そこが知りたい情報チャンネル

このブログは、自分にとって参考になったことや活用できると思った記事をUPしていきます。

大前研一ニュースの視点

フジテック/楽天グループ/ハルメクHD/北海道キロロリゾート ~赤字事業分離検討も障害は多い

・フジテック 香港オアシスの株主提案を推奨
・楽天グループ 最終赤字3,728億円
・ハルメクHD 東証グロースへの新規上場承認
・北海道キロロリゾート ネイピア特定目的会社を買収



─────────────────────────
▼物言う株主の介入で経営が安定しない
─────────────────────────
エレベーター大手フジテックが
24日に開催する臨時株主総会に、
香港のヘッジファンドである
オアシスマネジメントが出している
6件の株主提案について、
米国の議決権行使助言会社、
インスティテューショナル・シェアホルダー・
サービシーズ(ISS)は9日、
「すべてに賛成」を推奨しました。

オアシスは昨年6月の株主総会で
フジテック創業家と
会社の不審な取引を指摘しましたが、
今回も
コーポレートガバナンスが
機能していないとして、
社外取締役の選任などを
提案しています。

フジテックは
日本で4位のエレベーターメーカーです。

エレベーターを作る会社が
少ないということもありますが、
世界でも7位につけています。

彦根に行くと
高い塔のようなものが
立っているのですが、
フジテックの高層エレベーターを
テストする設備です。

以前にも、
創業家である内山家への
便宜供与が
物言う株主に問題視され、
一族出身の内山高一氏が
社長を辞職したことがありました。

同じ滋賀の会社では、
エアバッグや
シートベルトを作っていたタカタも、
お家騒動の末に破綻しています。

フジテックの大株主を見ると、
創業家のウチヤマ・インターナショナルが
6%程度を保持しており、
その他には
オアシスをはじめとした
物言う株主が並んでいます。

これでは経営が安定しないのは必然です。




─────────────────────────
▼赤字事業分離検討も障害は多い
─────────────────────────
楽天グループが
14日に発表した
2022年12月期の連結決算は、
最終損益が3,728億円の
赤字となりました。

最終赤字は4期連続で、
赤字幅は過去最大です。

電子商取引(EC)や
金融事業が好調だった一方、
携帯電話事業で
基地局整備等の費用負担が
響いたとのことです。

携帯電話事業を分離し
上場することや、
外部資本を活用することも
検討しているなど、
三木谷社長にしては
珍しく弱気な発言がありました。

グループ全体としては、
売上、赤字ともに伸びている状況です。

EC事業、フィンテック事業で
売上を伸ばして
利益を上げていても、
携帯電話事業の
5,000億円近い赤字を埋めるのは
さすがに厳しい状況です。

携帯電話事業を
分離することも考えているようですが、
その場合は
EC事業・フィンテック事業の
信用を使えなくなってしまうので、
資金調達の面で
難しさが出てくる可能性があります。

プロ野球チームを持つような
大きな会社だけに、
こうした赤字事業を抱えて
経営が揺らぐようでは、
社会的にも
大きな悪影響が生じかねません。

他の会社が
携帯電話事業を買う案もあるようですが、
その場合は
どこが買うかが問題になります。

独占禁止法の関係で、
すでに携帯電話事業を持っている会社は
手が出せません。

思いつくところでは、
リクルートが挙げられます。

同社もかつての勢いはありませんが、
5,000億円程度の赤字を
カバーするだけの規模は持っている、
数少ない企業の一つと言えます。

ですが、
他のネットワークと既に提携して
事業を進めているので、
興味を持つかどうかは別問題です。

楽天の株価も、
一時は約1,400円だったにもかかわらず、
700円前後にまで
落ちてきてしまっています。

とはいえ、
三木谷夫妻は徐々に
保有株を売却してきており、
自分たちの個人資産には
あまり影響がないと思われます。

その点も株主にとっては、
不満が溜まる要因の一つかもしれません。




─────────────────────────
▼ターゲットを絞って日本一のメディアに
─────────────────────────
雑誌のハルメクなどを手がける
ハルメクホールディングスは、
15日、
東証グロース市場への新規上場が
承認されたと発表しました。

ハルメクは
2009年に前身の会社が
民事再生法の適用を申請し、
ノーリツ鋼機の傘下に入りましたが、
2020年に経営陣による
マネジメント・バイアウト(MBO)で独立。

シニア女性の生活に
身近なテーマを取り上げ、
雑誌の発行部数を伸ばし、
定期購読者の数は約50万人に
達しています。

週刊朝日も5月に休刊するように、
業界全体が苦しい中での快挙です。

この雑誌は
シニアの女性にフォーカスしたことで、
日本一の購読数を誇るまでに成長し、
今ではネット事業にも
手を広げています。

ターゲットを絞っている分、
広告も集まりやすいメディアに
なりました。

社長の宮澤孝夫氏は
向研会のメンバーでもあり、
プレジデントセミナーにも
来ていただいています。

こうして日本一のメディアを
創り上げたことは、
我々にとっても喜ばしいことです。




─────────────────────────
▼立地、気候にポテンシャルを有する場所
─────────────────────────
中国の商業施設運用会社の
ユーユアン・ツーリスト・マートは10日、
日本の事業会社の
ネイピア特定目的会社を
約110億円で買収すると発表しました。

ネイピアは、
北海道のキロロスノーワールドや
キロロリゾートを保有しています。

また、
両施設を運営する
合同会社キロロマネジメントの全株を、
約4億6,000万円で
取得する意向も示しています。

キロロスノーワールドは
小樽から山を一つ越えた
赤井川村というところにあり、
ヤマハが開発したリゾート地です。

かつて私が
ヤマハのコンサルティングをしていた時に
企画に関わったこともあり、
私にとっても思い出深い場所です。

ヤマハのリゾート事業は
すべて三井不動産が買いましたが、
今では『合歓の郷』など
一部を残して
売りに出している状態です。

北海道のスノーリゾートは、
ニセコが異様な人気を誇り、
加森観光のルスツも好調です。

キロロは札幌から近いのですが、
あまりうまくいっていない状況でした。

ニセコやルスツが
マイナス20度と、
リフトに乗っているのが
つらくなるほど寒くなり、
星野リゾートのトマムに至っては
危険を感じるほど
冷え込むのですが、
キロロは
そこまで気温も下がらないところも
魅力です。

 

-大前研一ニュースの視点