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大前研一ニュースの視点

米政策金利/円相場/東京電力HD/原子力政策 ~円安が進み、日本国債の暴落への危険性

・米政策金利 ゼロ金利を2年ぶりに解除
・円相場 一時1ドル=119円40銭
・東京電力HD 電力需給逼迫で節電呼びかけ
・原子力政策 原発攻撃への堅牢性は「事実上無理」



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▼米政策金利が上がると、日本にどのような影響があるか?
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米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、
短期金利の指標である
FF金利の誘導目標を
0.25~0.5%へ引き上げる方針を
決定しました。

新型コロナ対応として始めたゼロ金利を
2年ぶりに解除するもので、
ロシアのウクライナ侵攻で
不確実性が高まる中、
インフレ抑制を優先し
大規模緩和の幕引きを目指す考えです。



米国の物価上昇率を見ると、
特に燃料が顕著で
約25%も値上がりしています。

その他全品目で上昇傾向にあり、
このインフレ傾向は
世界的に波及しています。

米国はこのインフレを抑え込むために、
金利を上げ始めたということです。



インフレの影響で、
国債の利率を上げないと
買ってもらえないからです。

そして、
米国債の利率が上がると
日本も引きずられることになります。

日米欧の中央銀行の
総資産残高の推移を見ると、
FRBも日銀もECBも
総資産を溜め込んでいることが
分かります。



国債が暴落すると、
溜め込んだ資産残高が大きいだけに
大変な事態になるので、
何とかして
金利を払わなくてはいけないという
状況でしょう。

こうなってくると、
日銀は世界に先んじて
自ら抱え込んでいる
国債という爆弾を
爆発させてしまう危険性があります。



その意味で
日本は非常に危険な領域に
入ってきていると
私は見ています。

その影響が為替にも表れてきています。

 



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▼円安が進み、日本国債の暴落への危険性
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18日のニューヨーク外国為替市場で、
円が一時119円40銭と
2016年2月以来、
6年ぶりの円安水準となりました。

日銀の黒田総裁は
まだ今まで通りの政策を継続すると
発言していますが、
米国の国債利回りが上がってくると
その影響を免れないでしょう。



例えば、この1週間で、
円は115円から119円まで
4円も円安が進みました。

こうなると、
日本円で持っているよりも、
米ドルに投入した方が
得策だと考えるのは当然です。

日本円で貯金していても、
雀の涙ほどの利息しかつかないので
尚更でしょう。



今、新興国を含め、
世界中のお金が
米国へシフトしつつあり、
結果として
新興国の国債も弱くなっています。

これからさらに
円安に振れていく可能性が高いと
私は思います。

かつて日本は貿易黒字国でしたが、
今は貿易赤字に転落する
瀬戸際にある状況です。



一方で、
日本の対外直接投資と
第一次所得収支は伸びています。

日本は貿易輸出国というよりも、
投資国になってきているということです。

こうした状況を踏まえると、
日銀の黒田総裁が想定しているよりも
事態を深刻に捉える必要があると
私は見ています。



米国は今後も
さらに金利を上げていく姿勢を
見せています。

そうなると、
ますます日銀の国債が暴落して、
日本がひっくり返る危険性が
高まると思います。

 



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▼電力逼迫への対処は、厳戒態勢の準備を整えること
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東京電力HDは18日夜、
東日本の電力需給が
厳しい状況になるとして、
緊急で節電を呼びかけました。

宮城県、福島県沖で
16日に発生した最大震度6強の地震により
火力発電所の12基が一時停止し、
一部が復旧していないことなどが要因です。



東京電力は
北海道電力など5社から
電力融通を受けるなど、
電力の供給が
逼迫した状態が続いていました。

福島第一原発事故が起こった際にも
私は提言しましたが、
ブラックアウトを回避するためには
電気使用率が
95%を超えたタイミングで
対処することが重要だと
私は思います。



具体的には、
電力使用率が95%を超えたら
携帯電話・スマートフォンへ
警告を通知します。

テレビ、冷蔵庫、冷房などでの
電力の使用を控えるように促し、
あるいは
5階まではエレベーターの利用を
中止するといった方法も良いでしょう。



このような厳戒警戒態勢を促さないと、
北海道地震の際のように
一気に北海道全体が
ブラックアウトするといった事態を
招いてしまいます。

そうなると、
病院などの施設にも
電力を供給できず、
命に関わる機器が
作動しなくなる可能性もあり、
絶対に回避すべきでしょう。



日本では
原子力発電所が稼働しなくなったことで、
需給関係が悪化しました。

東電管内の電気使用率は
ずっと高い水準のままです。

今回の件を良い機会として、
厳戒警戒態勢の演習を
積むようにして欲しいと思います。

 



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▼原発攻撃への堅牢性を議論しても、袋小路に入るだけ
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原子力規制委員会の
更田委員長は16日、
国内の原発の安全対策について
「武力攻撃に対して
堅牢性を持つ施設という議論は、
計画もしていないし事実上無理」との考えを
示しました。



ウクライナの原子力発電所が
ロシア軍に攻撃され、
暴走事故になる
一歩手前という状況でしたが、
これは日本の原子炉にしても
全く同様です。

飛行機事故などは
想定内のことであり、
格納容器によって守ることができます。



あるいは、
ある種のテロリストが
非常用電源のコードを
抜いてしまうといった事故も想定内です。

しかし、
爆弾やミサイルによる攻撃は
想定外のことであり、
格納容器があっても守りきれません。

そのレベルの堅牢性は
想定していないので、
「事実上無理」という発言は
当たり前だと思います。



あらかじめ
攻撃されることが分かっていれば、
事前に原子炉を止めて
対処することは可能です。

しかし、
原子炉は停止して終わりではありません。

停止してからも
長期間冷却し続ける必要があり、
非常に難しい問題です。



この議論を進めても
袋小路に入るだけで、
国民の不安は増すだけだと
私は思います。

 

 

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