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大前研一ニュースの視点

世界労働人口/単身世帯/世界都市人口 ~都市化に伴う機能不全は非常に由々しき問題

・世界労働人口 移民なき時代へ人材争奪
・単身世帯 「おひとりさま」家族の標準
・世界都市人口 人口の3分の2が都市暮らしに



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▼サイバー空間で能力ある人材を奪い合う時代になった
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日経新聞は6日、
「移民なき時代へ人材争奪」
と題する記事を掲載しました。

アラブ首長国連邦やエストニアが
リモートワークで
高スキル人材を獲得するためのビザを
創設したと紹介。



地域の企業で働かなくても稼ぐ人材に
滞在を許可するもので、
世界の人口が今世紀半ばにも減少に転じ、
労働力を移民に頼ることが難しくなる中、
今後は国境の壁を取り払って
優秀な人材を獲得する工夫が
求められるとしています。

これは極めて重要な問題だと思います。



単なるリモートワークではなく、
能力のある人材をネットで輸入して
仕事をしてもらうという発想です。

アラブ首長国連邦やエストニアはビザを発行し、
それぞれの国籍を持って
海外で仕事をすることを推奨しています。

ビザを持った人が世界各地にいて
ネットで仕事をしてくれるというのは、
アラブ首長国連邦やエストニアにとっても
メリットがあります。



人手が足りないからといって、
建設業界などの特定業界を対象にした
場当たり的な法案を通している日本とは
大違いです。

今はサイバーでも人を奪い合う時代です。

建設業界に限らず、
IT業界などにおいても
圧倒的に人材が不足していることを
日本は認識するべきでしょう。

 



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▼単身世帯に注目し、新しいビジネスを狙うチャンスも生まれる
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日経新聞は9日、
「『おひとりさま』家族の標準」
と題する記事を掲載しました。

世界の単身世帯数は
2018年から2030年にかけて
3割程度増加する見通しと紹介。



単身世帯の増加は
介護や福祉の負担増加や
孤独による心身への悪影響にもつながるとし、
単身化が顕著なスウェーデンや米国では
孤独な高齢者のケアとビジネスを
両立させる動きも出てきたとしています。

この調査を見ると、
日本に限らず世界中で
単身世帯が広がっていたことがわかります。



特にスウェーデンは日本よりも
単身世帯化が進んでいたというのは
驚きでした。

今、世界では、
若者が高齢者と一緒に住むスキームを
提供するビジネスが広がっています。

高齢者は若者に面倒を見てもらう一方で、
家族で住んでいた広い家の空いている部屋を
安い値段で若者に住まわせてあげます。



かつて日本にもあった
「寄宿」のようなものです。

一昔前の大学生は他人の家に寄宿して、
その家の家事を手伝いながら
勉強していました。

このような取り組みは、
あらためて日本でも
見直されるべきだと思います。



今の若者は
ファーストフードなどで
アルバイトをする人が多いと思いますが、
このような高齢者向けサービスで
経験を積むことは
非常に有益だと思います。

社会的に
高齢者の訪問サービスのニーズも
大きくなっていますし、
若者にしても
様々なノウハウを吸収することができ、
もしかすると
将来起業につながるようなキッカケを
掴めるかも知れません。



今、日本では約38%が
単独世帯となっています。

まさに日本で
コンビニが流行っている理由でしょう。

家族4人分の食事の買い出しに
車でスーパーへ出かけていたのは
もう昔の時代です。

今はそんなに大量に食料を買い込んでも
1人ではとても食べきれません。



コンビニで1人が食べるのに必要な分だけ買うという時代になりました。

この問題は単なる家族構成の話ではなく、
あらゆる問題につながります。

例えば、
高齢者が1人で住んでいるというのは
何かと危険を伴いますし、
家の掃除やメンテナンスも難しくなります。



逆に言えば、
こうした問題を解決するための
新しい事業を作り上げる必要があり、
ビジネスチャンスが
眠っているとも言えるでしょう。


 


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▼都市化が進むことで、田舎と都会それぞれに問題が発生する
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日経新聞は6日、
「3分の2が都市暮らしに」
と題する記事を掲載しました。

国連の推計によると
2035年に都市の人口は
総人口の51.7%と農村を超え、
2050年には世界の人口の3分の2以上が
豊かさを求めて都市に住む見通しだと紹介。



都市への集中が目立つのは南アジアやアフリカで、
都市化の進行と膨張は
インフラなど都市の機能を
どう維持していくかという問題に
つながるとしています。

これは私が約20年前に上梓した
「新・資本論」から提唱している
メガリージョン(大都市圏)構想そのものです。



21世紀はイノベーションを起こした都市に
世界からヒト、モノ、カネ、情報が
集まってくる時代になり、
富は国家ではなく
プラットフォームでつくられるため、
そのビジョンが重要だという考え方です。

日本は東京に一極集中して
大変だと言われていますが、
まだまだ余裕があります。



世界的に見れば
東京の一極集中は
大したレベルではありません。

昔から日本では
出稼ぎで東京に来た人は
故郷に帰りたい想いが強いというのが
定番でした。

日本の歌謡曲の中には
望郷の念を歌ったものが
たくさんありますし、
私が中学生の頃はそんな歌で溢れていました。



一方、他国では少し様相が違います。

30年ほど前に
ジャカルタのホテルで
マッサージを受けたとき、
それを痛感した思い出があります。

インドネシアの島から出稼ぎで
ジャカルタに来ていたそのマッサージ師は、
絶対に故郷の島には帰りたくないと
話していました。



ジャカルタでの生活も
豊かとは言えないけど、
生まれ育った故郷の島に比べれば
天国のような島だと。

私から見れば、
当時のジャカルタは
発展しているとは言い難い街でした。



インドネシアの田舎生活というのは、
私たち日本人が想像する以上に
大変なのだと気付きました。

世界的にはむしろ
このジャカルタのマッサージ師の考え方が
一般的であり、
とにかく都市で暮らしたいという人が
増え続けてきたのです。



その結果、
都市における居住者の比率が
世界的に7割に達するように
なったのだと思います。

このように都市への居住者が増えると、
田舎と都市でそれぞれ
様々な問題が起こります。



例えば、
田舎では居住者が減って
コンビニどころか
警察さえないという地域もあります。

そのような地域で
生活が成り立つのかというのは
大きな問題です。



逆に都市においては、
増加した人口に対応できるインフラが
整備されていないため機能不全に陥り、
生活しづらく、
ゴミや犯罪の巣窟になっている地域が
世界には数多く存在します。

日本は大都市でも
何とか機能していると言えますが、
世界を見渡すと
都市化に伴う機能不全は
非常に由々しき問題になっています。

 

 

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