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大前研一ニュースの視点

タイ情勢/ 米トランプ前大統領/ 英連邦/ インド情勢/ 国内金融大手

  • タイ情勢 タイ貢献党中心の新政権発足
  • 米トランプ前大統領 投票用紙からトランプ氏の名前削除求め提訴
  • 英連邦 英連邦で君主制廃止論
  • インド情勢 G20首脳会議関連の招待状で「バーラト」使用
  • 国内金融大手 大手行、インドに事務集約

▼タイ情勢 タイ貢献党中心の新政権発足
 タイ政権の先行きが日本に与える影響は?

タイで5日、タイ貢献党セター新首相を中心とする新しい政権が発足しました。

9年前の軍事クーデターで政権を追われた貢献党が、
長年対立してきた保守政党など11の党で大連立を組み、政権を発足させたものですが、
5月の総選挙で第1党となった前進党を排除したことで民主派支持者が反発している他、
連立を組んだ各政党の立場にも隔たりがあることから、
政権の先行きには不透明感が漂っています。

セター氏はビジネスマンであり、
しっかりした人物のようですので心配はしていませんが、
今回のやり方は少々型破りではありました。

セター氏は軍の悪い影響を排除しようとしているのですから、
うまくいくことを祈るしかありません。

しかし前進党が排除されて貢献党政権が発足し、
ワチラロンコン国王もタクシン氏の量刑を1年に減刑する恩赦を与えるなど、
なれ合いのような状況があからさまに見えることが気になります。

少なくともプラユット氏による軍事政権が民主を演出しただけという
露骨な状態よりはいいと思いますが、タイは日本にとっては極めて重要な国ですので、
もう少し様子を見る必要があるでしょう。

 

▼米トランプ前大統領 投票用紙からトランプ氏の名前削除求め提訴
 大統領候補トランプ氏は米国の不名誉か

アメリカ・コロラド州の6人の有権者が、
6日、共和党のトランプ前大統領は2024年の大統領選の候補に不適格だとして、
同州の予備選などで投票用紙からトランプ氏の名前を除外するよう求める訴訟を起こしました。

アメリカ合衆国憲法では、
憲法を擁護する宣誓をしながら暴動や氾濫に加わった者が官職に就くことを
禁じていますが、コロラド以外でも同様の動きがあり、
最終的には最高裁まで争われる可能性があります。

その可能性は高いと思いますし、そうあってほしいと私は思います。

このような人物が大統領候補であるのは、
アメリカにとっても名誉なことではありません。

 

▼英連邦 英連邦で君主制廃止論
 エリザベス女王のカリスマをチャールズ国王は維持できない

日経新聞は「英連邦で君主制廃止論」と題する記事を公開しました。

イギリスのエリザベス女王の死去から1年が経過する中、
王位を継承したチャールズ国王の下、
国内外で君主制の廃止論が高まっていると紹介しています。

ジャマイカやオーストラリアで君主制から共和制への移行論がくすぶる他、
イギリス国内の世論調査でも国王に好意的は60%台、若年層では30%台にとどまり、
国内外の支持をつなぎ留められるか、女王亡き後の手探りが続くとしています。

君主制廃止論は初めてのことではなく、これまでにも何度も起こっています。

オーストラリアはエリザベス女王の肖像を配した5ドル紙幣のデザインを一新し、
アボリジニなどの歴史や文化を象徴する図柄に変更すると発表しました。

過去オーストラリア首相であったポール・キーティング氏は
アイルランドを起源とする人物でした。

アイルランドがイギリスに不満を持っている背景が影響してか、
キーティング氏は脱亜入欧ではなく連邦君主制から独立して
アジアの一員になると表明しました。

しかしアジアの一員になると主張しながらマレーシアと問題を起こし、
私はキーティング氏とマハティール氏を仲直りさせようと奔走するも、
結局マハティール氏の問題によってうまくはいきませんでした。

英連邦は56カ国で構成されていますが、英国王が君主であるのはイギリス、
カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの15カ国で、
各国に英国王の名代として総督が任命されており、
メルボルンカップのようなイベントではその総督が首相よりも大きな顔をしています。

しかし実際にはほとんどの国では首相を中心に政治は動いており、
君主制は要らないという論調となっているようです。

エリザベス女王には独特のカリスマがありましたが、
チャールズ国王がそれを維持するのは難しいと思います。

 

▼インド情勢 G20首脳会議関連の招待状で「バーラト」使用
 「バーラト」への呼称変更の思惑は?

モディ首相率いるインド人民党が、G20首脳会議関連の招待状にヒンディー語による
国名「バーラト」を使用したことが話題となりました。

そうするならば、ジャパンも日本と書けばよいのにという気もしなくはありません(笑)。

インド人民党はヒンズー至上主義により「バーラト」を使用しましたが、
伝統的な野党は「インド」にはブランド価値があると主張しています。

かつてミャンマーも、ビルマと呼ばれていました。

]以前、私がこの国を訪れたときに地元の人々に「ビルマ」を何と呼ぶかと聞いたところ、
彼らの発音は私には「スバーマ」と聞こえました。音としてはそちらのほうが近いようで、
間違って聞き取られたのでしょう。

日本人にとっては『ビルマの竪琴』がなじみ深く、非常に懐かしい名称です。

 

▼国内金融大手 大手行、インドに事務集約
 米国に続いて日本でも事務業務のインド集約を開始

日経新聞は6日、「大手行、インドに事務集約」と題する記事を掲載しました。

三菱UFJやみずほなどがインドの現地法人の人員を大幅に増やし、
ITや事務処理業務の集約を進めていると紹介しています。

送金やリスク管理の他、
マネーロンダリングなど国際金融の規制強化により海外業務が増え、
コストが増加しているのを受けたもので、
英語やIT人材の多いインドで業務を集中処理する考えです。

アメリカではさまざまな業種で、
メンテナンスなども含めた業務の多くを既にインドへ移しています。

インドに事業を集約することは決して新しい試みではありませんが、
インドの豊富な人材をどのように使っていくかが問題です。

あるアメリカの電話会社はインドにセンターを置き、
何か問題が起こったときにはインドのスタッフがアメリカ国内の顧客と
直接やりとりをしています。

アメリカでは当たり前になりつつありますが、
日本も遅ればせながら金融の一部のシステムをインドに集約するということです。

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