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大前研一ニュースの視点

米感染者数/米ワクチン接種/国内新型コロナ治療 ~菅首相の「伝え方」はあまりにお粗末

・米感染者数 感染者の4分の3がワクチン接種者
・米ワクチン接種 職員にワクチン接種義務付け
・国内新型コロナ治療 感染拡大地域で入院を重症者に制限

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▼ワクチン接種をしても、感染を抑えることはできない状況
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米疾病対策センター(CDC)は先月31日、
マサチューセッツ州で発生した
新型コロナのクラスターを
分析したところ、
感染者の4分の3が
ワクチンを接種済みの人であったことを
明らかにしました。

 

また、
デルタ株に感染した
ワクチン接種者からは
未接種者と同等のウイルス量が
確認されたとのことで、
他者に感染させる可能性があることから、
あらためてワクチン接種者にも
マスクの着用を推奨する考えを示しました。

 

私は毎日、
英国の統計をチェックしていますが、
英国では約6割の人が
ワクチンを接種した上で、
リラックスした日常生活を
送るようになっています。

その結果として、
人口は日本の約半分なのにもかかわらず、
一日あたりの感染者数を見ると
直近1週間では2万人を超え、
死者数も日本を上回っている状況です。

 

マサチューセッツ州、英国、
いずれの状況から見ても、
感染抑制という点において
ワクチン接種の効果に
疑問を感じざるを得ません。

そもそもワクチンの効果が薄いのか、
あるいはデルタ株に対応するためには
別のワクチンを開発する必要があるのか。

 

また、ワシントン大学の発表によると、
PCR検査を受けていないために
新型コロナへの感染が発覚していない人が
多数存在しており、
実際の感染者数は
2倍超に達する見込みとのことです。

これが事実とすれば、
ものすごい数だと思います。

 

こうした状況の中で
日本と世界を比較してみると、
日本では感染者数、重症者数は
増えていますが、
死者数はそれほど増えていません。

海外と日本の状況は全く違います。

 

その上、日本では英国のように、
気軽にパブに出掛け、
サッカー観戦に6万人が押し寄せることもなく、
無観客でオリンピックを開催しました。

ワクチンを接種したところで、
英国の感染者数も死者数も
非常に多い状況に陥っています。

 

これはデルタ株を理解する上で
非常に重要な数字として
受け止めるべきでしょう。

現状では、
ワクチンを接種していても
感染は広がっていますから、
キャリアとして
ウイルスを保っているという可能性は
高いと言えます。

 

そのような状況を受けて、
ニューヨーク市のデブラシオ市長や
カリファルニア州のニューサム知事は
職員に新型コロナワクチンの接種を
義務付けると発表しました。

また、
米国のグーグルやフェイスブックも
出社する際にワクチンの接種を
義務付けるほか、
アップルは出社再開の時期を
当初の9月から
少なくとも1ヶ月延長する方針を
示しました。

 

グーグルもフェイスブックも
リモート勤務も可能ですから、
ワクチン接種自体は
強制ではありませんが、
この決定は物議を醸しています。

フランスでは、
ワクチン接種を義務づけることは
差別だとして、
反対する市民運動が広がっています。

 

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▼1年半経過しても、何一つ行政の仕掛けは機能していない
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政府は2日、
新型コロナの感染が急拡大する地域では
入院対象を重症患者に絞り、
それ以外は原則自宅療養とする方針を
示しました。

これに対し、
野党各党が撤回要求で一致したほか、
与党も再検討を求める方針を示しましたが、
菅首相は
「病床を一定程度空かせて
緊急な方に対応しようということ、で
丁寧に説明して理解してもらう」と述べ、
撤回しない考えを示しました。

 

そもそも、病床を空かせるために、
重症化していない人は
自宅で療養と言われても、
実際のところ
自宅で感染している人が多いのですから、
おかしな話です。

新型コロナウイルスが
感染拡大し始めた初期の頃に
考えていたように、
政府がホテルなどを借り上げて、
そこに専門家を置いて
経過を診るようにすべきだと思います。

 

また、
「どういう場合に入院できるのか」
というのも明確ではありません。

棄民政策だと批判を受けていますが、
菅首相の「伝え方」が
あまりにお粗末だと私は感じます。

 

「入院したい人はできる」
などと言ってみたり、
あのような物言いでは、
国民が不満を募らせるのは
致し方ないでしょう。

こうした政府の発表は
明らかに思慮が足らないと
言わざるを得ません。

 

これでは今後の選挙に
大きな影響が出てくると思います。

では政府として、
具体的にどのような対策を
取るべきなのか?

私は法律を整備して、
積極的な施策を
講じるべきだと思います。

 

現状、
ロックダウンなどの権限を
自治体に委譲することについては
厚労省が抵抗しています。

厚労省は自ら責任を負って
決定をしたくないくせに、
権限だけは
自分たちで維持しておきたい
という態度です。

 

それゆえ、
自治体の長が病院に対して、
コロナ病床を増やせと
命じることができません。

新型コロナウイルス感染拡大から
約1年半も経過しているのに、
コロナ病床は心もとなく、
患者に対応できないなどと
言っているのですから、
怠慢以外の何ものでもないでしょう。

 

また、
現場の医療関係者の話を聞くと、
現場で対応する人が足りない、
あるいはエクモ(ECMO)の使い方を
知っている人も少ないという声も聞きます。

しかし、これについても、
1年半の間に対応できたはずです。

 

エクモ(ECMO)にしても、
トレーニングをして扱える人を
増やすことは可能だったでしょう。

これらを見ても、
行政の仕掛けが
1年半も経っているのに
何一つ機能していないことが
証明されていると思います。

 

新型コロナウイルスへの対応は、
国にとって非常に大きな問題です。

法律を整備して
国が積極的に対応するべきだと
私は思いますが、
そのような意見に対して、
歴史的には
必ず野党が反対をしてきました。

 

国家総動員法のように、
国家が直接命令できる権限を持つことは、
「戦前回帰」「赤紙と同じ」
だという理由です。

しかしながら、
今の状況はパンデミックであり、
人命が懸かっている
極めて重大な問題ですから、
国家的に対処すべきものだと
私は思います。

 

その上で、
意味不明な自宅療養を
押し付けるのではなく、
できる限り早くコロナ病床を
抜本的に増やし、
少なくとも重症患者用の病床を
2~3倍にするべきです。

医師会にしても、
生意気な顔をして登場しているだけで、
結局のところ
具体的なことは何もしていません。

 

政府を含め、
誰一人として責任を持って
具体的な対策を取っていないのは
非常に残念でなりません。

 

 

 

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