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大前研一ニュースの視点

メッセンジャーRNA/国内ワクチン接種 ~今後の新型コロナとの付き合い方とは

・メッセンジャーRNA mRNA、次世代薬けん引
・国内ワクチン接種 全国の18歳以上の接種開始

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▼メッセンジャーRNAで飛躍した独ビオンテック社
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日経新聞は先月15日、「mRNA、次世代薬けん引」
と題する記事を掲載しました。

新型コロナワクチンで初めて実用化された
メッセンジャーRNA医薬が
注目を集めていると紹介。

 

遺伝情報の伝令役である
メッセンジャーRNAは
人工合成でき、
病気に合わせた創薬が容易なことが特徴で、
癌やHIVなどを対象にした新薬の治験が進み、
早期開発への期待が
高まっているとのことです。

 

mRNAへの期待が高まる中、
独ビオンテック社が注目を集めています。

米ファイザー社のワクチンは、
独ビオンテック社との
共同開発ということですが、
実際に主導したのは
ビオンテック社とも言われています。

ビオンテック社の創業者はトルコ出身の方です。

 

そして、特に今回のワクチン開発に
大きく寄与したと言われているのが
ハンガリー出身のカタリン・カリコ氏です。

カリコ氏は、
テンプル大学やペンシルベニア大学で
RNAの研究をしていましたが、
あまり評価を得ることが
できなかったそうです。

 

ペンシルベニア大学の
ドリュー・ワイスマン教授と
今回のワクチン開発に結びつく
研究成果を共同発表しましたが、
それでも注目を集めることは
ありませんでした。

それがビオンテック社に招かれて、
一気に花が開き、
今は上級副社長を
務めるほどになっています。

 

ビオンテックは創業者がトルコ出身で、
カリコ氏はハンガリー出身ですから、
どちらも移民です。

ドイツにはそういう人たちが活躍できる
土壌があるということだと思います。

優秀な人材は、
移民であろうがなかろうが
関係ないという環境は非常に重要です。

 

残念ながら、
日本ではスポーツの分野を除いて
このような例を
ほとんど見たことがありません。

これからは日本でも、
移民を受け入れて活躍できる環境を
整えることが大事だと思います。

 

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▼国内ワクチン接種で混乱を引き起こした河野氏
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自衛隊が運営する
新型コロナワクチン大規模接種センターは
先月17日、
これまでの65歳以上から範囲を拡大し、
全国の18歳以上を対象にした
接種を開始しました。

 

一方、河野行革相は23日、
企業や自治体が実施する
職域接種や大規模接種について、
申込みが上限に達したとして
申請の受付を一時停止すると
発表しました。

河野氏には気の毒ですが、
全く実態が掴めていないと感じます。

 

大規模接種には余裕があるとして、
年齢制限を外して間口を広げたものの、
自治体によってはまだ配布していない
接種券を必須にしたことで、
明らかに混乱が生じました。

挙げ句、
職域接種については、
米モデルナ製ワクチンが
不足する可能性があるとして、
企業などからの申請の受付を
一時休止するとは意味がわかりません。

 

米モデルナ製ワクチンを職域接種へ
3300万回分割り当てるとのことですが、
このような上限数を
示したのも初めてです。

河野氏と言えば、
緻密な仕事ぶりが売りだったのに、
一体どうしてしまったのかと思います。

今回のワクチン接種については、
明らかな問題が起こっていて、
国民の中には怒りを感じている人も
いるでしょう。

 

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▼新型コロナもインフルエンザ化する可能性が高い
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今後の新型コロナとの
付き合い方を考えると、
インフルエンザと同様になっていく
可能性が高いと感じます。

今、イスラエルでデルタ株が蔓延し、
イギリスはデルタ株が猛威を奮って
再び感染者が急増しています。

 

このデルタ株のように、
新型コロナもインフルエンザと同様に、
毎年異なるものが蔓延し、
それに対応するように
なるかもしれません。

ワクチンで言えば、
毎年異なるインフルエンザのワクチンを
生産しているように、
新型コロナワクチンも
毎年の「型」に合わせて
生産することになるでしょう。

 

ただし、現時点ではデルタ株には
ワクチンの効果が期待できないとも
言われていますから、
経過をよく見ていく必要は
あると思います。

あるいは、可能性は低いと思いますが、
新型コロナが衰退して、
そのような心配をする必要が
なくなってくれるかもしれません。

 

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▼これからは五輪開催に手を挙げる国・都市は減っていく
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こうした状況の中、
日本が五輪開催に踏み切ったことに関して、
多くの国民が不満や不安を
感じていると思います。

しかし、残念ながら日本側には
五輪開催に関して意思決定に
関与できる仕組みがないということが
今回の件を通じてはっきりとわかりました。

 

さすがに日本の首相が
開催禁止を東京都に命じれば話は別ですが、
逆に言えばそこまでの強権を発動しない限り、
五輪の開催を中止することはできません。

基本的に、
開催の可否について
全ての鍵を握っているのは
米国のNBCです。

 

新型コロナも日本の状況も関係なく、
アスリートが競技をやってしまえば、
スポンサーも文句は言わないし
何も問題はない、
というのが米NBC会長の見解です。

この意見を聞いた時には、
あまりの「下品さ」に私は呆れました。

 

そんな米NBC会長に対して、
IOC(国際オリンピック委員会)も
はっきりと意見は言えない立場です。

次の北京五輪について言えば、
参加国がボイコットして、
結果としてスポンサーが降りるとなれば、
NBCも開催を見送らざるを得ないと
思いますが、
そうでない限り、
NBCは今回同様に
強く開催を求めるでしょう。

 

おかしいと感じる部分は
多いと思いますが、
五輪というのは「そういう組織」なのだと
認識するしかありません。

それゆえ、
今後は五輪開催に手を挙げる国・都市も
どんどん少なくなるのではないかと
私は見ています。

 

 

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