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大前研一ニュースの視点

原油価格、ロイヤル・ダッチ・シェル、英陸上油田、韓国サムスン電子~原油高騰の背景には何があるか?

2016/09/25

原油価格、ロイヤル・ダッチ・シェル、英陸上油田、韓国サムスン電子~原油高騰の背景には何があるか?
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原油価格 1バレル52.14ドルで2ヶ月ぶり高値圏
ロイヤル・ダッチ・シェル 英BGグループを買収
英陸上油田 英南部で大型陸上油田を発見
韓国サムスン電子 「ギャラクシーS6」を日本発売

原油の背景にある、サウジアラビアとロシアの思惑

6日のニューヨーク原油先物相場は大幅反発しました。

指標となるWTIは前営業日比3ドル(6.1%)高い1バレル52.14ドルと、約2カ月ぶりの高値圏で取引を終えました。

週末にサウジアラビアがアジア向けの原油価格を引き上げたことや、
ドル高が一服し原油の割安感が強まったことも買い材料となった、と報じられていますが、
過去15年~20年の価格推移を見ると今回の上昇などわずかでしかありません。

一連の動きを見ていると、様々な政治的な背景を感じてしまいます。

スンニ派のサウジアラビアは、シーア派を排除するためイエメンへの直接攻撃を開始しました。

この原油への対応も、サウジアラビアによる引き締め策の一貫ではないかと思います。

一方で、サウジアラビアに対抗する動きを見せているのがロシアです。

ロシアは国連に他国がイエメンに干渉することを許すべきではなく、停戦させろと主張しています。

どちらかと言うと、ロシアはシーア派寄りです。

サウジアラビアのために原油価格が下落し、ロシアは相当大変だったはずです。

そこで、これを機にサウジアラビアに「一泡吹かせたい」というところでしょうか。

本当のところは想像の域を出ませんが、ロシアの地政学的な動き、
それに呼応するように多少手加減を見せ始めているサウジアラビア、という構図が見えます。

原油産業は、もはや規模の経済の時代ではない/新油田が英国に与える影響

欧州の石油・ガス最大手、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは8日、
原油安で業績が悪化していた英同業のBGグループを470億ポンド(約8兆4000億円)で買収すると発表しました。

買収によりシェルの原油・ガス生産量は日量369万バレルとなり、
欧米メジャー首位の米エクソンモービルに迫る規模となります。

確かにBGグループを加えると規模は拡大しますが、BGグループは赤字ですし、
今さら規模を追い求める必要があるのか?私には疑問です。

原油安、ガス安の今の時代に、規模の経済が機能するとは、私には思えません。

過去を振り返ると、原油を「当てる」ためには、数多くの穴を掘る必要がありました。

多くの穴を掘れば、外れる可能性が高いとしても、確率論的に「当たり」ます。

そして、1つでも2つでも当たれば元が取れたのです。

しかし、そのような時代はとっくに終わっています。

むしろ、今後は「質」を追い求める時代ではないのか?と私は感じていて、
余計に今BGグループを買収する意味に疑問を感じてしまいます。

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英国南部で大型の陸上油田が発見されたことが9日、明らかとなりました。

埋蔵量は最大で1000億バレルと試算でき、
北海油田の過去40年間の採掘量(450億バレル)の2倍以上にあたるとのことです。

ロンドン郊外のガトウィック空港のすぐそばで発見されたそうです。

実際には試算されている埋蔵量の10%~15%しか採油できないとも言われていますが、
この油田の存在は英国にとって非常におもしろいと思います。

北海油田に匹敵するようになれば、年々原油生産量が減少していた英国にとっては、
大いに役立つ存在になります。

また、政治的な影響も考えられます。

北海油田は地域としてはスコットランドに属しますが、今回の油田はまさにイングランドにあります。

イングランド独立党、スコットランド独立党など、どの政党も「油利権」は狙っていますから、
この油田の収入がイングランドに入るとなると、その影響は大きいでしょう。

もしかすると、英国のEUからの離脱という動きにもプラスに働くかも知れません。

ただ現時点では、どのくらいの採油が可能なのかというのは不明ですから、
しっかりと信憑性を確かめる必要があると思います。

韓国サムスン電子は正念場が続く

韓国のサムスン電子は8日、スマートフォンの新機種「ギャラクシーS6」シリーズを、
NTTドコモとKDDIを通じて23日から販売すると発表しました。

米アップルの「iPhone」人気が高い日本市場で苦戦するサムスンは、
新製品投入で巻き返しを図る考えです。

サムスンにかぎらず、韓国企業は日本市場で苦労しています。

ヒュンダイ自動車も2度日本市場へ進出しようとして失敗し、
化粧品のアモーレ・パシフィック、アパレルのイーランドも日本市場から撤退しました。

中国では成功しているアモーレ・パシフィックにしても、日本は苦手だということです。

サムスンの場合、かつてギャラクシー販売に注力していたNTTドコモがiPhoneを扱うようになってから、
急激に苦しい立場に立たされるようになりました。

ドコモがiPhoneを扱い始めたマイナス影響から、未だに反転ができていない状況です。

そんな中、中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)は創業5周年を記念して
インターネット上で行った8日の販促イベントで、1日に211万台のスマホを販売したことを明らかにしました。

アップル(iPhone)と小米が市場で暴れまわると、ますますサムスンにとっては不利になります。

サムスンにとっては正念場が続く、というところでしょう。



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