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週末だけのグローバル投資コラム

やはり米中協議は物別れに (7)香港デモは六四天安門事件と同じく流血の事態になる可能性が高い

今週は会員さん向けに特別メールを2通出しました。

ひとつは「習近平氏は米中会談どころかG20自体をバックレる可能性あり」
という予測。

もうひとつは「香港デモは六四天安門事件と同じく流血の事態になる可能性が
高い」という予測です。

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「習近平氏は米中首脳会談はおろかG20に来ない」という予測は、
6月7日に一部会員さん向けに出しました。

6月6日時点にトランプ大統領が習近平氏を「会談から逃げねえよな? 
逃げたら制裁すっから」と脅したからです。

失敗することが分かり切っている会談など、独裁国家では誰もセットしません。

順当に失敗した場合、リアルに首が飛ぶからです。

その予測は次第にコンセンサスと化しているようです。

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かたや香港では「逃亡犯条例」改正案に対し、
100万人(全人口の7分の1!)を超えるデモが発生。

香港特別行政府は鎮圧に乗り出し、警官隊とデモ隊が衝突しました。

催涙弾やゴム弾まで発射され、2名重体で72名がケガと報じられています。

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香港デモ鎮圧で2名重体 
Hong Kong protests: Two people in serious condition as legislature on lock down
CNN 2019/06/13
https://edition.cnn.com/2019/06/12/asia/hong-kong-protests-intl-hnk/index.html
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香港 「逃亡犯条例」改正反対デモ けが人70人超
ANN (2019/06/13)
https://www.youtube.com/watch?v=2yjTQqQTVoo
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これの何がヤバいかというと、
香港の司法がほぼ完全に中国共産党の支配下に入ることです。

特に懸念されているのは、中国政府に批判的な香港の人物が容疑を
でっち上げられて中国本土へ引き渡されること。

他国民も同じように、香港にいればスパイ容疑などで逮捕されて
中国本土に引き渡される可能性があります。

香港がますます「中国に呑み込まれる」ということです。

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香港大規模デモ、問題の「引き渡し条例」とは何か?
Newsweek 2019年6月12日(水)13時15分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/06/post-12300.php
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(略)今回の改正案が成立すれば、香港住人だけでなく、
香港に住んだり渡航した外国人や中国人までもが、
中国側からの要請があれば本土に引き渡されることになる。(略)
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「逃亡犯条例」改正案とは 「一国二制度」事実上崩壊の懸念
産経新聞 2019.6.12 17:54
https://www.sankei.com/world/news/190612/wor1906120020-n1.html
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(略) Q 反対運動が起きているのはなぜか

 A 香港は1997年の中国返還後も「一国二制度」で
高度な自治が50年間認められているのに、
条例改正により同制度が事実上崩壊すると反対派は懸念している。

香港政府は引き渡し対象となる犯罪を限定するなどしているものの、
実質的に香港市民も中国当局の取り締まり対象になる恐れがあるためだ。

香港の根幹をなす「一国二制度」が揺らぐことで、
世界の経済・金融センターとしての地位低下も心配されている。

 Q 具体的に想定されるケースは
 A 香港で活動する活動家など中国政府に批判的な人物が、
容疑を作り上げられて中国本土へ引き渡されるといった懸念を反対派は挙げる。

香港を訪れた外国人ビジネスマンや観光客も、
引き渡し対象になる可能性が指摘されている。(略)
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そうなれば香港は、完全に共産党独裁体制の支配下に入ります。

香港人であれば英国統治下で育った世代も、
その下の世代も、2014年の雨傘革命より強い危機感を共有しています。

だからこそ、全人口の7分の1がデモに参加しているのです。

台湾人に「我々香港人の屍を踏み越えて中国のくびき(自由を縛るもの)から
逃れろ」と訴える人もいました。

先進国の「本当の意味でのリベラル(自由主義者)」も、
これを後押ししています。

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「台湾人よ、我々香港人の屍を踏み越えて中国のくびきから逃れろ」
https://twitter.com/TaiwanHistoryJP/status/1138771218906066944/photo/1
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ペロシ米下院議長、香港の扱い見直す法制呼び掛け−条例改正案巡り
Bloomberg 2019年6月13日 3:11 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-12/PSZVNZ6TTDS501
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一方、中国共産党をバックにした香港特別行政府も引けません。

そんなことで譲歩したら、
本土の民主化勢力が勢いづいて暴動と結びついてしまいます。

裏では米国など、自由主義諸国が糸を引いていると考えるでしょう。

たとえ実際にそうでなくても、
陰謀ばかり巡らせている人は他人も同じことをしているように考えるそうです。

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そして中国共産党が六四天安門事件で得た教訓は、
「反政府勢力は徹底して戦車でひき潰せ」ということ。

