そこが知りたい情報チャンネル

このブログは、自分にとって参考になったことや活用できると思った記事をUPしていきます。

大前研一ニュースの視点

労働生産性・AI研究・塗料大手・中国自販機市場 ~日本はホワイトカラーの生産性が低い

2019/01/29

  • 労働生産性 サービス業の生産性がアメリカを大きく下回り
  • AI研究 AI研究、米中2強
  • 塗料大手 ヘリオスグループを買収
  • 中国自販機市場 中国、自販機普及に勢い

日本はホワイトカラーの生産性が低い/AI研究に日本は大きく出遅れている

日本生産性本部が12日に発表した日米の労働生産性に関する
調査結果によると、日本の卸売・小売業の生産性は米国の38.4%、
飲食・宿泊業が34%と低水準にとどまりました。

ITの導入が遅れているのが主因とのことです。

大きな問題となっているのは、日本企業におけるホワイトカラーの生産性です。

日本企業では欧米に比べて、ホワイトカラー領域の「分業」が進んでいません。

いまだに課長・部長クラスの人が電話に応対をして部下にメモを残す、
という企業もたくさんあります。

こうした光景は欧米では20年~30年前に姿を消しました。

日本はブルーカラーの生産性が高いのに、
ホワイトカラーが合わさると一気に生産性が落ち込みます。

飲食業などの生産性の低さは、お客さんからの要求が強く、
その対応のために人が動いていることが原因でしょう。

これは合理化により解決できます。

温泉でも仲居さんがやっていたことを、
星野リゾートのように合理化して生産性を上げている事例もあります。

ただし合理化して生産性が高くなると、
それまで「人」が対応していた部分がなくなっていくので、
失業する人が増えます。

おそらく失業率は急上昇することでしょう。

合理化と同時にこの問題が発生することは忘れてはいけません。

***

日経新聞は9日、「AI研究、米中2強」と題する記事を掲載しました。

文部科学省の科学技術・学術政策研究所の分析では、
主要な国際学会での発表は米中が圧倒的に多く、
両国の共同研究の報告も増えているということです。

2015年の研究発表数を見ると、米国:326件、中国:138件、
日本:20件となっています。

さらに米中共同研究が80件あり、
日本が大きく出遅れていることがわかります。

こうした研究分野における中国の台頭が著しい一方、
OECDの生徒の学習到達度調査(PISA)の結果を見ると、
中国内の格差が激しいという点について問題を指摘する声もあるようです。

上海が断トツに優秀で、留学生の数も多く、成績が抜群です。

PISAの結果は江蘇省など、
上海には及ばないですが優秀な地域も含まれています。

中国全土に対象地域を広げたら、
もっと全体の数値は落ちるし、格差は大きくなると思います。

日本ペイント躍進は東南アジアの成功/中国自販機のUboxは日本にとって競合相手

関西ペイントは6日、欧州の塗料メーカー、
ヘリオスグループ(オーストリア)を買収すると発表しました。

また日本ペイントホールディングスは、
シンガポールの同業大手ウットラムとのアジアの合弁子会社を、
数年内に完全子会社化する検討に入ったことがわかりました。

日本の塗料メーカーと言えば、関西ペイントと日本ペイントの2強です。

歴史的には、関西ペイントの方が大きく首位を走っています。

その関西ペイントがヘリオスグループの買収を発表しました。

長年、関西ペイントに追いつけなかった日本ペイントですが、
シンガポールのウットラム社との協業が功を奏し、
アジア戦略が成功しています。

ウットラム社のハップジン代表は、東京大学出身。

日本語も堪能で、事業家として非常に優秀な人物です。

この人のおかげで、
日本ペイントがアジアで強い立場を築き上げられたと言えます。

日本ペイントがウットラム社を完全子会社化すれば、
連結で関西ペイントを上回ることになります。

売上も営業利益も横ばいが続いている関西ペイントに対し、
一気に大きく差をつける格好です。

関西ペイントは自動車を中心にやや依存度が高いのに対し、
日本ペイントは自動車に限らず幅広く展開している点も大きな違いです。

再び日本ペイントを逆転し大きく成長していくために、
関西ペイントはヘリオスグループの買収へ踏み切ったのだと思います。

私から見ても、日本ペイントと関西ペイントにこれだけの差が生じるとは意外でした。

ウットラム社という東南アジアでの良きパートナーを得たことが、
本当に大きかったのだと思います。

最終的にウットラム社が完全子会社化に合意してくれれば、
日本ペイントにとっては実に明るいニュースになるでしょう。

***

***

日経新聞は7日、「中国、自販機普及に勢い」と題する記事を掲載しました。

中国で自販機最大手の富士電機はスマホ対応機の生産を倍増し、
中国の年間出荷台数が2020年には日本を上回る見通しです。

微信支付(ウィーチャットペイメント)などの電子決済や
IoTにより販売動向などを瞬時に把握できる運営システムが
普及を牽引しているとのことです。

いろいろな問題があった中国ですが、
ようやく自販機が普及してきました。

年間の出荷台数で、日本が30万台、中国が33万台とのことですから、
国土の広さを考えると中国はまだまだという段階でしょう。

富士電機にとってのクライアントである販売業者のUbox(友宝)は
2010年設立の新しい会社ですが、自販機6万台の運営を行っているほか、
デジタル広告事業などユニークな商品の開発も手掛けています。

Uboxの販売機は、アリペイ(支付宝)や
微信支付(ウィーチャットペイメント)といったモバイル決済など、
複数の支払い方法に対応しています。

日本企業にとっても有望な競争相手として浮上してきたといえるでしょう。

-大前研一ニュースの視点
-, , , ,