転の時代に向けて、
技術や制度を洗練する観点からも
歓迎すべきことです。

とはいえ、
自動運転タクシーの実証実験で
先行するシンガポールや、
限定的ながらも、
既に自動運転車が運行している
ミシガンに比べると、
遅きに失していると
言わざるを得ません。



ドイツやフランスが移行し、
これ以上先延ばしには
できないところまで
追い込まれて、
ようやく始まるといった印象です。

やっと公道で
レベル4の車が走り出すことになりますが、
事故が起こった際に
マスコミが騒いで
また逆戻りしてしまうことが心配です。

 




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▼日産は主導権を取り戻せるか
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フランスのルメール財務大臣は
先月18日、
フランス・ルノーと
日産自動車の連合について、
維持される保証を求める考えを
示しました。

ルノーと日産は
現在双方の出資率を15%に揃える方向で
協議していますが、
ルメール氏は
「連合はルノーにとって、
技術やプラットフォームの観点で
利点がある」と指摘しました。


    
そもそもルノーは
カルロス・ゴーンを
送り込んできた責任を
どう考えているのでしょうか。

フランスの法律にも
抵触しているはずなのですが、
その話はあまり触れられません。

また、ルノーと日産を比較すると、
会社の規模も技術力も
日産が勝っています。



私は両者の規模に応じた
出資比率にすべきだと思いますが、
差し当たり
お互いの経営にあまり干渉できない
15%で揃える今回の案は、
ひとまず前進したと言えるでしょう。
    
電気自動車(EV)専門の会社を
別途つくるという案も
あるようですが、
これの主導権がどうなるのかにも
注目です。



EV関連特許の数は、
日産が2,000件を超えているのに対し
ルノーは300件少々、
研究開発費も累計販売台数も
日産の方が上です。

今後ルノーは
EVに特化していくとのことで、
今年の販売台数こそ
ルノーが勝っていますが、
総合的な実績を鑑みれば
日産がリードしていくべきだと
考えます。


    
問題は、
この交渉をまとめるだけの人材が
日産にいるのかどうかです。

ルノーと日産の
統括会社を見てみると、
役員に英国・サンダーランドの
日産工場出身の方がいます。

この方々なら
言葉の面では不利はないので、
期待したいところです。

 




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▼“品質保証”の導入で体質から改善すべき
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三菱電機は先月20日、
鉄道車両用の空調装置で
不正な検査が
発覚した問題をめぐり、
調査委員会がまとめた最終報告書を
公表しました。

報告書によると
不正件数は累計197件で、
前会長の柵山正樹氏が
関与した不正も発覚したとのことで、
新たに役員10名に対し、
報酬の減額や返納要請処分を
実施したとのことです。


    
長年にわたり不正があり、
さらに報告があったあとも
不正を繰り返しているとなると、
これは企業体質の問題だと
言わざるを得ません。

日野自動車と三菱電機、
他にも同じ問題を抱えている
日本企業は存在すると
推測します。


    
多くの日本企業には、
品質管理部門はあっても
品質保証部門がありません。

品質保証(クオリティアシュアランス)とは、
技術について精通している人間が、
企業として
市場に出していいクオリティかどうか
判断する役目を負い、
社長であれども
この判断には
従わないといけないというものです。



日本にはこのコンセプトが
一般的ではないために、
「売り上げを伸ばすために
新商品をすぐ発売してくれ」という
経営側の要請があったときに、
止める権限がある人がいません。

それが不正の動機になったり、
品質に問題があるものを
市場に出してしまったりする
原因になっています。


    
相次ぐ検査不正を
防いでいくためには、
この品質保証の考え方を導入し、
企業体質から
変えていく必要があります。

 

 

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