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大前研一ニュースの視点

アラスカ情勢/地球温暖化/豪電力大手/インド大気汚染 ~システム化した支援を引き出せるかが焦点

・アラスカ情勢 氷河の地すべり進行で住民に避難呼びかけ
・地球温暖化 COP27が開幕
・豪電力大手 豪電力「脱石炭」急ぐ
・インド大気汚染 PM2.5がWHO基準の30倍


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▼500mの津波が発生する可能性
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アラスカ中南部にある
プリンス・ウィリアム湾の氷河で
地すべりが進行しているのを受け、
アラスカ州当局が
地域の住民などに避難するよう
呼びかけていることがわかりました。



地すべりが起きている斜面の規模は
およそ5億立方メートルで、
これが下方の海中にすべり落ちた場合、
歴史的な大津波を引き起こす
可能性があるとのことです。

一説によると、
予想される津波の高さは
500mと言われています。



東日本大震災の際に
福島県で観測された津波が約15mなので、
想像を絶する大きさです。

地震と違い、
地すべりが起こる予想はかなり正確で、
実際に発生してしまう可能性は
高いと言えます。

津波の範囲は
局地的なものに留まりますが、
プリンス・ウィリアム湾の
氷河崩落には
しばらく注視する必要があります。






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▼善意ではなくシステムによる環境対策支援を
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地球温暖化対策を話し合う
国連気候変動枠組条約
第27回締約国会議(COP27)が6日、
エジプト北東部の
シャルム・エル・シェイクで
開幕しました。

序盤の7日、8日は
首脳級会合が行われ、
英国・フランス・ドイツなどの首脳が
脱炭素社会に向けた取り組みを
発言しました。



今回の会議では、
異常気象で甚大な被害を受ける
途上国への支援や、
各国が温暖化ガスの排出削減目標を
引き上げられるかが主な焦点で、
14日から始まる閣僚級交渉に
注目が集まります。

今回の会場となっている
エジプトのシャルム・エル・シェイクは、
アレキサンドリアなど
地中海沿岸とは逆側の、
紅海に面したリゾート地です。



ロシアやウクライナの人たちから人気で、
ムバラク元大統領が
政権を追われた時も
ここに逃げ込みました。

グローバルな温暖化対策は、
過去に環境を汚染した先進国から、
これから汚染するであろう
発展途上国に
お金を支払わない限り
不可能だと考えます。



しかし、
善意に基づいた今の支援制度では
お金は集まらず、
前に決めた1,000億ドル規模の支援も
できていません。

これを実現するためには、
例えば先進国の消費税の1%は
途上国の環境対策支援に送るなど、
支援をわかりやすく
システム化するしかないと考えます。



今回の会議の焦点も、
いかにシステム化した支援を
引き出せるかどうかにあります。

世界の二酸化炭素排出量を
見てみると、
先進国全体は減少し、
中国が急速に増加しているという
傾向にあります。



米国と中国の両国が
二酸化炭素排出量を大幅に減らせば
地球全体としてかなり減るのですが、
現実的な案として
「消費税の1%」といった形で
途上国をサポートすることを提案します。

排出の原因は、
エネルギーとして
化石燃料を燃やしていることが
73.2%を占め、
最近話題の牛のゲップのような
農業・林業・土地利用に関するものが
18.4%です。




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▼自然条件に恵まれていても太陽光は育っていない
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日経新聞は8日、
「オーストラリア電力、『脱石炭』急ぐ」
と題する記事を掲載しました。

オーストラリアの大手電力会社が、
石炭火力発電所の閉鎖の前倒しを
相次いで打ち出しています。

投資家などから
脱炭素への圧力が強まっていることを
受けたものですが、
電力供給の逼迫懸念は高まっており、
天然ガスなど他の資源輸出にも
影響するとしています。



オーストラリアの石炭依存は高く、
主力である火力発電の2/3~3/4が
石炭火力で賄われています。

2005年頃から
天然ガスの利用が増加し、
2010年頃から
風力や太陽光のシェアも伸びてきました。



オーストラリアでの
太陽光発電のポテンシャルは、
砂漠があるため
非常に高いのですが、
まだ石油・石炭発電の
半分以下の発電量しかないのが
現状です。




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▼20年間改善していないインドの大気汚染
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インドの首都ニューデリーで4日、
大気汚染物質のPM2.5の濃度が
世界保健機関(WHO)の基準の
30倍となりました。

自動車の排ガスや
近隣州での野焼きに加え、
気象条件の悪さなどが
要因とのことです。



日本では1960年代後半、
川崎などの工業地帯では
大気汚染がひどく、
柳町の交差点で
交通巡査が防毒マスクをかぶって
交通整理している姿が
雑誌に掲載され、
「日本は公害対策をせず、
公害を輸出することで
価格優位に立っている」と
批判されました。

あの頃の日本とよく似ています。



私もニューデリーに
行く機会がありましたが、
曇っていると思ったら
大気汚染で光が届かないだけでした。

問題は、
私がニューデリーをよく訪れていた頃から
今までの20年間、
状況が全然改善されていないことです。



汚染が深刻な都市を
大気中のPM2.5の量が多い順に並べると、
上位5都市のうち4都市がインド、
上位100都市でも63都市がインドです。

これでは、
インドでは
誰も対策していないのではないかと
疑ってしまいます。

自分たちの健康にも
大きな影響を与える問題なので、
真剣に取り組んでもらいたいところです。

 

-大前研一ニュースの視点