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大前研一ニュースの視点

米ベライゾン・コミュニケーションズ/米ウーバーテクノロジーズ ~ヤフーに来てからのマリッサ・メイヤーは、自分の懐にお金を入れただけ

2019/01/29

・米ベライゾン・コミュニケーションズ ヤフー中核事業の買収手続き完了
・米ウーバーテクノロジーズ トラビス・カラニック氏がCEO辞任

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▼ヤフーに来てからのマリッサ・メイヤーは、自分の懐にお金を入れただけ
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米通信大手のベライゾン・コミュニケーションズは13日、
米ネット大手ヤフーの中核事業の買収手続きを完了したと発表しました。

ヤフーは社名を「アルタバ」に変更し、中国のアリババ集団や
日本法人・ヤフーの株式などを管理する投資会社となります。

2012年からヤフーを率いてきたマリッサ・メイヤーCEOは
退社するということですが、私は彼女のことを全く評価できません。

ヤフーに来てからの実績と言えば、アリババの株を売却して利益を出しただけです。

しかも、その理由はヤフーという会社のことを考えたものではないと私は思います。

おそらく自分自身のボーナスが
会社の利益に連動していたことが大きく影響しているでしょう。

会社にとって重要なことには何一つ着手せず、
自分のポケットに入るお金のことしか考えていなかった、
と私は感じています。

ソフトバンクの孫社長が、ヤフーに対して独自の検索システムを
作るべきだったという指摘をしています。

ヤフーはもともとエディターが人海戦術で
サイト情報を蓄積し検索サービスを提供していました。

そこに1998年グーグルが登場します。

グーグルは全自動でロボットによって世界中のコンピューターに
アクセスし、検索情報を蓄積しました。

ここに、両者の間に大きな力の差が生じました。

ヤフーもしばらくはグーグルの検索データを
利用させてもらっていましたが、結局、差別化もできず、
何ら特徴も打ち出せないままでした。

日本のヤフーは故・井上氏の手腕もあり、独自の成長を遂げました。

また井上氏の後は、スマホシフトに成功しています。

米ヤフーはスマホ対応が遅れ、PCで終わってしまったのも残念な点です。

米ヤフーについて打てる手はいくつもあったはずです。

しかし、グーグルでは輝かしい実績をあげたメイヤー氏は、
残念ながらヤフーでは自分の懐を潤すことしかしませんでした。

自分のポケットに多額のお金を取り込んだ一方で、
彼女は汚名をかぶって辞任していくのだと私は思います。

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▼誰もが賛同するウーバー・カラニックCEOの辞任/経営者は永久就職のメンタリティを捨てよ
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米ウーバー・テクノロジーズの共同創業者である
トラビス・カラニックCEOが20日、辞任すると発表しました。

セクハラ問題などが浮上する中、株主からの圧力が高まり
辞任に追い込まれた形ですが、取締役としては同社に残るとのこと。

一方、ウーバーはこれまでの方針を180度転換し、
スマートフォンのアプリ経由で運転手にチップの受取を認めると発表しました。

おそらくほとんどの人が、カラニック氏の辞任を聞いて賛同していると思います。

自分自身のウーバーのドライバーと口論し罵声を浴びせている様子を
撮影されインターネットで公開されたり、とにかく評判が悪い人物です。

ビジネスウィーク誌やTIME誌でも、批判されてきました。

カラニックCEOは仲のいい役員と2人で暴走し、
セクハラ・パワハラは日常茶飯事だったと暴露されています。

いわゆるユニコーンとしては世界一の企業価値を誇る一方で、
この企業体質では大企業に成長していくことはできないとも指摘されていました。

例えば、従業員に占める女性の割合は、
米国平均47%に対してウーバーは33%と低くなっています。

また管理職の女性割合も、ツイッター社の30%に対してウーバーは22%、
また管理職の77%が白人で占められているという指摘もありました。

あらゆる点において、ウーバーは社会的な責任を果たす企業としての
仕掛けを構築できていなかったという問題があったと言わざるを得ません。

カラニック氏本人としては、身内の不幸もあり一時休暇を
考えていたそうですが、最終的には初期の頃から投資してきた
大手のベンチャーキャピタルから、辞任を求められたとのことです。

企業文化を醸成する経営者の資質は、非常に重要です。

日本では「元リクルート」「元インテリジェンス」の人材に、
こういった資質を見出す人も多いと思います。

元リクルート、元インテリジェンスの特徴は、
入社したときに身分の保証をしない、ということだと思います。

かつてのリクルートでは10年で会社から追い出されました。

この「10年」というような期間設定がなく永久就職を前提とする企業の場合、
最初の10年は活躍しようもない環境になっていることがほとんどです。

そして、その環境の中で本人もさぼることを覚えてしまいます。

最初の10年が勝負、と言われていれば人は成長します。

私が在籍していたマッキンゼーも、毎年2割の社員をクビにしていました。

ですから、社員は5年目に残れるのは2割しかいないと思って仕事をします。

同時に追い出されたらどうしよう?と考えるので、一生懸命仕事に励みます。

クビを前提にすると人は勉強し成長しますが、
逆に永久就職のメンタリティでは人は育ちません。

日本の経営者に求めたいのは、永久就職のメンタリティではなく、
育てること・育てたら出していく、ということを当たり前にすることです。

出ていく人がいるから、また新しい人材が入ってくる余地が生まれます。

これが重要なメンテリティだと私は思っています。

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