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大前研一ニュースの視点

世界スポーツウエア大手/ブリヂストン/米インテル ~インテルの本当の狙い

・世界スポーツウエア大手 テクストトレーディング社を買収
・ブリヂストン 米アズーガHDを買収
・米インテル 米クアルコムから半導体生産受託

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▼海外展開を狙うフットロッカーにとって、アトモスはうってつけの買収先
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米スニーカースポーツウェアの
小売大手・フットロッカーは2日、
日本のスニーカー専門店である
アトモスを展開する
テクストトレーディングカンパニーを
買収すると発表しました。

買収額は396億円で、
これによりフットロッカーは
急成長する
アジアパシフィック市場での事業を
強化する考えです。

アトモスはナイキなど
多くの有名ブランドを取り扱い、
マーケティングが非常に上手い企業です。

 

私はナイキの社外役員を
5年勤めていましたが、
フットロッカーとナイキの関係は
非常に独特です。

似ている点として、
スニーカーカルチャーを
浸透させるという戦略を
採用していることです。

 

即ち、スニーカーを入り口にして、
ウェアや道具を展開していくという方法です。

ナイキもスニーカーから展開し、
ウェアで全米1位に上り詰めました。

フットロッカーは自社と似たような
総合的な展開ができる企業を
探していたところ、
意外なことに日本で条件の良い企業を
発見したというところでしょう。

 

海外展開にも力を入れようとしていた矢先、
フットロッカーにとっては
非常に良い動きになったのではないかと
思います。

 

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▼DBを活用したサブスクモデルへ転換するブリヂストン
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ブリヂストンは3日、
運送事業者向けの
車両管理サービスを手掛ける
米アズーガHDを買収すると
発表しました。

アズーガはGPSによる追跡や、
ドライバーの動作の監視などを通じて、
車両の運行を効率化させる
サービスを手掛けています。

 

ブリヂストンは
タイヤと車両のデータを
組み合わせたサービスを構築し、
タイヤ販売からの脱却を図る考えです。

ブリヂストン、グッドイヤー、
コンチネンタルなど、
各タイヤトップメーカーは
だんだんとタイヤを単体で売ることから、
タイヤを活用した
サブスク型ビジネスへ
転換を図っています。

 

タイヤのサブスクサービスは、
利用者にとっては
数年に一度タイヤを全て取り替えるよりも
リーズナブルですし、
一方のブリヂストンなどの企業にとっては、
運行情報などを管理しながら、
毎月少額ながらも
安定的に収益を上げていくことができる
というメリットがあります。

 

さらに、
タイヤの買い替え時に
ユーザーが他のメーカーに
乗り換えてしまうリスクを
抑えることができるので、
経営の見通しが立つという意味で
非常に重要な施策になります。

 

運行情報を管理することで、
今までのように
「スリップサインが出たらタイヤ交換」
ではなく、
常に一番良い状態を把握して
タイヤを提供できるので、
サービスレベルも
向上させることができるはずです。

 

そのために、
フリート(運送事業者)に対する
運行管理サービス専門会社である
アズーガを買収しています。

アズーガは
6,000を超えるフリートと契約をし、
政府機関や保険会社などにも
サービスを提供しています。

 

ブリヂストンは数年前に
欧州のフリート管理会社も買収していて、
この動きを加速させています。

ブリヂストンは
ファイアストンの買収で
苦労しましたが、
現在は資金的にも問題がないので、
この動きがどのように展開していくのか
期待したいところです。

 

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▼インテルの受託生産が半導体業界に与えた影響
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米インテルは先月26日、
半導体大手の米クアルコムから
生産を受託したと発表しました。

インテルは2月に就任した
ゲルシンガーCEOのもと、
半導体の自社生産を堅持する一方、
受託生産にも本格参入する方針を示しており、
生産拠点を分散する動きを追い風に
成長が見込まれる
受託生産事業を拡大する考えです。

 

インテルにパット・ゲルシンガー氏が
戻ってきた結果、
このような大きな動きを見せています。

インテルと言えば、
これまで自社設計・生産だけに注力し、
マイクロソフトとともに
「Intel Inside」で
市場を席巻してきました。

 

長い間トップに君臨してきたものの、
近年になって受託生産の
TSMCなどの躍進が
著しくなっています。

半導体業界の状況を見ると、
今でも売上のトップは
インテルですが、
サムスン電子とTSMCが次いでいます。

 

売上高はインテルの方が上ですが、
技術的にはすでに
TSMCがトップと言っても
過言ではない状況です。

この点にインテルは
危機感を感じているのだと思います。

その結果、
受託生産という方法を
採用したのでしょう。

 

受託生産も受けることになれば、
売上規模も拡大しますし、
それ以上に技術も確実に進歩します。

それこそ、本当の狙いだと思います。

インテルが受託生産を受けるというのは、
他社にとっても非常に魅力的でしょう。

 

実際、競合相手のクアルコム、
さらにはアマゾンのAWSからも
早々に依頼を受けているようです。

TSMCも
オランダの半導体メーカーASMLへ
委託しつつ、
インテルの受託生産も活用すると
発表しています。

 

ゲルシンガー氏が打ち出したこの戦略が
吉と出るか凶と出るのかは
まだ分かりませんが、
半導体業界全体に
大きな影響を与えているのは
間違いないでしょう。

半導体業界は
栄枯盛衰が激しい業界です。

 

かつての世界トップ企業だった
テキサス・インスツルメンツも、
上位に位置していた日本の各社も、
今では見る影もありません。

そんな半導体業界において、
このようなインテルの
柔軟なシフトチェンジが
どのような展開を見せるのか、
注目したいと思います。

 

 

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