米テスラ/ロッテHD ~テスラは中国市場を狙える/中国国産車が海外に出るには20年必要
2019/01/29
・米テスラ 米テスラ株が反発
・ロッテHD 重光武雄名誉会長が取締役退任
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▼テスラは中国市場を狙える/中国国産車が海外に出るには20年必要
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先月20日の米株式市場で電気自動車(EV)のテスラの株価が4営業日ぶりに反発しました。
自動運転機能を搭載したEVで2016年に発生した死亡事故について、
米運輸安全委員会が前日に公表した報告書で
「ハンドルに手を置いて操縦するようテスラが運転手に繰り返し警告していた」
ことが指摘されたのを好感した動きと見られています。
2016年に死亡事故が発生した時には、「テスラの失敗」と指摘され、
テスラの先行きに疑問を投げかけられました。
しかし今回の報告書で、テスラの自動車は運転手に対応するように警告しており、
運転手がそれを怠ったという事実が判明しました。
一般的に自動運転には4つの段階があります。巷で話題になるような
人間が関わらないでいい完全自動走行はレベル4です。
レベル1は「加速・操舵・制動」のいずれかを
システムが対応するというものです。
このレベルでも、難しい課題が未だに残っています。
例えば、急に人間が飛び出してきたら
自動的にブレーキをかけることはできても、
カンガルーや鹿といった人間以外のものを検知できないことがあります。
オーストラリアの人身事故の多くはカンガルーとの接触ですから、
無視できるものでもありません。
レベル2になると「加速・操舵・制動」の複数をシステムが担当します。
そして、レベル3になると「加速・操舵・制動」の
全てをシステムが担当できるようになります。
ただしこの場合も、システムから要請を受けた時には
ドライバーが対応する必要があります。
つまり、2016年に発生したテスラの事故は、
レベル3においてシステムの要請をドライバーが無視した結果でした。
レベル4になってようやく全くドライバーが関与しない、
完全自動走行になります。
レベル4実現の見込みは2024~25年頃と言われています。
2016年の死亡事故で一時的に下落したテスラの株価は、
また上昇の兆しを見せています。
今後も期待できる材料があると私は見ています。
それは「中国市場」の可能性です。
イーロン・マスク氏も当初は中国市場への展開に難色を示していましたが、
実際にテスラのシェアを見ると、中国において
米国市場に引けを取らない数字を残しています。
中国市場の大きさも魅力的です。
中国の自動車生産台数は約2800万台で、
米国の約1700万台よりも、1000万台以上多くなっています。
電気自動車でみても、米国の約16万台に対して
中国では約50万台生産されています。
さらに中国政府が、電気自動車用の充電ステーションの
建設に力を入れると発表していますから、今後はさらに期待できます。
現状でもテスラは、フォードやGMの時価総額を上回っていますが、
中国において優位なポジションを確立できるとなると、
さらに上の段階へ突き抜けた存在になるかも知れません。
中国の自動車市場について、中国の国産メーカーが力をつけて
中国車を海外へ輸出してくることがあるのではないか?
という意見もありますが、私はそう簡単ではないと見ています。
中国で生産される2800万台のうち2000万台は、
外資系企業と合併するなど、何かしら外資に依存しているものです。
残りが純国産の中国車になりますが、これらを海外に売り出すためには
それぞれの国で「販売網」を構築する必要があります。
かつて日本企業は、米国で販売網を構築するのに約20年かかりました。
それだけ販売網・サービス網を構築するのは大変な仕事です。
もしやるなら、ファーウェイがエジプトに進出したように、
どこか1つの国を選んでやっていくべきでしょう。
しかし実際のところ、あまりに急速に成長してしまったこともあり、
中国の経営者には20年という長期スパンを持っている人は少ないので、
実現性は低いと私は思います。
仮に目指す経営者がいたとしても、私の経験から言えば「20年」は必要です。
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▼ロッテのお家騒動は、決着を見た
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ロッテホールディングスは先月24日、定時株主総会を開き、
創業者の重光武雄名誉会長の取締役から外れる人事案を可決しました。
一方、創業家長男で前副会長、重光宏之氏が
自身の取締役への復帰などを求めた株主提案は否決され、
これにより次男で副会長、重光昭夫氏が
日韓のロッテグループを掌握することになります。
日本のロッテは、元住友銀行の佃氏が代表取締役を務め、
重光昭夫氏と一緒にやっていく体制が固まったと見ていいと思います。
創業者の重光武雄名誉会長の取締役退任人事が通ったということは、
従業員持株会なども重光昭夫氏を支持したということでしょう。
お家騒動で世間を賑わせたロッテですが、今回で決着したと思います。
重光宏之氏は、現在公判中の立場にある重光昭夫氏を批判していますが、
株主総会で可決されてしまいましたから、もうこれ以上は難しいでしょう。
ロッテは日本で創業した会社ですが、韓国のほうが大きく、
今では5大財閥に入り込むほどになっています。
流通、化学・建設業に強く、その建設に対する強みを活かして
日本での展開も試みましたが、上手く行きませんでした。
結果として、日本のロッテは「お菓子のロッテ」のままです。
佃・昭夫コンビになって、今後のロッテを
どう舵取りしていくのか注目していきたいと思います。