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週末だけのグローバル投資コラム

トランプ外交の転換点 (3)同盟・派閥・軍閥の内紛を誘う

2019/01/28

4月29日未明、ふたたび北朝鮮が弾道ミサイルを発射しました。

結果は失敗とのことですが、今回もわざと自爆させたのでしょう。

それに対して東京メトロ(地下鉄)が一時運転を見合わせたのは驚きました。

危機意識が民間にも広がってきており、それぞれ対応を考えているということだと思います。

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情報が出ないとか、対応が遅いと焦らないでください。

相手はこちらの検知・対応スピードや混乱ぶりを観察しています。

機密情報である空母の位置を探って相手に知らせるスパイもいます。

こちら側もそれを悟られないよう、偽情報を流したり知らないふりをします。

今のところ日本政府は良くやっていると感じます。

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さて、米国が「待ちの戦略」を取っているもうひとつの理由は「敵の内部分裂狙い」です。

北朝鮮と親密な国にもそれぞれの事情があり、一枚岩というわけには行きません。

それらに対して踏み絵を迫ることで、不協和音を生み出そうとしているのです。

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北朝鮮による4月16日の弾道ミサイルを発射について、
国連で北朝鮮非難決議を出そうとしました。

このとき「中国は賛成し、ロシアは反対した」とのこと。

反米諸国を支援することが多い中国とロシアの間にも、温度差が生じてきたということです。

そして北朝鮮が中国に対し、さらなる不信感を募らせたことは間違いありません。

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実のところ、今の北朝鮮は習近平政権にとって厄介な相手です。

親中派を粛清し、核で中国を脅すようになったからです。

しかし習近平と対立関係にある上海閥や、
北京と対立する北部戦区(旧瀋陽軍区)は北朝鮮の「盟友」です。

北朝鮮を保護するのか切り捨てるのかで、中国の派閥・軍閥が内輪揉めを始めます。

米国はそれを誘っているのだと思います。

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米国が内部分裂を誘っている大きな理由のひとつは、
中国と北朝鮮との間に結ばれた「中朝友好協力相互援助条約」です。

この第二条に「参戦条項」というものがあります。

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第二条
両締約国は,共同ですべての措置を執りいずれの一方の
締約国に対するいかなる国の侵略をも防止する。

いずれか一方の締約国がいずれかの国又は同盟国家群から武力攻撃を受けて,
それによって戦争状態に陥つたときは他方の締約国は,
直ちに全力をあげて軍事上その他の援助を与える。(参戦条項)
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北朝鮮と中国の条約上の結びつきは強く、簡単に見捨てるわけにはいきません。

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それに対し、ロシア・シリア友好協力条約第6条についてロシアは
「シリアが侵略された場合でもロシアが軍事支援する義務はない」と回答しているようです。

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Russia Not Obliged to Fight on Side of Syria - FM Spokesman
スプートニク 17:18 02.03.2012
https://sputniknews.com/world/20120302171691343/
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米国はシリアに対していきなりミサイル攻撃をしましたが、
ロシア自身が「反撃しない」というサインを出していたからです。

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しかしこの「参戦条項」を巡って、中国内部も揺らいでいます。

北朝鮮の瀬戸際外交のとばっちりで米国との戦争に巻き込まれたくはありません。

「今回の件で参戦条項は無効だろ」と言い出す人が出てきています。

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米国務長官と中国高官が電話会談 中国では「参戦条項」無効論も
産経新聞 2017.4.16
http://www.sankei.com/world/news/170416/wor1704160052-n1.html

(略)
また中国では、中朝友好協力相互援助条約の
「参戦条項」の無効を主張する声も上がっている。

「一方の国が戦争状態に陥った場合、他方の国は全力で軍事援助を与える」
と規定した第2条に従えば、北朝鮮が米国と開戦した場合、中国は軍事援助の義務がある。

しかし、同時に第1条は「両国は世界平和を守るためあらゆる努力を払う」と規定。
北京の軍事専門家、李傑氏らは香港紙で「北朝鮮の核開発はこれに違反している」として、
中国にも援助義務はないとの主張を展開した。

中国側が北朝鮮を牽制した可能性もある。
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逆に契約文化の米国にしてみれば、
この中朝友好協力相互援助条約が残っているのは気持ち悪いと感じるはず。

中国のように「条約は相手に守らせるもので自分は守らなくても良い」
という文化は、米国にはないからです。

条約自体を破棄させるか、
少なくとも支援しないという宣言・確約が欲しいところでしょう。

順調にその方向に進んではいるものの、もうひと押しというところです。

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