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大前研一ニュースの視点

中独関係 独連邦議会で訪中報告

・中独関係 独連邦議会で訪中報告
・G7外相会合 ロシア、中国対応など協議
・仏マクロン大統領 年金改革法署名後初の地方遊説
・英スナク政権 ラーブ副首相兼法相が辞任
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▼対中外交姿勢が変わるかもしれない重要な報告
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ドイツのベアボック外務相が、
19日の連邦議会下院で
前週の訪中に関する報告を行いました。

その中でベアボック氏は
「中国が内部的にはより抑圧的に、
外部的にはより攻撃的になっている」とし、
詳細には触れなかったものの、
非常に衝撃的と指摘しました。

また「中国はこれまでドイツにとって
貿易などのライバルとみなされてきたものの、
今や体制的なライバルの側面が
ますます増している」との
見方を示しました。

ベアボック外相は緑の党のメンバーで、
その立場から言うべきことを言うという
立ち振る舞いを求められています。

ショルツ首相が
妥協点を探るタイプの政治家なので、
政権内では重要な役割です。

軽井沢のG7外相会合でもいい仕事をしました。

中国は抑圧的で攻撃的だと批判し、
単なる貿易相手国ではなく、
「体制的なライバル」だという表現をしました。

この報告の内容はまだ詳しく報道されていませんが、
抽象的な言葉を使いながらも、
ドイツの中で中国の位置づけが変化してきたことを
示す重要な報告だと考えます。


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▼堅実な運営で予想以上の成果だと評価したい
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長野県軽井沢町で
16日から3日間
G7の外相会合が開かれました。

会合では、
ロシアによるウクライナ侵攻や
覇権主義的な動きを強める
中国への対応について協議。

18日に採択した共同声明では、
「中国に懸念を
直接表明する重要性を認識する」と明記。

林外務相は、
「G7として初めて法の支配に基づく
国際秩序への関与を確認した」
と強調しました。

事前の予想より上手くいったという印象です。

桜が咲き、浅間山には雪が残るという
素晴らしい環境での三日間、
和気藹々とした雰囲気の中で、
難しい共同宣言までたどり着きました。

林外相はケネディスクールで
政治学の修士を取っているので、
英語が堪能です。

もちろん公式な会議では
日本語を使う場面も多かったと思いますが、
それ以外の場で
英語でコミュニケーションが取れるのは、
議長として各国代表をまとめるための
大きな強みだったと考えます。

共同宣言の中身に
予想外のことはありませんでしたが、
無難なところに落ち着いたと評価したいです。

似たような経歴を持っている政治家には、
おなじくケネディスクール出身の
茂木元外相がいますが、
岸田首相の次を考えた場合、
今回のG7外相会合によって林外相は
一歩歩みを進めたと言えるでしょう。

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▼国内外での猛批判にもマクロン氏は前向き
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フランスのマクロン大統領は19日、
年金改革法の署名後
初めて地方演説を行いました。

その中で住民から
「マクロン辞任しろ」と言った声や
ブーイングが飛んだ外、
労働組合関係の女性が詰め寄る場面も
ありましたが、
マクロン氏は
「誰もが自由に自らの意見を主張するべき。
その後、国は進んでいかなければならない」と
語りました。

マクロン氏は国内でも国外でも
ブーイングに見舞われています。

中国に儀礼を尽くし
頭を下げたことで
「本当にEUのメンバーなのか」と
言われる始末ですが、
フランスの立場としては、
中国にエアバス機を160機も
買ってもらった以上は
必要な礼だったと思われます。

年金改革法についても、
通した以上は前に進めるしかないと
考えているようです。

話題になっている労働組合の女性は
すごい勢いで口論を仕掛けていましたが、
それに対しても「前に進む」と回答しました。

ただ、人気は国内でも凋落しています。

フランスでは大統領の支持率急落は
よくあることですが、
心配な局面ではあります。

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▼難しい局面で安定性を欠く英国
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英国のラーブ副首相兼法務相が21日、
スナク首相に辞表を提出し辞任しました。

ラーブ氏は閣僚を務めた複数の官庁で、
職員へのいじめ疑惑が浮上。

ラーブ氏は疑惑を否定し、
調査を要請しましたが、
報告書が「威圧的で侮辱的な行動等があった」と
結論づけたの受け、辞任したものです。

去年10月のスナク政権発足後、
閣僚の辞任は3人目となります。

日本では、
茂木元外相は省内の職員に対して厳しいと
他の議員からも言われており、
取扱説明書なるものまで登場しました。

今は西村経産相が
取扱説明書の必要な難しい人物と
されているようです。

日本の政治家は職員や部下をいじめても
全く問題視されないようですが、
英国では辞任に追い込まれるほどの
醜聞になっています。

私もこのインタビューを聞きましたが、
腰砕けの終わり方と感想を持ちました。

最初は「言うべきことを言っただけで、
あれがパワハラなら基準が低すぎる」
ということを言っていましたが、
インタビューアーが皮肉っぽい態度を
とっているうちに、
「辞任したんだからいいじゃないか」、
と開き直ったような内容に
なってしまっていました。

スナク政権では
すでに2人の閣僚が辞任しており、
今回は最も信頼を置いている
腹心のラーブ氏を失うことになりました。

昨年は首相もコロコロ変わった経緯もあり、
もう少し安定して欲しいと願っています。

現在の英国には、
北アイルランドの問題や
EU離脱の後遺症など、様々な問題があり、
政治がかじ取りを間違えれば
大混乱になりかねません。

本当はラーブ氏のような人物には
政権にいてほしいところです。

 

-大前研一ニュースの視点