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大前研一ニュースの視点

日本製鉄/トヨタ自動車/ホンダ/日本航空

▼日本製鉄 米USスチール買収完了後に日鉄本社を移転
買収は、ばかげたノスタルジアによるものか

日本製鉄は19日、アメリカの鉄鋼大手・USスチールの買収完了後、
日鉄のアメリカ本社を現在のテキサス州ヒューストンから
ペンシルベニア州ピッツバーグに移転する計画を明らかにしました。

日鉄はこの買収計画を昨年12月に発表し、
4月から9月までの買収完了を目指しており、
USスチールの本社があるピッツバーグへの移転により、
労働組合や地域社会の理解を得たい考えです。

なぜ日本製鉄はこんな会社が欲しいのでしょうか。

単なるノスタルジアからでしょうか。

昔のUSスチールはいい会社で日本製鉄ともうまくいっていましたが、
今はひどいものです。

工場の中も恐らく驚くようなありさまだと思います。

買収後にヒューストンにある日本製鉄の米国本社をピッツバーグに
移転するようですが、労働組合は従業員を首にしないことを
100%保証しろと要求していますので、経営への支障はかなりあるはずです。

USスチールが行ってきたリストラを日本製鉄がしないのであれば、
労働組合にとっては非常にありがたい話ですが、
アメリカ政府から何かしらを手に入れるために、
労働組合は少しは嫌みを言うだろうとは思います。

USスチールはアメリカ各地にありますが、
少なくともピッツバーグにおいては価値がありません。

何十年か前のピッツバーグはゴールデン・トライアングルと言われた地域で、
製鉄会社のせいで暗くよどんでいましたが、
今は日本の川崎のように空気もきれいになり太陽が見えるようになりました。

「日本製鉄とUSスチールの比較」の表によると、
日本製鉄のほうが圧倒的に大きい規模だと分かります。

そして製鉄会社別の粗鋼生産能力においても日本製鉄は4位で、
USスチールは27位です。

ちなみに1位から順に中国の宝武集団、
1位の座を譲ったルクセンブルクのアルセロール・ミタル、
中国の鞍山、4位が日本製鉄です。

そして中国・江蘇沙鋼、韓国・ポスコ、中国・建龍鋼鉄というように、
中国の勢いが強いことが分かります。

日本のJFEスチールは14位で、米国の企業としては、
ニューコアは16位、クリーブランド・クリフスは22位、
USスチールは27位と、アメリカの中でもUSスチールは敗北者です。

大統領に嫌われ、政治的に蹴散らされ、
日本が何か悪いことでもしたかのように言われるのは
日本からすれば迷惑な話です。

40年前のUSスチールには輝くところはありましたが、
日本にこてんぱんにやられ、トリガー価格制度の導入や日米貿易戦争などを経て、
そして目を離している間に、ここまで落ちてしまいました。

そんな会社を買収するのです。

USスチールには買収する価値などありませんよ。

 

 

▼トヨタ自動車 イチロー氏が豊田章男会長の特別補佐就任
物申す人がいない章男氏は、いまや裸の王様?

トヨタ自動車は19日、元プロ野球選手のイチロー氏が
豊田章男会長の特別補佐に就任したと発表しました。

具体的な職務内容は明らかにしていませんが、
イチロー氏はトヨタが本社を置く愛知県の出身で、
これまでトヨタの入社式で新入社員向けにあいさつを行ったほか、
展示会で豊田氏と共に登壇するなど、親交があることで知られています。

最近の章男会長の行動には、首をかしげることが多いように思います。

赤字であったトヨタの立て直しに忙しく、
関連会社のダイハツや豊田自動織機などには気が回らなかったことから、
今後はしっかり取り組む姿勢を見せるためか、
オウンドメディア『トヨタイムズ』やCMに自身が登場し始めています。

さらには中日新聞社の元記者など、
おべんちゃらを言ってくれる取り巻きを役員等に起用しています。

イチロー氏が章男氏に適切なアドバイスをするとは思えませんので、
CMに起用するか、
入社式であいさつをするために声を掛ける程度のことではないでしょうか。

今の一番の問題は、章男さんに対して物申す人がいなくなったことです。

会長による人事が経営と関係ないところに偏って、
勝手に進められていることが非常に心配です。

しかしトヨタは優秀で圧倒的に強い会社です。

見方を変えれば、いろいろな遊びができて、
余裕のある会社だとも言えます。

 

 

▼ホンダ 株価が上場来高値更新
モノづくりに真摯で頑張る会社が、日本にはまだある

ホンダの株価が22日、終値で1921円となり、上場来高値を更新しました。

主力の北米でSUVなど新車販売が好調なほか、
円安による収益環境の改善や自社株買いなど、
積極的な株主還元策が市場で評価されたもので、
終値ベースの時価総額は10兆1455億円と、
10兆円企業の仲間入りを果たしました。

トヨタを抜くことはないものの、ホンダは好調で、
かつ米国ホンダもうまくいっています。

ホンダはいい車を造り、ユーザーの満足度も非常に高いということで、
頑張っている会社が日本にはまだあるということは、
ありがたいことだと思います。

一方、常にナンバー2であった日産は、ゴーン氏が退いた後、
いまだ低迷しています。

最近では、いっとき日産の部下のような位置にいた三菱が頑張っています。

普通車やSUV、ピックアップトラックにおける序列では、
ホンダの次は三菱だと言えます。

 

 

▼日本航空 国内、国際線に42機導入
コロナ禍後に回復した旅客需要をどこまで取り込めるか、日本の航空会社に期待

日本航空は21日、2025から33年度にヨーロッパのエアバスと
アメリカのボーイングの中型機42機を新たに導入すると発表しました。

新型コロナ禍後の旅客需要の回復を見込み、大規模な投資に踏み切るもので、
小型で低燃費の機体に更新し、収益力を高める考えです。

日本航空は1兆8700億円をかけて42機を導入し、
他の航空会社でやって来るインバウンドを取り込もうとしています。

そして全日空も負けてはおらず、両社共に機体を充実させようとしています。

現在、日本航空はボーイング157機、エアバス16機、
島と島を結ぶ小型機のエンブラエル等51機を保有しており、
対する全日空はボーイング172機、
エアバスは超大型のA380の3機とその他を合わせて40機、
他にはボンバルディアや他社にリースしている分を含めた41機を保有しています。

日本航空は稲盛氏に救済してもらった歴史もありますが、
ようやく日本の航空会社も自力で飛び立って飛行できるところまで来たと、
私は感慨深く思います。

 

-大前研一ニュースの視点