そこが知りたい情報チャンネル

このブログは、自分にとって参考になったことや活用できると思った記事をUPしていきます。

大前研一ニュースの視点

中国共産党/太平洋・島サミット ~今の中国は「負けん気」だけで突っ走っている

・中国共産党 創立100年で記念式典
・太平洋・島サミット 18の島国・地域がオンライン参加

─────────────────────────
▼台湾統一まで見据えて、突き進む中国
─────────────────────────
中国共産党は1日、
北京市の天安門広場で
創立100年の記念式典を開きました。

その中で習近平国家主席は、
香港での全面的な管轄権を持ち、
台湾独立の企みを断固として
粉砕しなくてはいけないと強調。

 

また、米国を念頭に
「偉そうな説教を絶対に受け付けない」とし、
「外部勢力が私達をいじめ
圧迫することも決して許さない」
と述べました。

香港を掌握した今、
台湾統一は
中国に残された任務であるというのが、
習近平国家主席の演説でした。

 

非常に興奮した話しぶりでしたが、
説得力はそれほどなかったと
私は感じました。

米国を牽制する発言を
していましたが、
確かに米国も欠陥だらけですから、
中国側から指摘されても
仕方ない側面もあります。

 

しかし、中国には欧米諸国からも
批判が向けられています。

決められたことを守らない国とは、
国際的なイコールパートナーとして
一緒に歩めないという
厳しい意見も出ています。

 

中国は米国のみを対抗馬として
考えているようですが、
今一度自らの姿を鏡で見て
省みて欲しいと思います。

中国共産党は1921年、
上海で結成されました。

 

その後、何度も国共合作を試みたものの
成功することはありませんでした。

当初は国民党の方が
力を持っていましたが、
徐々に毛沢東が力を発揮し、
反対派を粛清していきました。

 

第二次世界大戦で日本が敗戦した後、
統一政権樹立のため
重慶で国共会談も行われましたが、
両軍が衝突して
結局内戦に発展してしまいました。

最終的には、蒋介石が敗北し、
国民党は台湾へ逃れました。

 

その後、共産党による支配が続く中国は、
特に鄧小平以降の「一国二制度」が
上手く機能して、
科学技術の分野でもビジネスの分野でも、
大きな発展を遂げました。

GDPも世界第2位になり、
人口はインドと並んで世界トップです。

 

いまだに軍事技術の分野では
世界一の米国に見劣りしますが、
あらゆる分野で
米国に追いつく勢いを見せています。

こうした結果を見ていると、
共産党は「計画経済」を
着実に実現していると
言えるかもしれません。

 

その実行力は素晴らしいのですが、
世界各国から見ると、
その計画の中身が
あまりに自分勝手すぎると
感じるところがあります。

 

国際化社会の中で
リーダーシップを発揮したいのなら、
中国はリーダーとして
尊敬を集める国になるべきであり、
そういう意識を持つことが
重要だと思います。

それを理解せずに
「負けん気」だけで突っ走っているのが、
今の中国だと感じます。

 

そんな中国が民主化したら
どうなるのか?という議論があります。

私は、民主化した中国には
崩壊以外に道はないと思います。

今の中国は、13億人の国民を
力と恐怖で無理矢理に
押さえつけている状態です。

 

民主化したら、
国民を押さえつけることは
不可能でしょう。

形式的には民主化したものの名ばかりで、
強権支配を続けている
ロシアと同じようになると思います。

 

あるいは、
中東に広がった
民主化運動「アラブの春」の後、
リビアが群雄割拠状態へ陥ったように、
中国国内が割れる可能性が
高いでしょう。

さながら、
春秋戦国時代になってしまう気がします。

 

─────────────────────────
▼思い出したように3年に1回だけサミットを開催しても無駄
─────────────────────────
太平洋地域にある18の島国・地域と
日本による国際会議「太平洋・島サミット」が
2日、オンラインで開催されました。

その中で菅首相は7月中旬以降、
太平洋の島嶼国に
合わせて300万回分の
新型コロナワクチンを
提供すると表明。

 

また、影響力を強める中国を念頭に、
透明性の高いインフラ整備を
打ち出しました。

台湾統一に向けて、
中国は台湾を国際社会から
孤立させようと圧力をかけ、
2019年にキリバスとソロモン諸島が
台湾と断交して
中国と国交を結んでいます。

 

今では、
島サミットに参加する16カ国のうち、
台湾と外交関係を保つのは
ツバル、マーシャル諸島、
パラオ、ナウルの4カ国のみに
なっています。

こうした中国の動きに、
日本は米国と協調しながら
対抗しようとしています。

 

しかし、本気で対抗したいなら、
そもそも3年に1回だけ
思い出したように
島サミットを開催するだけでは
無理でしょう。

島サミットを
もう少し頻繁に行わなければ、
意味がないと私は思います。

 

ミクロネシア、ポリネシア、メラネシアという
3つの地域に区分されていますが、
それぞれ利害が対立していて
関係性も良好とは言えません。

私はこれらの地域に
何度も足を運んだことがありますが、
現地を知れば知るほど、
統治するのは非常に難しいと
感じていました。

 

メラネシアにある資源もそこそこですし、
完全に観光に依存しているポリネシアは、
今非常に厳しい状況のはずです。

ミクロネシアの島々は、
何かしらお金を生む仕掛けがなければ
今後やっていくことは
非常に難しいでしょう。

 

日本は第1次世界大戦後、
パラオを委任統治していました。

そういった歴史的な背景がある
パラオに対してさえも、
十分強固な関係を築けているとは
言い難いです。

 

3年に1回だけ思い出したように
島サミットを開催しても、
どんな効果が期待できるというのでしょうか。

日本政府は、本当に彼らの悩みが何なのか?
ということを理解していないと思います。

 

 

-大前研一ニュースの視点
-