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大前研一ニュースの視点

百貨店大手/日本交通グループ/三菱商事 ~21世紀的なスキル獲得に繋がる運用を望む

百貨店大手 東急百貨店本店が閉店
日本交通グループ パート運転手の募集開始
三菱商事 最長2年間の休暇認める制度導入



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▼弱みだったホテル、食事の充実に期待
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東急百貨店本店が先月閉店しました。

東急百貨店本店は1967年に開業し、
地上8階地下3階の店舗では、
近隣の高級住宅街である
松濤の住民向けに
高級ブランドを揃えるなど、
渋谷のシンボルの1つとして
親しまれてきました。

今後跡地には
地上36階建ての複合ビルを建設し、
外資系のラグジュアリーホテルなどが
入るとのことです。

渋谷はいわゆるターミナル駅で、
駅直結の商業施設として
デパートがありました。

その代表格が東急百貨店です。

一方で、ホテルが少なく、
高級ホテルに分類されるものは
セルリアンタワーしかありません。

逆に新宿は、
ハイアット系の最高峰である
パークハイアットをはじめ、
ホテルが充実していて
百貨店が物足りないという
現状があります。

帝国ホテルや
六本木のグランドハイアットと
比較すると、
私に言わせれば
セルリアンタワーは見劣りしてしまい、
外国からのゲストに
使っていただいた経験も
ほとんどありません。

渋谷は若者の街であり、
ハイテク企業が集まる街でもあります。

近年では再開発も進み、
スクランブルスクエアも
完成しました。

しかし、
ホテルや食事の充実度も改善して
中身から変わっていかないと、
ただ電車と人が集まるだけの街で
終わってしまうと危惧しています。

ちょうど池袋は
没落を食い止めようと、
豊島区長と西武グループ、
ヨドバシカメラが
協議を重ねています。

渋谷にとっては、
自分たちより
苦労している街があるという
安心感があるかもしれませんが、
私としては、
池袋とは比べ物にならないほどの
洗練された街を
目指して欲しいところです。




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▼高齢化・人手不足をITと女性活用で解決する試み
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タクシー大手の
日本交通グループである
ハロートーキョーが、
配車アプリ「GO」を運営する
モビリティテクノロジーズと提携し、
求人サイトで
パート運転手の募集を開始したことが
わかりました。

週3日、1日5時間からのシフト制で、
午前6時から午後10時の間で
希望の勤務時間帯を選べ、
高齢化や新型コロナ禍で
タクシー運転手が減少する中、
雇用形態を多様化し、
人材を確保する考えだとのことです。

非常に興味深い取り組みです。

タクシードライバーの
人手不足・高齢化は深刻で、
2008年には
35万人以上いたタクシードライバーが、
2020年には
25万人ほどにまで減少しています。

平均年齢は60歳を超え、
平均勤続年数は約10年となっており、
女性の中から候補者を探さないと
供給がまったく追いつかない状況に
なっています。

今回の取り組みでは、
普通自動車第一種運転免許さえ持っていれば
応募でき、
普通自動車第二種運転免許の取得費用は
会社が出すことになっています。

さらにシフト制で
時間に融通を効かせる働き方ができる上、
トラブルに巻き込まれるリスクが高い
”流し”の営業はやらないという
女性にとって
働きやすく安心な設計がされています。

会員登録が必要な配車アプリ「GO」の
専属ドライバーとして働いてもらうことで、
身元がはっきりしている客だけを
回せるという仕組みです。

深刻な人手不足の解決策として、
デジタル技術を活用し、
リスクを回避しつつ
女性に機会を提供することは、
企業戦略として
非常に面白いと受け止めています。




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▼21世紀的なスキル獲得に繋がる運用を望む
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三菱商事が
新たに導入する人事制度で、
国内や海外の大学・大学院で
学位の取得を目指す社員を対象に、
最長2年間の休暇を
認めることがわかりました。

これまで大手商社は、
1つの部門でキャリアを積む
縦割りの人事制度を
採用してきましたが、
近年、脱炭素やDXなど
課題が部門横断的になる中、
社員の多様なスキル取得を後押しし、
会社の競争力強化につなげる考えです。

大学などで採用されている、
長期勤続者に対して
一定期間長期休暇を与えられる
サバティカルのような制度だと
理解しています。

過去にオムロンが
8か月の長期休暇制度を
導入したことがありましたが、
その時は上手くいきませんでした。

当時の日本は
ワーカホリックの会社人間が
当たり前の社会でした。

そのため、
休暇中も仕事が気になる、
復帰したときに席があるのか不安になる、
いっそのこと米国横断でもしようと
国外に飛び出してみても、
米国支社があるシカゴに
立ち寄りたくなってしまうといった
悲しい日記が
雑誌で紹介されていました。

今ならこうしたことは
起こらないと思います。

本来リスキリングは、
ドイツのシュレーダー元首相のように
国が責任をもって
取り組むべきことです。

とはいえ、
商社が制度として
2年間のリスキリングの機会を
取り入れたことは評価します。

学位取得のための休暇だと
紹介されていますが、
大切なのは学位ではなく
スキルの取得です。

私に言わせれば
学位にはなんの価値もなく、
新しいことができるようになり、
21世紀的な取り組みを
牽引できるような人材になることこそを
重視すべきだと考えます。

-大前研一ニュースの視点