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大前研一ニュースの視点

ホンダ・スカイマーク再生・雪国まいたけ~ホンダイズムの観点で考えるトップ交代

2016/09/25

ホンダ・スカイマーク再生・雪国まいたけ~ホンダイズムの観点で考えるトップ交代
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ホンダ 八郷隆弘氏が社長昇格へ
スカイマーク再生 包括的支援策を提案
雪国まいたけ 米ベインキャピタル TOB実施

実態を見れば、ホンダはそれほど悪い状況ではない

ホンダは先月23日、八郷隆弘常務執行役員が6月の株主総会後に社長に昇格する人事を発表しました。

八郷氏は鈴鹿製作所や欧州研究開発部門のトップを歴任し、中国専用車の開発もけん引した人物で、
八郷氏をトップに据えることで、新興国を中心に世界展開を加速する考えです。

伊東社長は何かと問題を指摘されていましたので、私としては「遅すぎた」と感じています。

とはいえ、ホンダの業績はそれほど大きな問題を抱えているというわけでもありません。

営業利益が3兆円に達する勢いを見せるトヨタの好調ぶりに比較すると見劣りしますが、
日産よりも良い業績を示しています。

それほど悪い業績ではないですが、「ホンダイズム」という観点から言うと、
課題ありという状況なのでしょう。

ゆえに、八郷氏のような、開発・技術畑出身で、かつ海外経験が豊富な人がけん引し、
ここから加速していこうと目指しているのだと思います。

実態を見れば、ルノーと蜜月になり過ぎてゴーン氏以外には後継者が育たない環境にある日産のほうが、
ホンダよりも大きな問題を抱えているのですが、株価ではホンダのほうが低迷しています。

最近のビジネス書などで「ホンダ、どうした?」という類のものが多く、
この手のビジネス書による先入観も働いているのかも知れません。

また、タカタのエアバッグリコール問題の影響もあるでしょう。

タカタのエアバッグはホンダの要請で作ったものですから、ホンダも直撃を受けた格好です。

いずれにしても、このタイミングでトップを交代させることで、
今後の流れを変えていこうということです。

敢えて言えば、伊東社長が相談役になるという人事が「ホンダイズム」から外れていないか?
という指摘があるかも知れません。

創業者の本田宗一郎氏、右腕であった藤沢氏は、相談役などの役職に就かず、すっぱりと辞めています。

そのような姿勢に、ホンダイズムを感じるのも確かです。

ANA、エアアジア、デルタ、アメリカンの4社が有力

ANAホールディングスは先月23日、民事再生手続き中のスカイマークに
出資を含めた包括的な支援策を提案すると発表しました。

スカイマークが募集している共同スポンサーに名乗りを上げるもので、
スカイマークは他の提案と比較した上で3月上旬にも複数の共同スポンサーを選出する方針です。

当初、スカイマークがANAに泣きついた時には、国土交通省は否定的な態度を示していたのに、
スカイマークが破綻に至ったら、態度を改めています。私にはその姿勢が解せません。

スカイマークのスポンサーに名乗りを上げている中で注目すべきは、
ANA、エアアジア、デルタ、アメリカンという航空会社4社といったところでしょう。

各社ともはスカイマークが持っている羽田枠に魅力を感じているはずです。

この4社であれば、エアバスに対する700億円~800億円と言われる
大型発注のキャンセルを吸収できるので非常に現実的です。

その他、オリックス、HISなども名乗りを挙げているようですが、
少なくとも有力な選択肢が4つ揃ってきたと見て良いと思います。

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創業者交代の難しさ

米大手投資ファンドのベインキャピタルは先月23日、
東京証券取引所第2部に上場する雪国まいたけにTOBを実施し、
子会社化すると発表しました。

全株式の買付けも想定しており、取得額は最大で約95億円。

ベインキャピタルは主要取引銀行や現経営陣と協力し、
創業者・大平喜信元社長らの影響力を排除し、経営の立て直しを急ぐ考えです。

「まいたけ」という業界、市場の将来性について私は若干の懸念を感じてしまいます。

中国製の安価なまいたけが入ってきていて、日本製のまいたけの競争力が落ちてきているからです。

ベインキャピタルは、すかいらーくの立て直しなどの実績もあるので、
すでに検討しているはずですので、もしかしたら他に技術を持っているのかも知れません。

創業者が経営交代をしても、株主としてのポジションもあり、思うように再建できないなど、
創業者をめぐる問題はなかなか難しい側面があります。

大塚家具も、高級路線を目指したい父親と安価な路線を目指したい娘で対立が起きています。

私としては、どちらの戦略もやや時代に遅れていると感じています。

海外で買い付けた高級家具を、丁寧に接客しながら高価な値段で売るというのも、
市場が縮小していると思いますし、一方で安価な家具の販売となると、
ニトリなどと競争しなくてはいけません。

本気でニトリと競合するのならば、ボリューム、拠点なども非常に重要になってきますから、
そこから明確な戦略を練り直さなければ、勝てないでしょう。

かつての栄光を追い求める高価格戦略も、ニトリに対抗する低価格戦略も、
両方とも厳しいと感じます。

どちらも時代が去ってしまったということを認めるべきと思います。



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