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大前研一ニュースの視点

参院選/日米安全保障条約~トランプ大統領の本当の狙い

・参院選 立民・国民の公約、家計を重視
・日米安全保障条約 「日米同盟の深化を確認」

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▼改憲を問うのなら、憲法の全体像を示せ
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日経新聞は先月24日、
立憲民主党と国民民主党が7月の参院選の公約で、
家計や消費を重視する政策を前面に打ち出したと紹介。

自民党が外交・安全保障を安倍政権の実績として強調しており、
同分野が争点になるのを避ける狙いがあるとしています。

参院選に向けた野党の動きを見ていて、
全くお話にならないと感じます。

社民党は無責任にも「最低賃金の引き上げ」などを
口にしていますが、具体的な実現案もない絵空事に過ぎません。

その上、政策で競うと言いながら、候補者にはタレントが多く、
とても政策に力を入れている姿勢とは思えません。

G20で安倍首相が大きく傷つくこともなく、
このまま参院選も自民党が勝利する流れになっていると思います。

そうなった場合、
自民党は国民に「改憲を問う」ことになるでしょうが、
私は大いに懸念を抱きます。

憲法9条ばかりに固執して、憲法の全体像を捉えていない議論が
展開される可能性が高いからです。

私は2016年に拙著「君は憲法第8章を読んだか」において、
憲法9条以外についても私なりの憲法の全体像を示しました。

しかし、自民党にしても野党にしても、
いまだに「自分たちなら、こういう憲法にする」というものを
示していません。

憲法9条だけでなく、全体像を理解し、
その指針を示すことができなければ、
「改憲を問う」意味はないと私は感じます。

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▼憲法を全く理解せず、お金のみを求めるトランプ大統領
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米ホワイトハウスは先月28日、
大阪市で行われた日米首脳会談を受けて、
「日米同盟に基づく世界規模での協力を深化させ
拡大させていく意向を確認した」と声明を発表しました。

トランプ大統領がこの数日間、日米安全保障条約を含む
主要国との同盟関係に不満を示していたのを受けたもので、
同盟諸国の懸念や不安を払拭したい考えとのことです。

憲法への不理解という意味では、
このトランプ大統領の発言・行動も、
まさにその典型例だと思います。

トランプ大統領の主張は、
日本は日米貿易で利益を出している一方、
安全保障については米国に頼り切っているのは
「不公平」だというものです。

日米安全保障条約に基づき、
米国は日本が攻撃を受けたら救済に行く必要があるが、
逆のときに日本は「知らん顔」をすることができる、というのです。

なぜ、このようになったのか?
トランプ大統領は全く理解していないのでしょう。

全く呆れるばかりです。

米国が日本を占領した際、日本に二度と戦争をさせないために、
紛争解決の手段としての戦争を永久に放棄するように
日本国憲法に記させたのは米国駐留軍です。

ここから、全てがスタートしています。

そして、サンフランシスコ平和条約の後、
日米安全保障条約を締結し、
米国が日本の安全保障を約束する代わりに、
日本は米軍の駐留を認めるなど応分の負担をするという
ことになりました。

こうした米国主導とも言える背景を無視して、
いまさら不公平と言われても日本としては
どうしようもありません。

そしてトランプ大統領としても、
日米安全保障条約の破棄を本気で考えているわけでもなく、
そのような発言は一切ありません。

日米安全保障条約を盾にして脅しながら、
米国の軍事商品を日本に購入しろ、というのが
トランプ大統領の狙いです。

G20で大阪に滞在した短い時間の中で、
トランプ大統領は他の国についても
同じ趣旨の発言をしていました。

記者が殺害された事件などで
関係が悪化していたサウジアラビアについても、
ムハンマド皇太子を批判することはなく、
米国製兵器を大量購入してくれたお客様という
姿勢を示していました。

貿易不均衡で揉めている中国の習近平主席に対しては、
米国の農民が困っているので米国産の大豆などを
大量に買ってくれと要求していました。

トランプ大統領の判断基準は、すべてお金です。

米国にお金を払ってくれるなら良い人、
米国にお金を払わせるなら悪い人、という図式です。

このような人物が、米国の大統領を務めているというのは、
あらためて驚くべきことです。

ところが、トランプ劇場の空気の中で再選する可能性もあり、
私としては米国民にしっかりと大統領を選ぶ目を
持ってもらいたいと願うばかりです。

トランプ大統領の日米安全保障条約に関する発言は、
低レベルでまともに受け止める必要すらありません。

しかし、日本国内で
この発言を歓迎している人たちもいます。

「右派」や「安倍的」な考えの人たち、
そして軍事産業やその周辺に関わる企業です。

もし日本が単独で安全保障を維持することになれば、
防衛予算の急増が必要であり、三菱重工、小松製作所などの
メーカーは大いに歓迎するかもしれません。

三菱重工は面倒なMRJの開発など即座にやめることができますし、
小松製作所もブルドーザーではなく戦車を製造するでしょう。

東芝も、防衛機器で大いに活躍できるでしょう。

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