省エネ対策/CO2排出量取引/住友ゴム工業/電力供給網
- 省エネ対策 断熱窓への改修支援延長へ
- CO2排出量取引 カーボン・クレジット市場を開設
- 住友ゴム工業 「タイヤ内発電技術」で幅広い速度での発電に成功
- 電力供給網 EV電池活用の新事業検討
▼省エネ対策 断熱窓への改修支援延長へ
エネルギー消費量を抑える施策の成功は国の本気度による
断熱性の高い窓に改修する工事への支援制度について、
政府が12月末までの期限を延長する見通しが明らかになりました。
これは費用のおよそ半分を1戸あたり最大200万円まで国が補助する制度で、
エネルギー消費が増える冬場を前に制度を延長して省エネ対応を促す考えです。
ドイツなどでは窓の断熱性を高める施策を徹底して行っています。
私は自宅の窓にはドイツから輸入したカーテンのような断熱窓を使っていますし、
他にもドイツでは窓に貼るタイプのものも流通しています。
日本家屋は、外側はガラス窓で室内には障子やふすまなどを用いるなど、
非常に熱の出入りが激しいため、省エネの意味と併せて、
エネルギー消費を下げるという意味でも、この支援制度は重要であると言えます。
しかし残念ながら、この補助制度はあまり知られておらず、
私も知っていれば家の窓を全部、高断熱窓に改修したと思います。
「家庭部門用途別エネルギー消費量」のグラフによると、
家電と照明等のエネルギー消費量が大きく、
そして「日本のライフサイクル温室効果ガス排出量の割合」は
住居によるものが高くなっています。
また「主な電気機器の省エネ具合」のデータによると、
白熱電球をLEDに変更すれば約86%、
蛍光灯シーリングをLEDにすると約50%の省エネになります。
さらに10年ほど前の家電を最新のものに代えると、冷蔵庫は35~42%、
テレビは約42%、エアコンは約15%、温水洗浄便座は約10%の省エネになり、
これら電気機器による電気料削減額を合計すると、
一般家庭では年間5000~6000円となります。
このように大きな効果があることは分かっていますので、
何年までにということではなく、目標値に向けて国を挙げて徹底的に行うべきで、
それには国の覚悟が必要だと思います。
▼CO2排出量取引 カーボン・クレジット市場を開設
カーボン・クレジット市場は日本企業の経営方針にどの程度の影響を及ぼすか
東京証券取引所は11日、CO2排出量を取引するカーボン・クレジット市場を開設しました。
カーボン・クレジットは企業などが再生可能エネルギーの利用などで
減らしたCO2排出量を権利として売買するもので、
取得したクレジットを売却して利益を得られる他、
排出量の多い企業はクレジットを購入して自社の排出量を相殺できる仕組みとなっています。
ヨーロッパでは2005年、既に市場が開設されています。
日本では少々遅きに失したというところですが、これが開設されるとなると、
企業は今後、カーボン・クレジットを気にした経営を行っていくことになると思います。
以前、脱炭素電源において日本はG7の国々に比べて風力や太陽光などで
遅れを取っているというお話をしました。
風力や太陽光などは気象の影響を受けることが大きく、
安定供給が難しいエネルギー電源ですが、適切にコントロールしている国もあります。
例えばデンマークの沖合では海の上に、そしてドイツでは農地に風力発電所を建設しています。
日本に比べて風は一定方向に吹き、そして海の上では風が絶えることはありません。
デンマークのコペンハーゲンからスウェーデンへつながる橋がありますが、
その橋の片側の海に並んで建設された風車は常に回っています。
そして、つくられ過ぎた電力は蓄電池に蓄えられ、
また蓄電池そのものにも費用がかかる対策としては水を電気分解して水素で
蓄えるというやり方を取り入れることで安定供給を行っています。
▼住友ゴム工業 「タイヤ内発電技術」で幅広い速度での発電に成功
今後の応用商品へとつながる新しい発電技術の実現
住友ゴム工業は11日、関西大学の谷弘詞教授と進めている「タイヤ内発電技術」の
共同開発で、幅広い速度域で安定した電力を得ることに成功したと発表しました。
タイヤのゆがみの変化による張力を利用した低速域での発電に加え、
加速度変化による遠心力を利用した発電により、
高速域でも相当量の電力を得られたということで、
これを受けて住友ゴムは「タイヤ内発電技術」をさらに進化させ、
自動車の各種デジタルツールの安定稼働を目指すということです。
この技術については皆が長らく研究していましたが、
成功したというニュースは初めて聞きました。
今あるハイブリッド車などのように発電しながら充電していくのではなく、
タイヤの張力や遠心力で発現させて電力として取り出すという新しい方法です。
今はまだ研究段階ですが、
うまくいけば素晴らしい応用商品になってくるのではないかと思います。
▼電力供給網 EV電池活用の新事業検討
蓄電池用への転用や余剰電力融通など、今後に期待
ホンダと三菱商事は12日、EVの普及拡大を見据え、
国内で新たな事業を検討すると発表しました。
これはホンダが2024年から発売する軽EVのバッテリーモニタリング機能を高度化し、
使用データを蓄積して車載用から蓄電池用に転用する他、
電力会社の送電網に複数のEVをつなぎ、
余った電力を融通する仕組みの構築などを検討するということです。
理屈は分かりましたので、早く実証してほしいものです(笑)。
今回の事業は軽自動車を想定しており、
電池を系統につないでV2G(ビークル・ツー・グリッド)に供給するという話です。
いざとなったときには車載用から蓄電池用に転用して家庭などでも
使えるようにしようという夢のような事業ですが、
どの程度の電力がつくられるのかなど、まだ分からないことが多いと思います。
三菱商事とホンダの今後に期待しています。