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大前研一ニュースの視点

次世代主力ロケット/SOMPO HD/サッポロHD

▼次世代主力ロケット 「H3」2号機の打ち上げ成功
商業用ロケット実現には確実な成功継続が必須

新型の国産主力ロケット「H3」2号機が17日、
種子島宇宙センターから打ち上げられ、
目標の軌道に小型人工衛星2基を投入しました。

「H3」は現在の基幹ロケット「H2A」の半分の打ち上げコストを
目指して開発されましたが、昨年3月の打ち上げは失敗しており、
今回の成功を受け、今後は実用的な人工衛星を搭載するなど、
本格的な運用に移る方針です。

ロケットにおける世界の趨勢(すうせい)は、
ロシアの安い衛星と確実に打ち上げる技術力、
ヨーロッパのアリアンのような実績、
アメリカのスペースXによる再使用による低価格です。

「H3」は初回で失敗して、2回目で成功しましたが、
この成功が“ぬか喜び”とならないように、
今後は何十回もの打ち上げに成功して価格の見通しができた上で、
再使用ロケットに比べても競争力があるところまで達成しなければなりません。

商業用ロケットの実現には、今後の打ち上げでの確実な成功が必須であり、
失敗は許されないと思います。

 

 

▼SOMPO HD 損保ジャパンの政策保有株をゼロに
ゼロとするには惜しい、政策保有株とされた株式

SOMPOホールディングス株式会社は15日、
傘下の損保保険ジャパンが保有するおよそ1兆3000億円分の
政策保有株をゼロにする方針を示しました。

政策保有株は純粋な投資目的ではなく、
取引先との関係維持などのため企業が保有する株式ですが、
株式の持ち合いを通じた企業のもたれ合いが保険料の事前調整の
温床になったとして、金融庁から売却を求められていました。

政策保有株は業界全体では6兆円ぐらいあると言われていますが、
損保保険ジャパンだけでは1兆3000億円です。

どういった企業の株式を持っているのかと
「損害保険ジャパンの政策保有株」のグラフを見ますと、
トップは信越化学であり、損保ジャパンとは関係がない企業のようです。

必ずしも政策保有株ということではなく、
確実に上がる株式を狙っていると思われ、
ノルウェー銀行(Norges Bank)のような方針で
株式を保有しているのだと思います。

伊藤忠、キヤノン、味の素、NIPPON EXPRESS HD、SUBARUなど、
とてもよい株を選んでいると思いますが、これらをゼロにするということです。

 

 

▼サッポロHD 都心不動産の売却検討
不動産売却をして、ビール事業の収益事業化を目指す

サッポロホールディングスが、恵比寿ガーデンプレイスや銀座などに
保有する不動産の売却を検討していることが分かりました。

不動産事業はサッポロの収益の柱の一つで、
2023年12月期の業績予想では利益の3分の1を占めますが、
筆頭株主の投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズが
コア事業である酒類事業の低収益性を放置したとして、
不動産の売却など経営改革を求めていました。

このニュースに関連する質問をいただきました。
『「サッポロホールディングス、ビール集中」「都心不動産売却検討」
とありますが、それとは逆の戦略の選択で、難易度の高いビール事業は売却し、
得た資金で財務改善、TOB、恵比寿ガーデンプレイスをインバウンド向けに
転換したほうが成功の確率が高いと思うのですが、いかがでしょうか』

正論だとは思います。
ビール事業についてはサントリーも長年苦労しましたが、
マスターズドリームのヒットもあって、
今はやっと利益が出るようになってきました。
そしてアサヒとキリンも、その座を譲ることはありません。
対して業界4位サッポロには大変なことかもしれません。
しかしビール事業の売却については現在、酒類、
食品飲料の利益は出ていますので、
3Dインベストメントは酒類事業の低収益性を放置したとして、
不動産売却などの経営改革を求めたということです。

 

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