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大前研一ニュースの視点

北朝鮮情勢/米移民問題/米トランプ大統領/米大型ハリケーン ~トランプ大統領で北朝鮮を制御できるのか?

2019/01/29

・北朝鮮情勢 豊渓里付近でM6.3規模の揺れ
・米移民問題 移民めぐり対立再燃、トランプ政権とシリコンバレー
・米トランプ大統領 トランプ氏の元保安官恩赦は三権分立の侵害
・米大型ハリケーン 記録的豪雨で大洪水

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▼トランプ大統領で北朝鮮を制御できるのか?
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日本時間3日午後0時29分ごろ、北朝鮮北東部の豊渓里付近で、
M6.3前後の人工的な揺れが観測されました。

朝鮮中央テレビは、午後3時から重大報道を行い、
「大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験に完全成功した」
と発表。

昨年9月に続く6回目の核実験を公式に認めました。

今回の規模からすると、おそらく「水爆」で間違いないと思います。

私も揺れている現地の映像を見ましたが、非常に大きな揺れ方でした。

これまでの実験で観測されていた揺れは、
M5.3~M5.4という範囲でしたが、
今回はM6.3となりこれまでの10倍の大きさになります。

北朝鮮がこの規模の実験に成功する段階まで
来てしまったということです。

米国も北朝鮮に対する分析を改め、現在の北朝鮮は
核爆弾を60発ほど持てるようになったと認識しています。

核爆弾の燃料はウクライナあるいはロシアから購入したのか不明なまま、
いずれにせよ、北朝鮮は恐ろしいまでの攻撃力を持ち、
米国まで届くミサイルまで保有できるようになってきています。

北朝鮮のミサイルが3つに割れたという報道がありましたが、
これは映像が乱れただけではないかと思っています。

米国やロシアであれば、ミサイルのヘッド部分を切り離し、
その部分だけを操作することも可能ですが、
さすがに北朝鮮にそこまでの技術はまだないでしょう。

トランプ大統領は金正恩に騙されて、
「オレの言うことを聞くようになった」
などと2週間前に発言していましたが、
舌の根も乾かぬうちに今回の事態を迎えています。

トランプ大統領ごときの発言で、
腰が引ける金正恩ではなかったということでしょう。

ニューズウィーク誌やTIME誌を見ると、
トランプ大統領が本当に戦争を始める気なのか?

といった特集が組まれています。

このような状況でも、北朝鮮に米国人観光客がいるそうで、
何とも呑気な話です。

現時点ではこの事態に対して、ロシアの方が
真剣に話し合いをしようと試みています。

朝鮮半島で大規模な戦争が起こるとロシアにとっても
非常に困ることになります。

プーチン大統領としては
何とかして朝鮮半島の戦いを避けたいと思っているのでしょう。

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▼政治、経済問題でもトランプ政権の問題は山積み
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外交問題以外でも、米国・トランプ大統領が抱える問題は山積しています。

日経新聞は2日、「移民めぐり対立再燃」と題する記事を掲載しました。

幼少時に親と米国に不法入国した若者に滞在許可を与える制度(DACA)
の撤廃を検討中のトランプ政権に対して、
アップルやグーグルなどの企業トップら300人超は
連名で制度の維持を要請しました。

仮に制度がなくなれば約80万人の移民が強制送還の対象となります。

DACA取得者数を見ると、圧倒的にメキシコ人が多く、
意外なことに韓国人も上位に入っています。

米国の労働者数の推移を見ても、外国人労働者数は
特にカルフォルニアなどの地域で伸びており、
もし移民が強制送還されるとなると、
米国企業は相当大きな影響を受けることになります。

またフィナンシャル・タイムズは先月28日、
「トランプ氏の元保安官恩赦は三権分立の侵害」
と題する社説を掲載しました。

法廷侮辱罪の有罪判決を受けた
ジョー・アルパイオ氏に恩赦を与えることは、
米国の根本的原則である三権分立への攻撃だと指摘。

これまでトランプ主義を拒否する共和党員と保守派は
中南米系市民の取り込みを模索してきましたが、
今回のトランプ氏の一件がそこに長期的な打撃を
与えた可能性があるとしています。

ジョー・アルパイオ氏と言えば、
移民に対する態度が非常に厳しかった人物です。

本来、恩赦が与えられるためには、司法省が提言をして
大統領がそれを認めて署名するという流れになります。

ところが、今回は司法省の提言なしにトランプ大統領が
直接署名をして、恩赦を与えました。

すなわち、司法ではなく行政による決定であったことが
「三権分立の侵害である」という指摘になっています。

これはまさにその通りだと思います。

様々な問題への対処が求められているトランプ大統領ですが、
オバマケアの見直し、財政赤字拡大の懸念を払拭できるか、
といった経済対策についても非常に厳しい状況になっています。

法人税率を15%に引き下げると言っていますが、
現実的に20%台前半が限界でしょう。

記録的な豪雨で大洪水をもたらした大型ハリケーン「ハービー」
の被害でも5000億円以上の出費が試算されています。

このままだと連邦政府がデフォルトすることになってしまいます。

早く議会を再開し、連邦政府の債務上限引き上げを
行う必要がありますが、議会にも共和党にも反トランプが続出していて、
一筋縄ではいかないでしょう。

仮に法人税率を20%台前半まで引き下げたとして、
足らない財源はどうするべきか?

最も良いのは、アイルランドを始め、
世界に進出している米国企業に課税できるようにすることです。

結局のところ、ここ抑えなければザルで水漏れしているのと
同じ状態だと私は思います。

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