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大前研一ニュースの視点

ニコン・JT・日本マクドナルドHD~企業を取り巻く環境について考える

2016/09/25

ニコン・JT・日本マクドナルドHD~企業を取り巻く環境について考える
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ニコン 連結純利益200億円
JT 清涼飲料の製造・販売事業から撤退へ
日本マクドナルドHD 連結営業赤字67億円

厳しい状況に追い込まれたニコン/JTは加工食品事業にテコ入れを

ニコンは5日、2015年3月期の連結純利益が前期比57%減の200億円と、
従来予想(19%減の380億円)から減益幅が拡大する見通しだと発表しました。

ニコンのデジカメの出荷台数を見ると、レンズ一体型のデジカメは
2008年をピークに大幅に落ち込んでいるのがわかります。

そして、緩やかに増加傾向だった一眼レフ等のレンズ交換式も
2012年をピークに減少に転じています。

出荷金額の落ち込みもひどく、デジカメ業界のトップに君臨しているキャノン、
ニコンには非常に厳しい状況になっています。

デジカメ以外でもプリンターや複写機も扱っているキャノンに比べると、
顕微鏡や望遠鏡に頼る他ないニコンにとって、より厳しい現実でしょう。

優良企業の代表格であったニコンが、今後何を主力として生きていくのか?
非常に大きな課題です。

三菱系の企業ですから、最後はサポートがあるのでは?という気もします。

しかし三菱自動車の救済が上手くいかなかったように、
最終的にはニコン自身で自らのビジネスを立て直す気概がなければ成功しないと私は思います。


* * * * *
日本たばこ産業(JT)は4日、9月末をめどに清涼飲料の製造・販売事業から撤退すると発表しました。

自動販売機を主力販路として缶コーヒーの「ルーツ」や清涼飲料水「桃の天然水」などを
展開してきましたが、コンビニエンスストアをはじめとする他の販路との競争が激しく
今後の成長が見込めないと判断したとのことです。

JTのセグメント別業績を見ると、海外・国内共にたばこ事業が堅調で、収益も十分にあげています。

特に買収の結果として、海外たばこ事業は国内の倍近い売上高になっています。

一方でマイナス収益から脱却できていないのが、飲料事業、加工食品事業、医療事業です。

今回飲料事業の撤退が発表されましたが、JTにはいわゆる「手売り」部隊がおらず自販機頼りでした。

自販機業界では、サントリー、コカ・コーラが圧倒的な強さを見せており、
さらにはキリン、アサヒビールが続きます。

JTも強化策は打っていましたが、さすがに限界が来たというところでしょう。

JTの今後の戦略としては、たばこ事業で稼いでいる資金を使って、他の事業の立て直しを図るべきだと私は思います。

医療事業はテコ入れだけでも、1兆円規模の資金が必要になるでしょうから、現実的ではありません。

その点、有望なのは加工食品事業です。

マイナス幅も小さいですし、ニチレイなどと提携してみるのも面白いと思います。

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マクドナルド不振の原因は不祥事に非ず

日本マクドナルドホールディングスが5日発表した2014年12月期の連結営業損益は
67億円の赤字(前の期は115億円の黒字)でした。

「使用期限切れ鶏肉」の問題を受け、客離れが加速。

売り上げの落ち込みが響いて、01年の上場来初の営業赤字に転落したとのことです。

これまでにも私は何度もマクドナルドの不振について意見を述べてきましたが、
マクドナルド不振の「本当の原因」は、一連の不祥事ではありません。

マクドナルドを取り巻く環境、すなわち日本の昼食、
間食市場が世界にも例がないほど、競争が激しい市場だからです。

米国ではハンバーガーは8兆円の巨大市場であり、
競合と言えばハンバーガーチェーン店でしょう。

しかし日本には、バラエティに富んだお弁当を揃えたコンビニがあり、
さらには、うどん屋・蕎麦屋・牛丼屋・カレー屋など、
安く食べられる飲食店が非常に多く、それらが競争相手として存在しています。

確かに日本人はマクドナルドを食べますが、これらの競争相手との兼ね合いもあって、
マクドナルドへ通う頻度は決して高くなっていないはずです。

今の状況だと、「期限切れの鶏肉のせいで」と言い訳しやすいと思いますが、
それで終わりにしていては再起を図ることはできないでしょう。

この「日本独特の構造的な問題」への対策は非常に難しいと思いますが、
日本マクドナルドとしては、まずこの問題に気付き、
目を向けることから始めなければいけないでしょう。

また世界的に見ても、「健康志向」の食事を求める傾向になりつつあり、
コカ・コーラやマクドナルドにとっては向かい風が吹いています。

マクドナルド自身が、「健康的なマクドナルド」という新しいコンセプトを打ち出して、
状況を打開していくしかないでしょう。



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