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大前研一ニュースの視点

日米関係/米中関係 ~日本は対中姿勢で米国に追従すべきではない

・日米関係 日米、中国を「共同抑止」
・米中関係 台湾問題で米国を批判



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▼日本は対中姿勢で米国に追従すべきではない
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日経新聞は18日、
「日米、中国を共同抑止」と
題する記事を掲載しました。

日米両政府は
23日の首脳会談でまとめる共同声明に、
中国の行動を
共同で抑止し対処する方針を
明記する調整に入ったと
紹介しています。



また、
米国の核の傘による日本防衛や
両国の安全保障戦略の共有も
打ち出す見通しで、
米国はインド太平洋の
新たな経済枠組みを
発足することを表明するなど、
アジアへの関与を
明確にする方針としています。



「共同抑止」などという言葉は
絶対に使ってはいけない言葉だと
思います。

確かに、
最近の習近平国家主席は
権力・経済力を
振りかざす傾向があります。



中国国内での地位を
保つためとも考えられますが、
理由はどうあれ
覇権主義を前面に出す中国を
牽制したくなる気持ちはわかります。

しかし日本にとって
得になることはありません。



米国は
インド、オーストラリアと
日米による「クアッド」の連携で
中国に対抗しようとしていますが、
その効果には疑問が残ります。

24日にクアッドの会合が
開催されたものの、
インドのモディ首相にとっては
優先順位が高い問題ではなく、
またオーストラリアの
アルバニージー首相も
政権交代した翌日であるため
準備期間が短すぎます。



いくらバイデン大統領が
来日するとはいえ、
日本がこの会合を主催する価値は
あるのでしょうか。

私としては、
日本がバイデン大統領に
安易に追随するのは
危険だと考えています。



理解に苦しむ政策や言動もありますし、
米国内での支持率も
下がっています。

中国は日本にとって
2,000年前から
師と仰いできた国であり、
日本と中国には
ごく一部の「不幸な一時期」を除いた
良好な関係があるのです。



その歴史を軽視し、
「共同抑止」などという
対決姿勢を示すところまで
米国と協調するべきではないと考えます。

 




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▼東アジアに疎い米国が台湾問題で勇み足
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米国のサリバン大統領補佐官と
中国の外交担当のトップの
楊潔篪共産党政治局員が18日、
電話で協議しました。

その中で楊氏は
台湾問題について、
「米国は台湾独立を支持しないと
繰り返すが、
実際の行動と態度には
大きな差がある」と批判。



また、
「米国側が台湾カードを行使するならば、
必ず情勢を危険な境地に導く」と
警告しました。

楊潔篪氏は英語が堪能で、
駐米大使も経験している
米国通です。



彼のような人物であれば、
台湾問題で中国のタカ派を刺激するのは
得策ではないと
米国を諭していると考えられます。

そもそも
台湾がクローズアップされる背景には、
ロシアのウクライナ侵攻があります。

北大西洋条約機構(NATO)と
ロシアの間にウクライナが存在し、
米国はウクライナに
派兵しないという判断が
ロシアを強く後押ししました。



中国と米国の間に存在する台湾も
同じ構造に見えているために、
米国は台湾を守るのか否かが
注目されているのです。

しかし両者には
3つの大きな違いがあります。



まず、
NATOに加盟していなかった
ウクライナと違い、
台湾に対しては
直接米国が関与できる余地があります。

また台湾はウクライナに比べ、
軍事力も経済力も強大です。



ロシアが苦戦しているのを
目の当たりにして、
それより強い台湾を
直接叩くのは難しいという考えが
中国では支配的になっているはずです。

戦闘が長引き、
台湾からミサイルなどで
反撃される事態になれば、
中国側に看過できない損害が生じます。



そして、
中国国内の産業の多くを
台湾の会社が動かしているという
事情もあります。

もしも中国が
台湾企業を国有化したり、
台湾人を追放したりした場合には
中国の経済が回らなくなります。



以上の国際関係的、軍事的、
経済的な事情により
ウクライナと台湾のリスクは
全く異なっています。

しかし米国は
こうした東アジア事情の理解が浅いため、
単純な比較で
勇み足になってしまっているのです。



中国側の事情通が
窘めるのは当然のことでしょう。

なにより日本が
安易に米国に追従して、
「共同抑止」などと打ち出すのは
最悪の事態だと私は考えます。

 

 

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