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大前研一ニュースの視点

印アダニ・グループ/米テスラ/次世代主力ロケット/柏崎刈羽原発 ~アダニグループが見限られた証

・印アダニ・グループ アダニ関連企業株を全て売却
・米テスラ メキシコに新工場を建設
・次世代主力ロケット 「H3」初号機打ち上げ後に破壊指令
・柏崎刈羽原発 テロ対策で6項目が不十分



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▼アダニグループが見限られた証
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ノルウェー政府年金基金の運用を担う、
ノルウェー銀行インベストメント・マネージメントは、
先月、
インドのアダニグループの関連の株式を
ほぼ全て売却したと発表しました。

米国の投資会社である
ヒンデンブルグ・リサーチが、
1月にアダニの不正会計疑惑を
指摘したことを受けたもので、
疑惑の段階でも売却しなければ、
資金の出し手の信任が得られないと
判断したとのことです。

アダニグループは
モディ首相と同じ
グジャラート州のアーメダバードを
本拠地とし、
空港や鉄道、道路など
インフラ事業で財を築いた企業です。

不正会計疑惑によって、
20兆円近くあった時価総額は暴落しました。

ノルウェー政府年金基金は
リライアンス・インダストリーズを筆頭に
多くのインド株を保有しており、
そのうちアダニグループへの投資は
ごく一部でした。

今回の売却は、
ノルウェー銀行が
アダニグループを見限ったことを
意味しています。




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▼成功すれば自動車業界に大きな影響
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米国のテスラは1日、
メキシコに新たな工場を建設すると
発表しました。

テスラは2030年までに
年間2,000万台の
電気自動車(EV)を
生産する目標を掲げており、
世界で5か所目となる工場の立地に
注目が集まっていました。

国別の自動車生産台数は
中国、米国、日本、インド、
韓国、ドイツに次いで、
メキシコが年間約300万台で
世界7位です。

生産実績がありながらも
ローカルに強いメーカーがいないところが
評価された結果、
メキシコが選ばれたと考えられます。

テスラは現在、
米国に2か所、
中国、ドイツに1か所ずつ
工場を持っていますが、
生産量は年間約150万台で、
目標の2,000万台には程遠い状況です。

メキシコでは
現行モデルの半額程度のモデルを
生産する計画で、
北米自由貿易協定(NAFTA)の
枠組みを利用し、
米国市場へ投入する戦略です。

廉価な新モデルが
どれだけユーザーを惹きつけるかは
まだわかりませんが、
もし戦略通りに実現すれば
自動車産業への影響は
大きいと考えられます。




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▼日本の航空宇宙工業に取り返しのつかない遅れ
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JAXA(宇宙航空研究開発機構)は7日、
種子島宇宙センターから
大型ロケットH3の初号機を
打ち上げましたが、
2段目のエンジンの点火を確認できず、
人工衛星を
予定の軌道に投入できないと
判断したことから、
機体を破壊する指令を送りました。

H3は2014年に
三菱重工業と共同で
開発に着手しましたが、
2月の打ち上げ中止に続く失敗により、
宇宙開発戦略の見直しを
迫られることになります。

小型ジェット旅客機の
開発もできなかった企業が、
ロケットを作っても
上手くいかないのは
当然のような気もします。

世界の航空宇宙工業の生産額を
見てみると、
米国が突出しており、
日本はその1割もありません。

今回のH3ロケットも
コストの大幅削減を目指し、
従来の半額の
50億円で打ち上げようと
試みたものですが、
載せていた衛星は
380億円をかけて作ったものです。

そもそも開発費を含めれば、
ロケット自体にも
約2,000億円を費やしての失敗です。

従来のH2までは
打ち上げ精度が高かったという
実績はありますが、
要はH3ロケットの開発が
出来ていないということだと
私は考えます。

今回の失敗についての説明は、
原因を精査してからだという
コメントが出されていますが、
電気信号が行かなかったというのは
初歩的な失敗なはずです。

お金のかけ方も雑で、原因究明は遅く、
誰も失敗の責任を取らず、
まともな開発もできていない。

恥ずべき状況です。

現在、
世界のロケット打ち上げは、
米国とロシアに
完全に依存しています。

このような無責任な開発が
続くようでは、
日本の宇宙航空技術が
スペースXやロシアに追いつくことは
もう不可能だと言っていいでしょう。




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▼粗探しをするだけの原子力規制委員会に疑問
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原子力規制委員会は8日、
東京電力柏崎刈羽原発の
検査の途中経過を公表し、
去年9月に確認した
27項目のテロ対策のうち、
6項目が不十分だと指摘しました。

原子力規制委員会は
不備は指摘するものの、
どうすれば問題なく
再稼働できるかについては
一切アドバイスがありません。

審査自体は
終わっているにもかかわらず、
6項目で対策が不十分だと言うなら、
具体的にどうすればいいのかまで
提案するべきです。

提案が無いということは、
ただ再稼働を妨げるための
粗探しだとしか考えられません。

今の原子力規制委員会は、
エネルギー政策を
より良いものにする気概の無い、
無意味な集団に
成り下がってしまっています。

 

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