味の素の世界化へ向けた動き/東芝は欧州原子炉に活路
2017/08/07
味の素の世界化へ向けた動き/東芝は欧州原子炉に活路
味の素がスイスの食品原料メーカー、ワイルド・フレーバーズの
買収に名乗りを上げたと報じられましたが、その後、産経新聞は
穀物加工の米アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)が
味の素に競り勝ったと報道しています。
味の素は3000億円で買収を計画していたということです。
ワイルド・フレーバーズは、ドイツ・ハイデルベルグで
設立された、売上規模が1200億円程の企業です。
創業家のワイルド家が経営していますが、米ファンドのKKRが
35%ほど株式を保有しています。
おそらく、このファンドはすぐに売却に応じると思います。
世界の食品香料業界を見ると、
スイスのジボダンが最大企業です。
続いて、同じくスイスのフィルメニッヒ。
ここはダニスコというかつて世界最大規模を誇っていた
デンマークの会社を取り込んでいます。
日本の高砂香料も比較的大きく世界第5位です。
ワイルドフレーバーズは高砂香料に次いでいて、
ほぼ同程度の規模と言えるでしょう。
私は今回の味の素の動きを知りませんでしたが、
もともと食品添加物の会社ですから、
その意図は十分に理解できます。
私ならば、ワイルド・フレーバーズよりも、
その前にダニスコを選んでいたほうが良かったと思います。
一方で、東芝がブルガリアの国営電力会社から
原子力発電所を受注する見通しとなりました。
米子会社のウエスチングハウス(WH)が原発1基を受注し、
原発運営会社の株式も一部取得する案が有力視されています。
東芝は一生懸命原子炉を作ろうと動いてきましたが、
なかなか受注できずに苦しんでいました。
欧州は原発に対して積極的な動きを見せています。
特に油がない地域では顕著です。
フランス以外は原子炉から離れる傾向に
ありましたが、今は英国のようにもう1度
原子炉に回帰する国も出てきています。
このような動きは東芝にとっては
良いニュースだと思います。
実際、東芝の株価も上昇しましたし、
今後の展開に期待したいところです。