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大前研一ニュースの視点

インディテックス・東芝・LIXILグループ・鉄板接合技術~勝つべくして勝つインディテックスの経営力とは

2016/09/25

インディテックス:売上高約2兆6125億円
東芝:東芝メディカル売却でキヤノンに独占交渉権
LIXILグループ:デイビッド・ヘインズ氏が退任
鉄板接合技術:鉄の摩擦攪拌接合を実現

勝つべくして勝っているインディテックスの見事な経営力

カジュアルブランドを展開するインディテックスの2015年度決算は、
売上高は前年比115%増加、純利益が同114%増加しました。

56市場で330店舗を新規開店し、主力のZARAを中心にすべての業態で増収だったことが寄与しました。

主力になっているのはZARAを含め、色々なブランドを展開しています。

このインディテックスという会社は、ア・コルーニャというスペインの片田舎にあります。

創業者のオルテガ氏は、世界富豪番付でビル・ゲイツ氏に次いで世界2位という人物です。

インディテックスという会社は、「勝つべくして勝っている」と言えると思います。

物流生産方式はトヨタから学び、輸送はフェデックスから学び、
世界最先端のやり方を異業種から学んでいます。

私も直接見に行ったことがありますが、非常に素晴らしい会社だと感じました。

インディテックスに匹敵するのは、スウェーデンのH&Mくらいでしょう。

日本では必死にユニクロが追いかけようとしていますが、この2強には追いついていません。

以前インディテックスのやり方について、ユニクロの柳井会長に説明したことがあります。

そのとき柳井会長は「自分のやり方でやるから(参考にしない)」と言っていましたが
、数年後、「あのときの資料をもう1度見せてくれ」と頼まれました。

おそらく、5年くらい遅れてしまったというのが私の印象です。

インディテックスはスペインの片田舎にありながら、驚くほどの生産・物流体制を整えています。

ある場所で流行っているものがあれば、それを参考にデザインから作り始めて
2週間ほどで世界各地に展開できるほどです。

ユニークなのは、店長の役割の1つに「街の写真をたくさん撮影する」ことがあります。

トレンド雑誌などを見るのではなく、街の写真を見て、どういうものが流行しているのかを感じ取り、
そこからデザイナーが共通のイメージを作り出していくそうです。

オルテガ氏はすでに経営は後継者に譲っています。

その上で、この好業績ですから、本当にすばらしい結果だと思います。

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キヤノンの技術力を使って、東芝メディカルで世界進出できるか

東芝は9日、医療機器子会社、東芝メディカルシステムズの売却について、
キヤノンに独占交渉権を付与することを決めたと発表しました。

交渉権を獲得したキヤノンの業績を見ると、どのセグメントでも下向きです。

複写機、カメラ、半導体関連も低空飛行状態です。第3の柱が必要な状況ですから、
豊富なキャッシュを使って新たなビジネスを手に入れるのは当然のことだと思います。

現状、東芝メディカルは利益を出していますから、キヤノンの技術と結びつけてさらに飛躍させることができるかどうか。

世界を見渡すと、シーメンス、フィリップス、GEなど強敵揃いです。

かつてキヤノンの複写機やカメラが世界に進出できたようにはいかないでしょう。

東芝メディカル自身、世界への進出で苦労していました。

キヤノンがこの壁を乗り越えられるかどうかはわかりませんが
、東芝メディカルの売却先として悪い相手ではないと私は思います。

今後のキヤノンの手腕に期待したいところです。

 

LIXILは騙されたのか?事実とすれば、日本企業にとって大きな汚点

LIXILグループは7日、事業会社LIXILで衛生陶器や浴室など水回り製品部門のトップを務める英国人の
デイビッド・ヘインズ氏が同日付で退任すると発表しました。

LIXILグループは、1月ジョウユウの不正会計発覚の遅れについて、
「グローエの経営陣がジョウユウの財務情報に十分アクセスできない状態が続いた」と指摘しており、
ヘインズ氏の退任によりその責任を明確化するものと見られています。

雑誌FACTAは、「LIXILも藤森氏も騙されている、デイビッド・ヘインズこそが悪の中枢」だと指摘する記事を連載していました。

それによるとヘインズ氏がファンドと組んでLIXILを欺き高く売りつけていたとのことで、
ジョウユウの状況についても把握していたということです。

その悪の中枢ヘインズ氏をクビにしないで放っておいて、何と脳天気な会社なのか、
藤森氏の目は節穴か、と報じていました。

もしこれが事実だとすれば、クレディ・スイスやファンド側は、ヘインズ氏と組んでLIXILを騙す側にいたことになります。

当然、犯罪ですから訴訟を起こすべきです。

藤森氏がLIXILを去っていくタイミングで、どこまでできるのかわかりませんが、
日本企業にとっては大きな汚点の1つとなってしまったと言わざるを得ないでしょう。

 

溶接を不要とする画期的な技術となりえるか

日経新聞は7日、大阪大学の藤井英俊教授らは、鉄板同士を溶接より強くつなぐ技術を開発したと報じました。

企業と合同で5年以内の実用化を目指すとのことです。

この技術を使うとセラミックの棒をこすって、鉄同士を重ねることなくつなげることができるそうです。

接合部分は強くなる一方、建設費は安くなります。

鉄を溶かす溶接は難しい上に、危険性の問題もありましたが、その点でも優位性があるでしょう。

この技術が実用化し、溶接が不要となれば、日本発の画期的な技術の1つになると思います。

今後の展開に大いに期待したいと思います。



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