そうすれば反政府に向かうエネルギーが、
他国への憎悪や経済活動に向かってくれます。

逆にそれをしながったソ連や東欧諸国の共産党政権は潰れてしまった、
と考えています。

そう考えるなら、デモ隊が引かない限り今回の事件は
六四天安門並みの流血の事態になる可能性があります。

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これに対する考えは人それぞれでしょうが、
以降は経済的なインパクトについて考えます。

弊社はすでに4年前の2015年7月、
「香港への投資は避けるべし」と警告しました。

なぜなら上海株は急に売却停止になるなど、
とても資産としてカウントできないシロモノになったからです。

そして香港は急速に中国政府の支配下に入りつつあるので、
「香港は中国とは違う」という幻想を捨てて逃げるべきだと書きました。

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中国バブル崩壊のインパクト(1) 中国への進出は「命懸けの募金箱」
ワイルドインベスターズ投資ブログ 2015年07月12日07:30
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51189422.html

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中国バブル崩壊のインパクト(2) なぜ香港株のほうがヤバいのか
ワイルドインベスターズ投資ブログ 2015年07月19日07:30
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51189831.html
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(略)みな心のどこかに「香港は中国とは違う」
という印象をまだ残しています。

しかし「返還後50年は体制を維持する」という約束は
いとも簡単に破られました。

香港が中国政府の支配下に入るスピードは加速度的に増しています。

そして政治に興味のない人は、そんなこと知りません。

「上海は怪しいけど、香港は大丈夫」と思い込んでいます。(略)

「香港は中国とは違う」という幻想をみなが抱き、
資産価値が保たれているうちに逃げ出すべきなのです。

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弊社の「予言」はいつも早すぎる傾向があります。

中国そのものがヤバいという話は、15年以上も受け入れられませんでした。

韓国や香港についてもずっと警戒を呼び掛けて来ましたが、
それらは日本株とあまり変わらないパフォーマンスで推移して来ました。

トルコや南アがヤバいという話も、
かなり後になってから通貨・株価が売られ始めました。

そしておそらく今回のような事件がなければ、
香港が中国に呑み込まれていることに気付く人も少なかったのでしょう。

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普通に考えるなら、
香港行政府は犠牲者を出してでも今回のデモを鎮圧するでしょう。

逆転があるとすればそれこそ中国共産党政権の崩壊ぐらいしかありません。

しかしその場合には、この香港100万人デモどころではない大戦乱になります。

その後の香港は、旅行していたら突然スパイ容疑などで拘束されて
本土に移送されるという魔の地域となります。

つまり香港の危険度が中国本土と同じになり、
「よほど特別な仕事がない限り行くべきではない土地」となるのです。

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そのような場所には、人もカネも情報も寄り付きません。

大英帝国のアジア支店として繁栄した香港が、その意味をまったく失うのです。

すると香港株も中国本土株と同じ扱いになって行きます。

自由な言論がなく、株を自由に売れず、
利益を持ち帰ることができない市場ということです。

いずれそうなると知っていた香港の富豪たちは、
何年もかけて「撤退戦」を行ってきました。

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【Wedge】香港大富豪の「中国撤退」がついに終盤戦へ、
経営の王者・李嘉誠氏の脱出録
立花聡  2019年4月2日
https://www.tachibana.asia/?p=23639
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李嘉誠氏の中国撤退は終盤に差し掛かった。
 
香港最大のコングロマリット長江和記実業(CKハチソンホールディングス)元会長、世界28位の富豪(2019年3月フォーブス発表)李嘉誠氏の
中国資産(香港を含む)が総額ベースで1割に縮小し、欧州資産は5割を超えた。
李氏は過去6年にわたって段階的に撤退し、
中国からフェードアウトしたのである。
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個人投資家は独裁国家に投資するべきではありません。

これからもそのことは、声を大にして主張したいと思います。

[追記]

このデモを受け、香港政府は逃亡犯条例の先送りを決定したようです。

しかしおそらく隙を突いて成立させようとするでしょう。

独裁国家に対して油断してはなりません。

他人を奴隷化するためなら、何でもやる人々なのです。

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香港政府、「逃亡犯条例」の先送り発表 大規模デモ受け
CNN 2019.06.15
https://www.cnn.co.jp/world/35138529.html
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気になるチャート20190614
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wordをPDFにするとき図が空白になったり移動したりする
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【週末だけのグローバル投資】会員さん用投資レポート2019年06月号リリース! 
「本流にはこだわり、ネットロングにはこだわらない」
http://blog.livedoor.jp/contrarian65-wild/archives/51261875.html

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