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週末だけのグローバル投資コラム

英トラス首相/イタリア情勢/台湾情勢 ~大衆迎合の政治家らしい失政

・英トラス首相 英トラス首相が辞任表明
・イタリア情勢 FDIメローニ党首を次期首相候補に指名
・台湾情勢 澎湖諸島で軍事演習実施



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▼大衆迎合の政治家らしい失政
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英国のトラス首相は20日、
「保守党から選出された任務を
果たすことができない」と述べ、
辞任する考えを示しました。

9月に発表した大規模減税策の
財源が不透明として、
英国ポンドと国債が売られるなど
金融市場が混乱し、
求心力が低下したことを
受けたものです。



トラス首相は
あまり期待ができない印象だったので、
予想通りの展開です。

英国の政治的混乱の始まりは、
ボリス・ジョンソン前首相の
辞任劇でした。

コロナ禍で
パーティを開催していたことを
追及され、
嘘を突き通せなくなって
結局辞任してしまいました。



その後、
スナク氏とトラス首相との
一騎打ちでは、
窮地のジョンソン前首相を
裏切ったスナク氏が敬遠され、
最後まで辞任しなかった
トラス首相が選ばれたという
経緯があります。

政策では、
スナク氏の緊縮財政に対し、
トラス首相は減税と歳出拡大を
打ち出していました。



それが、
いざ首相になってみると
中央銀行の引き締め路線と嚙み合わず、
ポンドと国債の暴落に至ります。

当初は
「自分はファイターである」と宣言し、
減税・拡大路線を貫く姿勢を示した
トラス首相でしたが、
結局すぐ辞任。



第二のサッチャーと呼ばれながら、
本家の在任期間が11年208日なのに対し、
短命記録を樹立して
終わってしまったことは
皮肉な結果です。

また次期首相は、
当初はジョンソン前首相が
返り咲くのではないかと
報じられましたが、
党内で多くの支持を集めた
スナク氏に決まりました。



スナク首相が誕生したことで、
マーケットの混乱も
少し落ち着くでしょう。

そもそも英国は
今インフレ率10%を超えており、
そんな中で
減税・積極財政を打ち出すのは
非常識です。

おそらく人気取りで
減税を主張してしまったのだと
思いますが、
政治家としてのレベルが低いと
評価せざるを得ません。



ただ、
レベルが低い政治は
レベルが低い国民によって
もたらされるもので、
古代ギリシャの時代から、
民主主義は衆愚政治に陥ることで
終わりを迎えています。

英国、イタリア、ブラジル、米国など、
今は世界中の民主主義が
危機に陥っている時代です。

日本も例外ではありません。

 



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▼ポピュリズム政権は混乱を招くと予想
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イタリアのマッタレッラ大統領は21日、
9月の総選挙で第一党となった
極右「イタリアの同胞(FDI)」の
メローニ党首を
次期首相候補に指名し、
メローニ党首が受諾しました。

メローニ氏は
ムッソリーニの流れをくむ
ネオファシスト政党の出身です。



財政拡大路線を打ち出すなど、
市場では
政策を不安視する声も上がりますが、
新政権は上下両院の承認を経て、
月末にも正式に発足する見通しです。

今回の連立政権を構成するのは、
フォルツァ・イタリア、同盟、FDIと
すべて右寄りの三党です。



フォルツァ・イタリアは
ベルルスコーニ元首相の政党で、
FDIはファシスト党。

同盟は
私の本で勉強してくれていた
時期もあったので
あまり厳しいことは言えないのですが、
今回は講演の依頼をお断りしました。



FDIは得票率を
2018年の4.4%から26%へと
急激に伸ばし、
メローニ党首が
政権を担う形になります。

ドラギ氏は素晴らしい人材だったのに、
国民が極右政党を選んでしまったことが
残念です。



前身がファシスト党だということは
組閣の際にうまく隠すと思いますが、
メローニ政権も
トラス首相と同じ運命をたどるのではと
予想します。

積極財政を宣言していることも
共通しますし、
現にイタリア国債の利回りも
高騰しています。



プーチン大統領と
親しいという情報もありますし、
対ロ政策で
EUと揉めることにもなりそうです。

 




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▼台湾有事となれば中国政府が危機に陥る
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台湾国防部は19日、
台湾海峡に位置する澎湖諸島で
実弾を使った軍事演習を
実施しました。

中国が台湾の離島に
上陸することを想定し、
主力のM60戦車等が
海上に向けて実弾を発射する訓練を
行ったもので、
邱国正国防部長は
「今後はいかなる事態もあり得るとして、
あらゆる準備をする」
との考えを示しました。



澎湖諸島は
蔡英文総統の出身地で、
台湾本島と中国本土に近い
金門島・媽祖島との間に位置します。

台湾有事の際には、
澎湖諸島が中国の上陸拠点になると
想定されるため、
阻止する作戦の演習です。

台湾政府では、
中国は3段階で侵攻してくると
考えられています。



まずは演習の名目で
中国沿岸に軍を終結させ、
台湾民衆のパニックを誘います。

次にロシアの手口と同様に、
演習とされていた部隊が
実際に攻撃を始め、
最後に海と空から一気に上陸し、
制圧を図るという想定です。



とはいえ、
台湾はウクライナと違い、
防衛政策はかなり整っています。

裕福な国でもあるため、
今後は米国から
最新の武器を購入していきますし、
共同での武器生産も
進めようとしています。



また、
空母が出てきても
十分に対処可能な軍備を備えており、
サイバー作戦能力も高いと
考えていいでしょう。

さらに兵力に関しても、
正規軍が10万人以上いる他に、
2018年まであった国民皆兵令の元で
軍事訓練を受けた人が
約166万人存在します。



数の上でも中国に引けを取りません。

もし台湾有事になれば、
中国の上陸はことごとく阻止され、
逆にミサイルや戦闘機で
中国内陸部にまで
反撃が及ぶのではないかと考えます。

そうなると、
中国国民の間で
政府への信頼が大きく揺らぐため、
北京はそう簡単に
侵略を決断できないはずです。

 

 

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