アジア投資/政策保有株/量子コンピューター/オムロン/ソニーグループ
▼アジア投資 日本企業による投資額 シンガポールが首位
意外な展開? 日本によるシンガポール投資集中
日経新聞が日本企業によるアジアへの投資額を集計したところ、
シンガポールが昨年までの4年間で3.3倍となり、
最多だったことが分かりました。
シンガポール政府のオープンイノベーション政策により
研究開発拠点の集積地となり、アジア事業を
展開するハブ地域になっているということで、
2位はベトナムの2.1倍、3位はインドで91%増だったということです。
皆さんには、意外な結果だと思います。
今シンガポールは狂い咲いている状況で、その原因の一つは香港効果です。
香港とシンガポールは外資の導入で競い合っていますが、
香港に目を向ける人はほとんどおらず、シンガポールが独り勝ち状態です。
シンガポールには今、富が集まっており、不動産も物価も非常に高く、
給料も上がっています。
日本人がシンガポールを訪れると、あまりの物の高さに驚くと思います。
「日本企業のアジア諸国への投資額」のグラフによると、
シンガポールへの日本の投資は、2019年にも1位でしたが、
2023年は断トツ1位です。
インドやベトナム、タイは増えていますが、中国は減っています。
また私には理解できないのですが、インドネシアは大きな国で、
まだ伸びるとは思うのですが、今インドネシアに対する投資額は減っています。
そしてマレーシアはマハティール氏のように、
いらはい、いらはいという姿勢だった人物がいなくなったためか、
投資額も下がっています。
全てをシンガポールに集中させるということではありませんが、
日本企業のシンガポールへの投資額増加は意外な展開だと思います。
▼量子コンピューター 商用化へ向け2024年度に新会社設立
量子コンピューターは、理論からモノのフェーズへ
自然科学研究機構 分子科学研究所が主導し、
量子コンピューターの商用化に向けた新会社を
設立する見通しが明らかになりました。
新会社は冷却原子方式と呼ばれる新たなタイプの
量子コンピューターを手掛け、2026年度に試作機、
30年度までに本格的な商用機を作る計画です。
産業界からは富士通、日立、NECなど10社が参画するということです。
日本では大学レベルで量子コンピューターの理論的な
構築を大々的に行っており、世界的にもそれを参考として、
いろいろな会社ができました。
しかし現在、日本は量子コンピューターそのものの製作分野で
遅れを取っており、国が分子科学研究所に資金と人材を
集めて加速させようとしています。
世界では今、量子コンピューターの開発合戦が大変な勢いで行われています。
もともとの理論は日本の大学、
そして理化学研究所が重要な貢献をしてきましたが、
これからはモノの開発フェーズです。
Googleを筆頭に、アメリカ、カナダ、
ヨーロッパ勢いは大変な資金投入をして開発を進めていますが、
日本も負けじと今、力を入れ始めました。
そして、まだ頭角を現す会社はありませんが、
中国も頑張っているという情報は入っています。
▼オムロン 国内外で計2000人削減
大量の人員削減は会社経営自体の問題
制御機器大手、オムロンは先月26日、
国内外で合わせて2000人の人員を削減すると発表しました。
中国の景気減速などで主力の制御機器事業が苦戦しているのを
受けたものですが、先月5日には2023年度の純利益が、
前の年度に比べ98%減少する見通しを示しており、
2002年以来の大規模な人員削減に踏み切る考えです。
今回の人員削減はかなり意外なことで、
経営計画や会社のシステム自体に問題があったと言わざるを得ません。
中国に依存していた会社は、いずれも今、非常に苦労していますが、
純利益98%減少により2000人を慌てて削減するなど、
オムロンがそこまで見通しができていなかったことに驚きます。
連結業績推移のグラフによると、
営業利益の減り方よりも純利益の減り方のほうが多いのが分かります。
また地域別売上高推移のグラフを見ると中華圏が大きいですが、
そこまで足を引っ張るものかと疑問に思います。
そしてセグメント別業績グラフによると、
制御機器事業の営業利益が大きく落ちてはいますが、
ヘルスケア事業はパルスオキシメーターの普及により、
そして社会システム事業は交通系によってうまくいっています。
どう考えても大量の人員解雇の必要性があるようには思えず、
会社の情報システムや経営自体に問題があったのではないかと私は考えています。
▼ソニーグループ 従業員約900人を削減
ゲーム業界は業界特有のリスクを抱えている
ソニーグループのゲーム事業会社、SIE、
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、先月27日、
全従業員の8%に当たる、およそ900人を削減すると発表しました。
SIEの年間売上高はおよそ4兆円とソニーグループでは最大規模ですが、
足元ではゲーム機の販売が伸び悩んでいるほか、開発費がかさみ、
採算が悪化している現状で、SIEのライアン社長は
「厳しい決断は不可避」と語っています。
この問題は業界的なものだと言えます。
ゲーム業界というのは、よいときは大変よく、
そして悪くなると一気に落ちるという浮き沈みの激しい業界です。
ソニーのセグメント別業績グラフによると、
ゲーム&ネットワークサービス事業がかなりを占め、
利益は相当出ていたと思いますが、ヒット作がなければ
急激に下がるという問題を抱えています。
またソニーはコンソールを販売していますが、
今は次のコンソールが発売されるまでの端境期にあり、
そして音楽事業は好調のようです。
そしてソニーの研究開発費についてはゲーム開発費が高騰していますが、
同時に販売不振のリスクも上昇するという怖さがあります。
販売不振になった場合にはダメージが非常に大きいということです。