ヘリコプターマネーの本質 (5)そもそも財政政策であり財務省の管轄
2019/01/28
ヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策のポイントは、平等に同じ金額を配ることです。
決して一部の人だけに恩恵を渡してはなりません。
逆に国民から平等に金額を巻き上げて一部にばら撒く消費税は、
経済を破壊する「逆ヘリマネ政策」なのです。
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そもそも金融政策だけでヘリマネ政策を行うことは不可能です。
金融政策は金利や通貨価値をマクロ的に動かすため、
恩恵が一気に偏るからです。
たとえば金利を下げれば借金をしている人々が利益を受け、
預金者などカネを貸している人々が損をします。
通貨安にすれば輸出企業が利益を受け、輸入企業が損をします。
同じ国内で「利益を得る人々」と
「損をする人々」が出て、その総額は巨大です。
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日本は輸出企業に外貨を稼いでもらっているので、
通貨安にする理由があります。
しかし輸入物価が上がると、一般庶民は損をします。
そこで再配分が必要になります。
たとえば法人税は増えるはずなので、
消費税を減らすなどして一般庶民に恩恵を与えるべきなのです。
つまり金融政策だけだと恩恵がどこかに偏るので、
財政政策によってあまねく行きわたらせるべきなのです。
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ヘリマネ政策を実現するひとつの方法は、
「ベーシックインカム」と呼ばれる方式です。
これは国民ひとりひとりに、
等しい金額を定期的に支給するというもの。
中央銀行は関係なく、純粋な財政政策です。
つい最近スイスでこの政策が検討され、国民投票で否決されました。
「そんなことしたら怠け者に国が食い潰される」と慎重な意見が勝りました。
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日本で言えば今回の経済対策のうち、
「低所得者2千万人に15,000円給付」はそれに近いです。
これもベーシックインカムと同様、純粋な税制政策です。
形は違えど、財政政策だけでヘリマネ政策は可能ということです。
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ここまで書けば、「日銀がヘリマネ政策を検討!」
という話がいかに変なのか理解できるでしょう。
ヘリマネは財政政策だけでも可能で、
金融政策は補助でしかありません。
主たる管轄は財務省であって、日銀でありません。
もとから日銀に期待する話ではないのです。
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しかし今の政府は、ヘリマネと逆のことをやっています。
今年も公務員の所得が引き上げられました。
一方で民間人の夏休み予算は削られています。
共産主義も真っ青の、富と権力の集中が進行しているのです。
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ボーナスも引き上げの公算=国家公務員、3年連続-人事院勧告
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016072700945&g=pol
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夏休み予算、4年ぶり減=財布のひも固く-明治安田生命調査
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016072700596&g=eco
明治安田生命保険が27日発表した夏休みに関する調査によると、
今年の夏休みでレジャーなどに使う平均予算は8万4332円で前年に比べ4964円減少した。
4年ぶりのマイナスで、同社は「ボーナスの増えた人が減り、
財布のひもが固くなっているためだ」(広報部)と分析している。
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ヘリマネ政策は有効です。
富が集中する資本主義において、再配分によって一部をリセットします。
放っておけば弱ってしまう中流・下層の人々が元気になります。
産業が発達し、社会が活性化します。
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しかし現状では、日本の中流・下層を助ける政策は検討すらされません。
一番良いのは消費税廃止ですが、タブーとなっています。
人気取りで少額のバラマキをする以外、
ヘリマネ政策が行われる可能性はほぼゼロと考えて良いでしょう。
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ワイルドインベスターズ株式会社